週末の京都駅
 待ち合わせたプラットフォーム
 喧騒の波間みつけた
 あなた

 月に一度も逢えない
 あなたの指が触れる洗い髪
 ムースで整えて
 玄関飛び出して来た
 夏の ....
 ほの暗い空に尖ってゆれ動く
 銀杏の枝先 路端の枯葉
 手袋はめる指先
 冷たさ滲み

 駅前
 ためらうことなく夜を受け入れた街

 バスターミナル 
 無人のベンチ
 男物の ....
 
 寒風、

 常緑樹の生垣が吐く

 銀白と やがて溶け

 やさしげに揺れる

 山茶花

 

 
 乾いた大気
 
 緋色砕けて心臓響く

 天上は真夏

 大柳

 烟り散る冬の湖面
   「食卓」

 サラダの皿の色どりに
 執着しつつ
 缶ビール グラス注げば
 勤めの愚痴がついと出る
 貴方との白いテーブル


   「霧の朝」

 冬が来て
 裸木ば ....
 三分咲の桜が好き
 と云う私に
 葉桜が一番好き
 と 笑った彼女

 「なんで?」
 ほのぼの香る色にも
 一閃の青をみる
 硬質感ただよう清らかさ

 結婚前の彼女は答える
 ....
 小さな寺の鐘の音が
 震うともなく 
 ゆれて

 声を出せば
 全て偽りになるに違いない
 はかなさが
 西山の山脈に暮れていくのを見ながら
 一人歩いていると

 酒場の騒音 ....
   
   「心」

 生命の底にあるのが
 わたし
 野を吹く風にさからって
 歩いていると
 影絵のようにみえてくる
 



   「大衆食堂」

 店の母さん 常 ....
  「独白」


 霜の立つ
 音のきこえそうな 
 夜に一人で居る時は
 吐息など捨てようと
 幾度 思った事か


  「街の鴨」


 商業施設の脇を流れる
 堂の川 ....
 いつになく長風呂し

 秋刀魚の蒲焼

 突っつく晩めし

 身の冷えぬ間に寝間へ入ろう

 熱燗一杯キュッと飲み干す一人者
 
 男と女は
 なるようにしかならない
 そんな事 知ったのは社会人になってから

 季節など覚えちゃいない曖昧な記憶
 空に陽の傾きかけた 
 あの日
 百貨店の正面出口前の交差点 ....
 霜月の
 薄らさむいキッチンで
 蒸気放つ きみと
 僕は今、
 目をはっきり開けたまま
 夜の開ける瞬間をはかっている

 そして
 沸点こえる
 きみの 紅い血は
  ....
 ハイヒールの足許が
 男の鼻先を嘲笑う

  「欲しければ
   尾を振って ついておいで。」

 街の角で
 ふと女の姿が消えた

  「欲しければ
   そこで 涙を ....
 夜も深き高層の谷間

 鈍く 唸りあげて吹くものは

 誰が為に在るのか、

 目覚めると不意に

 もの哀しさ 我包む冬
 
 前方見据える少年の

 斜め後ろに 立つ私

 光 放った彼の眼鏡、

 捉えた朝の密度濃く

 信号機は青になる
 
 薄ら陽を

 追いつつ鉢を離れ得ず

 小さき金魚の褪せし思いして

 胸の底 暗く重く

 ちろちろ火の燃え続ける
 イノチガ フト
 オモタクテ
 窓ヲ アケルト

 ヒトツ フタツ ミッツ
 カゾエテミタラ
 ココロガ カルクナッタ

 アカイノ 
 ホントニ アカイノ
 イマニ コガラシガ ....
 窓を 開けると

 取り残された柿の実が赤かった

 よく解った 空の高さ
 
 窓を閉めた私は

 夕飯のお味噌汁の大根きざむ
 お前と私の くされ縁
 ペンとノートで膝つき合わせて
 何の進歩がなくたって
 へっちゃら

 お前の いじの悪さを思う
 私の頑固さを お前は笑い
 諦めてしまえば
 お空 ....
 ストリートサックスに聴き惚れて

 いつになく

 今夜は涙もろくなっちゃった

 帰ったら よっぱらって

 ねむっちゃおう
 貴方の低い声に
 瞬間 止まってしまう私の心
 ポツリ と
 残った高い音

 ヒマラヤ杉が激しくゆらいで
 薄暗い講堂の辺りは
 まるで雨と風しか無く
 あの時
 何故 貴方に手 ....
 冬、まじか

 ひとつ枕で あなたの脚に

 冷えた足先こすり当て

 毛布に顔埋めて 笑う暁の

 のどかさよ
 ほのぼのと

 開きそめし季節のすぎて

 髪洗えば抜け落ちる束 悲しきを

 湯舟浸かり両の手に 抱く乳房

 秋の晩
 
 駅裏の
 小道ふうわり陽を恋いて
 行き違う その人と二度逢いし 
 が
 眉涼しきを忘れかねつる


   ※


 ホーム居て
 陽の暖かさに生ぬるく
 心ゆられて ....
  「私春記」



 「あたしの洗濯カゴ触らないで。
  あたしのボディーソープ使わないでよ。」
 
 俺は、いったい何なんや!
 憤る 兄をなだめる母ありて
 娘の真顔に含み ....
 桐の葉に 雨が降れば

 涙なく 声なく 
 唯一人
 流るる窓の滴に心あてなく さまよい出でる

 あなたが何処に居ようと
 わたしが何処に居ようと
 生命だけしか上げるものが ....
    


  あちら向き

  こちら向き

  淡いピンクのささめきは あなたと私の様

  うす曇りな心に 寄せて消えゆく

  秋桜のうた




   
 ....
    「今日」



   足許が 冷たい

   濡れた路面に浸む夜の訪れ
 
    こんな日も

    あるのか

   早く帰って お風呂にでも入ろう。


 ....
 すすきの穂が暮れ終わって
 秋が もはや殆んどない

 御寺の緑に
 ふとこぼした涙は何処へ行ったのか
 荒々しい血汐のざわめきが
 遠い日のことであったと
 気附いたのか
 一 ....
 
 リビングで 朝
 外の光がもれこんでいる廊下の床に驚いた

 玄関が 開いているのだ

 シルエットの人影
 何故だかすぐに 母だと分かった
 どうして 敷居を跨がないの?
  ....
リリー(410)
タイトル カテゴリ Point 日付
蒼月自由詩2*23/12/14 20:45
唇に歌を[まち角28]自由詩4*23/12/9 19:03
五行歌 一首「雪もよい」自由詩4*23/12/1 13:14
五行歌 一首「花火」自由詩4*23/11/27 12:45
五行歌 二首自由詩1*23/11/26 11:41
さくら自由詩8*23/11/26 10:29
野分自由詩4*23/11/24 18:56
五行歌 二首自由詩8*23/11/24 17:49
自由詩9*23/11/21 18:32
五行歌 一首「寒雨」自由詩2*23/11/19 18:05
信号機自由詩2+*23/11/18 6:46
Kettle自由詩3*23/11/17 7:10
氷紋自由詩1+*23/11/14 15:14
五行歌 一首「北風」自由詩2+*23/11/12 9:35
五行歌 一首「Good Morning 」自由詩2*23/11/11 12:15
五行歌 一首「未練」自由詩6*23/11/8 17:56
熟柿自由詩10*23/11/7 4:57
五行歌 一首「柿」自由詩3*23/11/7 4:37
詩に云う自由詩4*23/11/5 14:15
五行歌 一首「光芒」自由詩3*23/11/5 14:04
偽り自由詩2*23/11/4 17:26
五行歌 一首「ワンルーム」自由詩2*23/11/4 12:24
五行歌 一首「バスルーム」自由詩5+*23/11/4 9:51
五行歌 二首「小春日」自由詩2*23/11/3 6:46
五行歌 二首自由詩6*23/11/1 16:18
窓辺自由詩7*23/10/29 19:16
五行歌 (一首)「散歩」自由詩5*23/10/29 13:45
初めての五行詩 (二作)自由詩9*23/10/28 9:06
涙の行方自由詩4*23/10/25 10:51
玄関自由詩5*23/10/22 12:57

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