建物の谷間の空き地から
町を分ける河が見える
もう作られることのない鉄橋の
橋脚ばかりが並んでいる
雲の居ない水面と
船の窓に映る汽車
そこにしか棲めない生き物のように
....
ただの ひとり よがり
たのしいかい ひとりでヨガルのは
あんのんと陰鬱な雲水を嚥下しておんどりゃあ
簡単に近作をくんくん研究されちゃ困惑すんだよ
産科医が死んだら寸断して煽動して損壊だ
単眼の珍獣は積読の天才ととんとんで
なんなら忍者とヌンチャクで ....
彼の生家へ行った
仏壇のある部屋に通された
彼の寝ていた部屋だ
私の寝ていた部屋には 通されなかった
彼の母の母に 手を合わせる
「最近髪がよく抜けます」と報告
彼の母が
「疲れ ....
だって好きなんだもん
どうしようもないんだもん
空が青いのは
私が歌っているから
雨が降るのも
私が歌っているから
セニョリータ♪ マルガリータ♪
一緒にいたいだけなのに
....
シゲ君は飲み会の席でみんなにナイショで言いました
「ちゅー」
シゲ君は会社から一緒に帰る時に手をつなぎながら言いました
「ちょっと恥かしいよ」
シゲ君はデートの時に言いました
「すご ....
お姉ちゃんは家を出て
帰ってきたと思ったら
ケンカしてました。
僕はまだよくわかんなくて
台所でひとりご飯を食べてたら
お姉ちゃん泣きながら僕の頭を撫でてくれました。
この度は思いもかけないことでなどと
気休めを言うものではありません
死ぬことは生きている限り必然で
むしろ生きていることこそが偶然なのだと
私たちは本当は知っているからです
眼前の笑いか ....
木々の間にかがやく青が
海だと気付くまで五年が過ぎた
ひとつの美しさに気付いたとき
ひとつの美しさを失った
太陽 ....
言葉の木を枯らしたのは私です
寄生木を植えたのは私です
萎れてゆく花に拍手したのも
枝を鳥の死骸で飾りたてたのも私です
言葉の木は何も言いま ....
バンドパスをかけて
サンプリングして
量子化する
符号にして
データとして
組換え
信号として
送信する
雑音も乗るが
劣化が少なく
量も抑えられるし
保存がきく
どう ....
皆は言う
『貴方には解らないでしょうね。』
『見えないものが、言葉にならないものが、ココニ、確かに、ある事を。』
『夢であることが、どんなに素晴らしいことか。』
真のストー ....
花屋の裏のゴミ捨て場
まだ明け切らぬ朝のうち
しおれた花が捨てられる
汚い花も捨てられる
バカな詩人が花屋の前で
どの花もきれいと歌っている
花屋の主人は仕事熱心
お客を失望 ....
灰色の空。
澱んだ空気。
なくてはならないものはない。
なくてはいけないものもない。
さぁ、そろそろ行こうぜ?
苦痛の死を、迎えられるように。
影だけが落ちていて 拾い
においだけが落ちていて 拾い
ねむりだけが落ちていて 拾い
線路の上をゆく雲と月に
拾いものでいっぱいの両腕を照らされ
歩 ....
血のつながった人ではないか
花火大会の帰り
歩道を歩いていて
私は服を脱いでいなかったし
一番近い肌は あなたの頬でしたが
私は医者ではないので 血管のことはよくわかりません。
....
私が「知っている」と言うとき
知らない何かがひとつ生まれる
その終わり無き巡りのひとつひとつを
深く 浅く
許してやりたい
忘らるゝ日々の裏側の諦念と未練と何やらと
変わらぬ己の気持ちと変わりゆく部分の突出と
見違えるほどの年月 月の路の移り変わり
あれやこれやと考えながらまた歳を踏みしめる
蜜のよう淫らに流れ
砂時計のように意図され溜まり
葡萄酒のように不気味に輝く液
咽返り喉を鷲づかみされるような空間に
それはたっていた
地獄の亡者が手を伸ばすように液は足に絡みつき
近 ....
鎧をひとつひとつ脱いでいく
次に洋服を一枚一枚脱いでいく
その次に皮膚を一枚一枚剥いでいく
(思うこと)をひとつひとつやり過ごし
(感じること)をひとつひとつ通り過ぎ
(私)を融けさせ
....
足元には見えない鎖が
たくさんたくさんからみついているのに
どうしてこんなに自由なんだろう
見えない壁が
今にも私を押しつぶしそうなのに
自由行きの電車の発車ホームで
....
小石の影が長くのびて
夕陽の家系図を道に描いた
たくさんの冷たい子供のなかに
ただひとり暖かい曾孫がいて
近づく夜にまたたいていた
生きている証の年賀状です。
構想1
{注生きている=「生きている」とは難しい概念である。なにが「生きている」ものか、容易に判別しがたい。たとえば森博嗣も「かわいいこけし」を例に取りこれ ....
「ちえこさんや
めしゃーまだかい?」
「おじいさん
ちえこさんじゃありませんよ
まちこさんですよ」
「佐々木のおばあちゃん
いつもごはんどきになるといらっしゃるのね」
「ちえこさ ....
目に見えない蜘蛛の巣が
頭の上に降り積もる
あたたかい
振りはらっても
振りはらっても
あたたかい
降り積もる
降り積もる
あたたかい
降り止ま ....
一羽のカラスに
二羽のカラスが入り込んで
たくさんの声で呼んだのに
誰も来てはくれなかった
雪の山を登っては降り
登っては降り
誰も外に出ていかぬまま
冬 ....
水たまりの底には
うすく泥を着た羽とガラスが
凍った影のように並んでいた
鴉と鴎の鍵盤が
雀と鳩の木琴に
雨の降るなか
嫉妬していた
たくさんの
言葉のサ ....
新年に私達は塩サウナで再会した
おおきな塩壷を囲んで
相も変わらずくだらない話をしていた
この塩肌がツルツルになるんだって
へぇ 田舎は乾燥しているよ
帰ってきたら髪はパサパサ
あんた ....
一 恋愛より友愛だ
一 周りより自分自身だ
一 何であれ楽しんでみよう
一 今年は部屋を整理するぞ
一 今年はDVDを買うぞ
一 目標体重に近づくぞ
一 独りある喜びってやつを見つけるぞ
....
あたしのこと
なぐり書きして
ひたいには0、
あとは
力いっぱいで
でも
しんけんに
体中の
ぐちゃぐちゃ、の
なかみは
黒 だった
HBとか
ほくろとか
まばたき ....
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【未詩・独白】いまだ詩ならざるもの あるいは独白
作者みずからが未完成であることを認めた詩作品たち
このカテゴリの作品には以前は批評を禁止していました。今後もなるべく批評は遠慮くださいますようお願いいたします。
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