一度だけ首を後方へ回し
 こちらを向いた女は無表情で、厚化粧だ
 顎のエラがはっている

 京阪の改札口から出て来た彼女は
 並び建つJRの駅、上りエスカレーターで
 僕に体を寄せ ....
 
 昼間は 陽射しにためらって
 雑木林の奥に潜んでいる
 秋が
 しのび足で 
 次第に満ちて来る夜

 軒ばの低い 村の細道
 懐中電灯をてらして歩くと
 いやに星がきれい
 ....
 澄んだ山の彼方に
 何がある と
 希望して良かったのは
 遠い年代だけの事だったのか

 暗い中をぬけていくと
 ふいに光の中に出て
 あたりは竹、の林
 散りしいた藁に埋もれて
 ....
 女が 路地裏に居るのを見た
 
  雨が 降るのを見た
  ライトがいくつか点いて
  薄暗さの充ちてくる

 音の ころがる時
 夜の始まるのを見た

 
 おかもち提げた女子 ....
 ふしあわせ というものが
 とくに こころ美しく
 あたまのするどい ひとに
 みいる のでしょうか

 はんぶん いろづいた林檎の
 つめたい甘酸っぱさを
 あなたは こころ ....
 水死人の捜索船が
 大声でどなり合い
 そして 声の沈まり
 ぞよめく


 夏も終わって
 浜辺も空虚で
 そのさざめきが
 かえって救いの様だ

 この付近の人々には
  ....
 

 フライパンで こんがり狐色にした手羽元と
 ガーリック香る炒め野菜を煮込む
 夏のスープカレー

 そんな 今晩のメニューを
 考えていたけれど
 取りやめた
 台風一過とは ....
 雪の降りかかるままに
 歩きましょうね
 盛り場の よるを

 あなたって
 良い人なのね
 でも 名さえ知らない

 ネオンの下で
 装って笑う
 そぞろ歩きは
 そぞろ歩き ....
 
 京都三条大橋から
 どう歩いたのか 黄昏時
 そこは照明も暗めな地下の酒場
 会社で 見かけたことのある
 顔が目につく

 チケットが一枚余ったんだ、と言う
 上司から強引に誘 ....
 林檎を むきながら想う
 貴方の目
 どうしても思い切れない
 あなたの声

 リトルシガーの煙
 うすく立ちのぼる果は
 頼りない指の先
 もはや 希望の色はなく

 何か ぼ ....
 心の 跳ねとぶような白

 に、目を見張る

 花は幻の様で すみとおり

 もう萎んでしまう朝


 銀夜に 開き

 香り咲いた一輪のナイトクイーン

  純真さが迫る ....
 
 お盆休みに入る前日
 同僚と 飲みに行く京阪電車は
 県内で有名な進学高校のある
 最寄駅で停車する

 車窓から 何気に眺める向かいのホーム
 線路を跨ぐ距離で目が合ってしまう
 ....
 まだ 夜は明けない

 食器棚からグラスを出して
 
 のぞいてみる冷蔵庫の野菜室

 
 うっすら汗ばんだ からだに

 国産レモンを半分絞った

 ミネラルウォーター

 ....
  熱砂 と
  真空

  ごう音と
  死の静寂

  閃光 と
  奈落


 重々しい
 数十万の足音が
 はてもなく続いて行く

 銃をかつぎ
 一すじの乱 ....
 冬の日の山 
 真白な雪の その彼方に
 孤り高く貴女がいる

 あの山の
 雪を被った樹々の間に立ちあらわれる
 男の前に
 肉を欲しがり
 血を欲しがり
 体温を欲しがって
 ....
 小学二年生ぐらいかな?
 道幅いっぱい 横並ぶ
 かしましい女の子らの
 背後にピッタリくっ付き
 駅へ向かう

 なんだろう?
 ラップかな? 
 彼女達の口から繰り返し
 飛び ....
 靴音が恋を追いかける
 パダムパダム と
 絶え間なく追いかける

 その 切なさ 
 激しさから
 逃げようとするのだが
 もはや息が切れてしまった

 恋はほのぼのと燃 ....
 未だ 秋は
 何処に居るかも解らない季節なのに
 あなたが別れよう という

 緑と
 白と
 二色に色分けた水が流れる

 橋に立てば
 上流にまわる水車
 そして
 長く流 ....
 又 戻って来た
 物憂い瞳で 上手く口説き
 心をさらいに来る悪魔

 親しげに抱きしめてくる腕
 あたしがいつも
 浮き草の様に揺れ動いているのを
 充分に知っている男

 取り ....
 暗いバーで
 黒い服がよく似合った女が
 しわがれた声で私の名をきいた
 煙草とウイスキーの琥珀によどんだ目で
 笑いもせず何故
 私を 見つめるのか

 フロアから這い上がっ ....
 十九時半は回っていただろう
 仕事帰りでもなさそうな洒落たポロシャツの中年男が
 客のまばらなカウンター席で飲んでいた
 そこは、いつもなら私の指定席だったのに
 
 仕方なく隣で
 梅 ....
 遠イ遠イ雪ノ山
 降リル事ナゾ思ハズニ
 タッタひとりデ ノボルノデス ト

 誰モ ダーレモ
 女ガひとりノボッテイルコトナゾ
 知ラナイノデス ト

 止ンデイタ雪ガマタ
 サ ....
 
 だれも居ない大学の構内に
 緑だけが 大空を指しておいしげる
 私はそれを見るのが好きだった

 雑踏の中に居る時には
 親しく心に顔をみせるのに
 一人になって 悲しい思いの時
 ....
 あなたの胸は広い
 悲しさと 悩みにひしがれていても 
 あなたの顔をみると
 何も言わない内にふと軽くなるのだ

 わたしの心は小さい
 豊かに 楽しい時でも
 あなたの顔に ....
 
 降る雨の音の彼方
 何か物憂いささやきがある

 降る雨の
 或る古い影が
 街頭へ彷徨い出て
 騒音の中で狂い始めた

 一心に 鎮めようと
 声をかけたが
 空を跳ね  ....
 その影は
 駐輪場で談笑しているオバチャンを
 横目で捉え
 建設中のマンションの傍を行き
 細道抜けて 
 一軒の 美容院へ向かいます

 二時間後
 チリリン!
 ガラス扉が開 ....
 お湯を沸かしながら
 まだ眠い気だるさには
 モカブレンドのドリップコーヒー

 昨夕スーパーの陳列棚に一袋だけ
 お買い得商品のプライスで残っていた
 この一杯の 目覚めが心地良い
 ....
 地に 夏が吸い込まれた
 そこを裸足で 歩いたから
 ピリピリと
 心臓が
 感電でもした様に痛む

 熱気の中で せい一杯
 裸足は大地に反撥を試みる

 そして大樹の繁 ....
 詰まらない
 
 タワ言を 一人並べて行くだけでも

 やはり詩だと
 
 思うようになった。
 
 
 ノンフィクションの世界

 硝子で仕切った空間に

 一鉢のサ ....
 髪を上げてみよう
 唇に紅をひき
 新しい上衣を着て
 お茶を飲みにゆこう

 ポケットには何も
 入っていないから
 冷たい掌つっこんで
 香り高い紅茶を飲みにゆこう

  ....
リリー(410)
タイトル カテゴリ Point 日付
割り込む女[まち角25]自由詩1*23/8/24 16:05
虫の音自由詩4+*23/8/23 6:06
黄色い花自由詩4*23/8/20 15:57
少女自由詩4*23/8/19 15:39
みずうみ自由詩16*23/8/18 14:56
小景自由詩4*23/8/18 9:18
爪痕[まち角24]自由詩2*23/8/17 9:19
雪女3自由詩2*23/8/16 6:49
ジャズライブにて[まち角23]自由詩4*23/8/14 9:59
秋の道自由詩5*23/8/12 8:08
月下美人自由詩3+*23/8/11 12:26
夏のメモリー[まち角22]自由詩2*23/8/10 23:18
自由詩4*23/8/10 7:09
野ばらの記憶自由詩8*23/8/9 12:07
雪女2自由詩5*23/8/8 16:52
偶感[まち角21]自由詩3+*23/8/7 22:55
落椿自由詩2*23/8/5 20:10
自由詩5*23/8/5 11:37
小悪魔自由詩8*23/8/3 9:41
黒い波自由詩9*23/8/1 5:16
二人酒[まち角20]自由詩4*23/7/29 15:38
雪女自由詩9*23/7/27 1:01
雑踏自由詩5*23/7/25 10:17
あなたに自由詩5*23/7/23 13:08
降る雨の自由詩2*23/7/23 6:08
影法師[まち角19]自由詩3*23/7/22 15:37
一片の空自由詩8*23/7/20 12:43
夏の日曜日自由詩1*23/7/19 9:42
夏の花自由詩3*23/7/18 21:03
アップルパイ2[まち角18]自由詩4+*23/7/17 15:47

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