ドアを開けるとそこには海が広がっていた。
あまり風の強くない日、浜辺に立つ。
波打ち際には近づかずに遠くで眺めた。
水平線は、左から右までずっと続いてて、ゆっくりと曲がっていた。
右に ....
1.
ずっと昔の話だけど
ずっと昔、といっても2年という時間が流れただけなのだけれども
その2年はあまりに遠く
去っていってしまったので
ずっと昔の話だけど
よく鉄塔か ....
死んだ小猿の死骸を抱きしめている親を見た
朽ちてゆく体を 抱きしめていた。
分かってないんだ。
切ない
切ないよ 泣きたくなる
ブラウン管の中の出来事に目が奪われた
親の目に
....
一月前
長い間認知症デイサービスに通っていた
雷造さんが88歳で天に召された
だんだん体が動かなくなり
だんだん独り暗い部屋に置かれる時間が多くなり
ある日ベッドで瞳を閉じて横 ....
小さなもののなかに
大きなものがあり
いつも
にじんでいるのでした
午後の空を見つめては
外へ出たがっているのでした
歩けば 涙のようでした
....
母である前に 人です
女である前に 人です
陽子である前に 人です
母という 人です
女という 人です
恵子という 人です
母としての 幸福
女としての 幸福
直美としての 夢 ....
ひたいにしわができました
しわを自分の歴史とか
可愛がるほど大人になれず
それでもしわはなくならず
自分を愛せと言うような
ひたいのしわを眺めては
しわの無かったひたいより
賢くなったか ....
悪い夢を見て
(それは長くて怖い夢だった)
久しぶりに思い出したあの人を
いまさら心配なんかしている私は
よほどのお人好しか、もしくはバカだ
当時あの人は
私の通っていた高校 ....
春風にそよぐ{ルビ枝垂桜=しだれざくら}
青空に響く{ルビ鶯=うぐいす}の唄
{ルビ我等=われら}は{ルビ童=わらべ}
肩を並べてさくらを唄う
* 第一詩集「 ....
世界に色なんて ものはない
光の反射がもたらす 感覚
世界に色がなくなったら どうなるのだろうか
新月の夜のようになにも見えなくなるのだろうか
それとも古びた写真のような世界に ....
雪が降り、屋根が波打ち始め、雪崩れを引き起こし
息を吹き返した
ガウディ−
その白い髭がガウディ−
ガウディ−
突発事故だった ガウディ−
{引用=
*ガウディ−
スペインの建築家 ....
ひとがすごくくるしいとき
おかしくて仕方のないものか
くるしくて仕方のないものか
どちらかを求めるとおもう
いくらかの安らぎのために
それができる文章は
どちらにせよ
くるしいひとし ....
喉が渇いた
喉が渇いた
乾いた目に
湿りの無い,涙
頬を伝う
ツゥーと
唇に到達 隙間,見つけた
案外,塩辛くは無かった
どうでも良かった
....
都会の空気は臭いのに
みんな此処に住みたがる
「便利と便器は親戚か?」
呟く声はどこにある
灰色の真ん中
黒い点の
数ヶ所が
息苦しさと生きにくさとかの
溜め息漏らして
消えてい ....
黒い布が飛んできた
ふわりと落ちて
黙って泣いた
風の吹くのを待ちきれず
騒いで泣いて
踏んづけられて
ずたずたに
黒い布が死んだように
横たわる
風呂敷包みのお姉さん
見ない ....
赤い花を摘む男の指に見惚れてしまった
ゴボウ色に染まっている自分の指先を見つめながら女は赤い花を積む男を見ていた
男は何事も気にしないまま赤い花だけを摘んでいる
ゴボウ色の指をした女は自分に向け ....
ぼくたちは囲みの中で
放牧されて
笑いあったり
助けあったり
殺しあったりしてる
放牧されてるにすぎない
ことを
自覚するのと
してないのと
どっ ....
例えば、言葉などは必要なくなって
音楽で会話し、時間の流れを数える
例えば、分かり合う必要もなくなって
同じ空気を吸って生きていく
そう、規律正しい鼓動と
少しずつ滅びては
更新されて ....
ぷくぷくぷくぷく 水の中
かぎりなく 流線型に近づこうと努力する
ぽこぽこぽこぽこ 水の中
さまざまなことを考える
青い傘 黄色い傘 赤い傘 黒い空
緑風にたなびく水 水にはた ....
胸いっぱいにすい込んだ煙を
青空にはきだした
煙はやっぱり雲にはなれなくて
風に巻かれて消えちまったよ
煙草もあと三本
僕は君を待ってるんだ
この公園のまんなかに ....
自己嫌悪の深い海を
およぐ
くろくて
きらきらしている
むこうには
たからもの
死
自己嫌悪の海をあがって
自己嫌悪の海岸を歩く
自己嫌悪の貝殻をふむと
からからからと ....
【キリキリ胃穴セット】
○付属品
1.錐(キリ)
2.酢酸
3.いやな上司
4.屋上
5.フィギュアスケートビデオ
○使用法
1.いやな上司からガミガミ言われる
2.ベッドで ....
そうこうしているうちに
衣をとられてしまって
騙されているほうがよかった
と中川から帰っていった
{引用=fromAB}
ときどき うたが ほしくなるのは にんげんが にんげん だから
めそめそ
めそめそ
こころの中、めそめそしてる
わたしは ばかだったんだなぁ
ほんとうには めそめそできないし、
めそめそして どうなるわけじゃないから
しないけど ....
白い肌にイロを付けてゆく君はとても器用だと思う。
どうすれば綺麗に見えるか、綺麗に魅せれるかを理解している。
僕にはとてもじゃないが理解できないよ。
僕は君とは違うからね ....
ガラス越しに見る風景は
一枚越しが良いと思う。
二枚越しだと何か
遠い。
私の家は二重窓造りだから
少し遠く感じる。
でもこの造りは北海道特有だからちょっと複雑な気 ....
「わたしが死んだ後、わたしの『憧れ』はどうなってしまうのかしら。『憧れ』はわたしから遠くに飛んでいくものだから、いまもわたしの中にあるのかしら。それとももう飛んでしまってどこかにいるのかしら。どこかに ....
夜が、
揺れています。
なみだ を
受ける器です。
それは
....
黄色いキノコ
誰もが嫌う
段だら模様の
汚いキノコ
辺り構わず
胞子を放ち
あっという間に
崩れて消えた
隣の兵隊
並んで歩く
形見で分けた
空気銃
音もさせずに
弾を撃 ....
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【未詩・独白】いまだ詩ならざるもの あるいは独白
作者みずからが未完成であることを認めた詩作品たち
このカテゴリの作品には以前は批評を禁止していました。今後もなるべく批評は遠慮くださいますようお願いいたします。
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