学芸会でぼくは
ぼくのお母さんを演じた。
ぼくの演じたお母さんは絶賛された。
でっぷり太っているが清潔である。
石鹸の匂いはしないが朝ごはんの匂いがする。
ぼくの間違えた答案を間違え方が ....
朝ひとりで目覚めると
皮肉なことに勃起に気がつく
妻のいないベッドのなかで
夢のなかでは
まぼろしのような幼い踝に
わたしはひざまずいて舌をはわせていた
だけどあの少女は
むかし ....
折りたたみ自転車が
折りたたまれていたのは
空いたばかりのトランクのなかで
トランクをバタムとしめると
あなたは取り乱しもせず
じぶんじしんを折りたたみ
わたしのバッグのなかにもぐりこ ....
木がねむると
木のなかに
ほんとうの木がうまれて
風にふれようとする
風がねむると
風のなかに
ほんとうの風がうまれて
空にとどこうとする
空がねむると
空のなかに
ほんと ....
空があんまりひくいので
きりんのくびは
つい空から突き出してしまった
そして見たくないものを
見てしまった
あああんなにうつくしいものを見てしまったら
もうぼくは
なにをみてもう ....
きのうはそばの日なので
家族でおそばを食べにいきました。
お父さんは五杯食べました。
お母さんはニ杯半たべました。
お兄ちゃんは八杯と、お母さんの残した半分を食べました。
わたしは六杯食べま ....
台風は南西のほうへ
それていった
天気予報はそれで
終わり
みなれた日本地図のかなたに
台風それてよかったですね
まるで
それていった先の
島や
大陸には
人も犬も猫も
....
おどりばの大きな鏡に
一匹のやもりがぺたんと張り付いていた
どうやらぼくの前世のようだった
今世のぼくは前世のぼくを見て
ついなつかしくなってしまったというわけ
やあ…と声をかけた
や ....
あなたの燃える手で
わたしをだきしめて
それはとんでもない
誤訳だったらしい
でもわたしはこころをうたれた
たとえひとごろしのうたでも
たとえぬすびとのうたでも
たとえうらぎりも ....
モナリザという名の
かびくさいモーテルに
ぼくらは泊まった
車のなかで半分とけかけた
チョコレイトのように
きみがどうでもいいというきもちになるまで
ぼくは長い季節をいくつもやりすごした
....
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