ぼくらはあまりにも醜いから
醜いから誰かに会うことが恐くて
となりの惑星にさえまだ行く勇気がない
そんな醜いぼくらのせめてもの救いは
この星にうたがあるってことだ
どこを捜しても どこを ....
わたしはあなたの声の中に家を建て
夏の風をちょっと吹き入れて
声を聞きながら
寝そべっている
わたしに用事はなかったのですが
あなたの方で用事があるらしく
声色をぴんと伸ばして
いそ ....
夏にゆうれいがいなくなってから
夜はとても蒸し暑くなって
何だか過ごし辛くなった
ゆうれいを捜しに
ときどきぼくらは心霊スポットに出掛けるけれども
工事中にたくさん人の死んだトンネルにも ....
初めて道を歩いた人はどんな人だったろうと
ものすごく高尚なことを
考えていた朝であったけれど
眠ってしまった
目が覚めてしまうと
体中にぐるぐると包帯が巻かれている
木乃伊取りの夢なん ....
あなたはわたしの何もかもを知らないし
わたしはあなたの何もかもを知らない
それでいいと思う
それでいいと思ったら
夏の柔らかい部分では
雨の方で都合をつけて
わたしとあなたを
水たま ....
夏のことをよく知っている人がいて
その人は
例えば緑の葉っぱを重ねたような人で
ときどき
鮮やかな花を咲かせていたりする
ただ画家がその人の絵を
描こうとするとき
その人は
たちま ....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる
空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
ぶどう電車が
大山崎の天王山を越えると
京都盆地は南西から迎える
ふり零れる時間の光の中で
21世紀の京都に
朝廷はもうないけれど
いつの間にか
ぼくの車両は
烏帽子を被った
....
わたしは わたしの中に
帰る仕度をしている
わたしは わたしの中に帰るために
たくさんの本を読んで
否 そんなに本を読まなくても
大丈夫な気はするが
帰る仕度をしている
わたしは わ ....
あなたが暗くならないために
わたしは夏になれば
旅行を計画しなければならない
身体のために
美味しい空気を吸わなきゃならないと言ったなら
わたしは山の温泉を
インターネットで調査する
....
空が微かに剥離する
空の剥離する音をきいている
微かに青い香りがしている
カシャっ
生活はいつまでたっても生活で
ぼくは毎日お腹が空いて
そしてぼくは
sexがしたくなってし ....
走って行く風船を
追いかけて
ぼくは手を触れるのでした
手を触れたとき
楽しいものがありました
楽しいものはそこここで美しい時間でもありました
それは見えないものでありました
夏 ....
思い出が居眠りをしているのでした
今日も少しづつ暑くなりそうな感じがしています
揺すって起こそうかと思いましたが
そのままに
夏 それぞれの葉が今にも喋り出しそうな
明るさの中で 震える ....
さらさらと さよならが ながれて ゆきますから
わたしは手に掬ってみるのです
手に掬いますと さよならは さらさらと
さらさらと 儚くも消えてゆくのでした
夏の
陽は さよならの中で
....
きみは静かに
美しかった
この土地はきみの中で生まれ
きみは一滴の
沈黙の中で
ぼくの愛を生んだ
走り去ってゆく時間は
さまざまの彩りの中で
きみの姿を奪い去ってゆく
空を穴が空くほ ....
ぼくは歌わなければならない
風をひとつ折って その先で
記憶する 読むことのできない詩集の中で
ぼくは歌わなければならない
花と恐竜の足跡を辿れば
やがてぼくらは海の波のひとつであること ....
知らない方角から
明るさを取り戻してゆくかのように
朝はぼくのもとにやってくるのでした
遠くの響きは
古い透き間から静かに流れ
ぼくを取り囲むのでした
後戻りする物音は見あたらないのでした ....
ジャララ
6月の弾力はぼくらを弾ませる水力が
そこらじゅうで揮発する
近すぎる誤解を向日葵の種の側に埋めたりする
ジャララ
太陽の方角を追い続けていくことも
ぼくらには必要なことかもし ....
きみは知らない
きみの昔が
わたしの中では 鮮やかに暮らしていて
きみの手を振るものが
ほんとうは
わたしではなく
きみであることを
わたしが悲しいのではなく
きみが悲しがっていること ....
どこかの方から誰かが去って
白い砂漠がぽつんとあって
顔のない人が歴史の本なんか読んでいるのでした
私は私を側に置いて
私を見つめ続けなきゃならないのでした
ひとつ思うことがふたつに別れ
....
遠くなっていきますものが
小さなものと大きなもので
知らないものがたくさんできて
そうして見知らぬひとになってゆくのでした
ありがとうがとても透きとおって
私の前で響いているのでした
....
はるなつあきふゆ
ずいぶん男やってきた
いつの間にやら割り切って
仕方ないなと口ごもる
管理職にはなったけど
仕事に才能あるわけじゃなし
けれど日本人の宿命で
(八方美人という宿 ....
崩壊してゆくのでした
私は他の辺りを捜してゆくのでした
砂の上には奇麗な足跡が残るばかりでした
陽は所々照らしているのでした
崩壊してゆかなければならないのでした
静かな舟が浮かんでいる ....
朝は静かに浮上してゆくのでした
三葉虫の化石に太陽が反射したとき
そっと手を触れるときは胸が痛くなるのです
痛いところにわたしがいっぱい死んでいる
朝を埋葬していく
繰り返しわたしの中に ....
白と黒のストライプの入った
トランクスを竿に立て
ぼくは全面降伏をする
戦いません 勝つまでは
はためくトランクスの旗の下
ぼくは負けた
負けて負けて負けて
負け続けた
鮮やか ....
静かでした
そうして音がきこえてくるのでした
夕暮れ 春がやってきて
わたしはひっそりとしていて
透きとおったところに
過ぎたものたちが入ってくるのでした
分かっているというのでし ....
五月は光がとても
新しいものに敏感で
そこにだけ眩しい未来を
産卵させている
私は太陽系の
地球という
小さな惑星に生きていることを誇りに思っている
神様という人へ
明 ....
郵便局へ行く方角から
とても苦しい声がして
(と言ってもそれは自分の感情で)
ハンドル ブレーキ みんな操作効かなくなったりして
と言ってもルールはもうすでに
あそこの雲だって知っているはず ....
昼
夜を強引に押し倒してやった
わっさと積み上げられた宿題を死刑にして
乳を喰う
かゆくなってきた 大人の皮を剥こう
またひとつおれは子供に成長してゆく
おれのぬけがらに月の涎 ....
だったらそうすれば
そう言いたそうな女がいて
ぼくは6910円分の切符を買い
電車に乗ることにした
駅弁はビジネスランチを買った
行き先はきれいなお姉さんが乗った反対の方向に決め ....
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