でもね
ショッカーにもママがいるのよ
って教えてくれた
幼稚園のさゆり先生が
交通事故でびっこになってしまったと
ママが教えてくれた
ボーイフレンドのバイクで事故ったのだ
ランドセル ....
ぼくが包茎だったころ
アフリカはとおく
象の足は八本あった
あのひとのほほは白く
うつむくまつげは長かった
どんな人にも天使のように微笑むので
誰もが自分はあのひとに愛されていると勘違 ....
話しつかれて
午前二時
もしこの電話をきれば
世界も
終わってしまう
そんな気がして
ふたりは
どこからか
ぶあつい
電話帳をもってきて
ただ電話番号を
読み合うんだ ....
ぼくらはみな、生まれつき、
魔法をかけられているんだ。
その証拠に。
背がのびる。
歩けるようになる。
ことばをおぼえる。
好きな歌ができる。
好きな人ができる。
だれにそ ....
学生のころから
よく行くとんかつ屋さんがあって
久しぶりに行ってみたら
お昼時を少し過ぎていたのに
待合の椅子もいっぱいに
さらに立って並ばなければいけないほどだった
良心的な値段と
カ ....
ほのめかしおめかし
おかしかかし
すれっからし
おでんにもからし
ずるいからすだから
からまわり
あからさま
からからからわらい
やめてからかうのは
まじめだから
からだだ ....
きれいじゃない人と
柿ピーを食べた
柿柿ピーピー
柿柿ピー
のリズムで
熱い渋茶をいれながら
きれいじゃない人は
ぼくにこう聞いた
A 人のこころをほんとうにうつ歌を歌 ....
質に入れたはずの女房が
ある日ひょっこり帰ってきた
質流れでもしたのだろうか
おかえりというと
ただいまもいわず
お茶だけ
のひとことで
台所に立ちお湯をわかしはじめる
そのうしろすが ....
きみはきみんちの猫が
病気なので
結婚式には来られないと
朝メールしてきた
安物のハンガーみたく
燕尾服を着たぼくは
そうかいそりゃ大変だ
いいよケッコンなんてまたにしようって
ニコニ ....
冬の枯れ枝に
つきささった
胸のあかいことりは
なんの犠牲になったのだろう
たぶん
ぼくじしんのかわりに
空のひびわれから
黒い怪物がおりてきて
ことりを召すと
すべてを ....
問い
「ドーナッツのあなだけ残して
ドーナッツを食べなさい。」
ふとんのなかで
かんがえた
ドーナッツふたりで食べこぼしながら
答え
は忘れてしまった
....
朝のブーツに旅客機をのせて
みまがう空を大闊歩しませう
花なら春よ
夏なら地球
雪を踏んだら
蛇のくびねっこ
抱きしめたいアイワナ
ロシアの大地
よくわからないジョークも
身振り ....
橋のうえに
大きな虹がでたので
ぼくはトイレへおとうさんを呼びにいき
台所へおかあさんを呼びにいき
お嫁にいった妹を呼びにいき
死んでしまったおじいちゃんを呼びにいき
介護施設のおばあ ....
三才のおいっこが
坂道のうえの車庫から
インフルエンザの予防接種へいくぼくを
タッタと追いかけてくる
車があぶないから
きちゃだめだよ
ちゅうしゃしにいくんだよ
いたいいたいだよ
....
グリーンのセーター
さわりごごちがあんまりよくて
緑のなかにとけだした
だれもいない朝の公園
雨上がり
ぬれそぼるベンチ
とぎれっぱなしの会話
胸のアルファベットも
ばらばらになが ....
胸がないので
胸をください
ぴったりとこのおもいや
ことばがおさまるような
ひきだしのたくさんついた
おちついた形の
胸がほしいのです
ごめんなさい
たったいま売れてしまいまし ....
幸せな日曜日が
待っているとしたら
ほんとうの日曜日よりも
その日曜日までの
月曜日から
土曜日までのほうが
どんなに幸せなことだろう
いつも幸せそのものよりも
幸せをゆめみて ....
空の虚点をついて
O脚の
うしろから貫かれたままの
あなたがあらわれた
私の傘は肋骨にひびが入っていて
私の肋骨には傘がつきささっていた
生まれ変わったのに蛭だった
あなたのふくらはぎに ....
今日もきゅうりは
もてなかった
女のこたちの気ままな指で
もがれてみると
ぽきんと折れた切り口には
みずみずしい
ひかりがあふれていた
うちに帰ってきて
冷たい水で
顔をごしごし ....
まちのしろすぎるまがりかど
生成りのきせつののりしろに
ひざをかかえて
ゆきかうひとを見ている
デパートの屋上から
しずかにピアノが落ちてきた
うまく音が出せなかったせいだろう
ひと ....
平日のまっ昼間に
後背位をしたあと
快速電車にのったら
となりに孔雀がきて座った
言いたくないけど
むかいの椅子も
となりの車両も
ぜんぜん空いているようなのになあ
孔雀はなんだか ....
からだぜんぶで恋してたかといえば
65パーセント
なめればしおっからい涙の塩分みたいに
65パーセント
わたしのからだは
65パーセント
みもだえ感じるのも
65パーセント
映 ....
霧雨のなかを
朝ぬすびとは帰る
愛するひとのもとへ
かれこれ三日もなにも
食べさせてあげることができない
ついできごころで
ぬすんだほしを
返してしまったせいだ
俺のこころも
俺のゆ ....
珍種の鳥を集めた
大学博士の庭の檻のなかに
クチバシがスパナアの形をした
虹色の鳥がいた
わたしは胸のかごの扉のねじが
どこかでゆるんでしまったらしく
風がふくたび
かたりことりと音 ....
きのうわたしは
あのひとと
あきのひのなかで
とけいっていました
おはかのかげに
うすいとんぼのはね
きょうねん
にじゅうろくさい
のびるひにせのびして
わたしのかみを
く ....
ずつうやくを飲んだ
はんぶんだけ
やさしさでないほうを
恋は終わったのではなく
けっきょく始まらなかった
もう春だった
つながれたこいぬが
ねむたそうにあくびしてる
み ....
小さな傘に
入りきらなかった
ふたりの肩に
あきらめかけたような
雨が降るのです
雨が降るのです
思い出なんて
気まぐれなもの
一枚の写真さえ
ふたりの目には
違って映る
違 ....
濁った色の疲れたスーツで
駅からの決まった道を帰る
立ち食いうどんの黒い汁に
コロッケをひとつ浸すのも
いつもお決まり
しまったシャッターを背中に
いろんな若者が自由な服をきて
楽し ....
あめもないので
くつもぬぐのに
かみのけのいろ
うでどけいしろ
かくれんぼしよ
しかたもないし
こいしてないし
はだしであるく
あすふぁぁると
あめさえふると
おむにばすあ ....
美術館の帰りに、
大学のなかを歩いた。
落ち葉を踏みたいと彼女が言い出したからだ。
果たしてキャンパスにはまだ踏まれていない落ち葉が、
たくさんあったかというと、
「朝、雨が降ったからね」
....
1 2 3 4
0.39sec.