駅に近づくほど
私の透明度は高くなり
東京駅で風になる
今日も
腹話術でこっそり歌おう
風が騒ぐと台風になるから
腹話術で歌おう
腹話術師にさよならする日まで
自分にはあの人しかいないのに
あの人にはたくさんのものがあって
少し羨ましくて 凄く嫉妬
自分には醜い自分しか見えなくて
綺麗な光りを帯びたあの人のそばには寄れないんじゃないかと思う
汚して ....
国道を挟んだ向こう側
その彼女はすれ違いざま
デジカメで私の方を
撮った気がした
私がそちらに顔を向けると
カメラを構えたまま
意味深に微笑んだ
そのときは
『何だ?この女は』 ....
――Sに
すべての結果に原因があり
物事は (心の中の事象でさえも)
そのまっすぐな道を歩いているだけであった
だが
垂直に落ちる滝のようにひとつの感情が
....
僕が天文学者だったら
と
その星帯の向こうの
カロンを指差しながら
あたしを見た
あたしは
冥王星のあなたの側で
足をぶらぶらして
そんなに遠いんか
と
笑 ....
夏休みも、
もう
終わりだね。
そこから広がる、
あなただけの
夏の終わり。
....
その墓には同じ苗字を持つ男女の名が記されていたどちらもJr.でありきっと兄妹だったのだろう二人は同じ日に死んで同じ墓に入ったのだからずっと一緒に長く暮らしたのだろう、しかし奇妙なことに父親と母親の名は ....
夕暮れ近くまで二人は水浴びをしていた浮かび上がる黒い影と真っ赤に染まりながら滴り落ちる水。
水を浴びるたびに鳥肌がたったけど嫌な感じではなかった外は生暖かくて夕焼けは燃えるように真っ赤。お父さんが雌 ....
日差しが眩しい
容赦がない
肌に突き刺すような光
泡みたいな白い雲の塊
すごい青って感じの空
水面の光のループのように幾千もの環
漂う波と光が綺麗で 綺麗で
肌を突き刺す光さえ ....
あくまでも
彼の価値観によるならば
平面に描かれた
あの赤い線の中には
天使 が
いたことになる
ぜいぜいと肩で息をしている硬いダイヤモンドのような鳥だった。その鳥の瞳は錆びた空き缶の淵のようにギザギザだった、切れそうなほど。ドアーの向こうから光が差すのに鳥は這っても行けないのだ。天井にある剥がれ ....
降り続く雨の間
口ずさめる歌を唄う
それに惹かれてか小さい傘の訪問者
二本目の傘の大きさと色で
待っているのは会社帰りのパパ
大人にも子供にも犯罪者や
偽善者、病気持ちにも受験 ....
「糸」
イト
「糸でできたおうち」
イト
「問うたばかりにへこんだおうち」
トイ
「問い」
トイ
恥じらいって
なんだかわかりますか?
なんでもかんでも
曝け出して良いってもんじゃないの
細木さんに
私の中身曝け出してもらいたい
くらい
私はなにもかも
胸の中よ
おまえは無くなる事を恐れている
おまえは無くなる事に憧れている
頭の中では棺に入った亡骸を
想像している
意味のない 意味のない 想いを巡らせ
人は抜け殻となり
抜け殻に隠れようとする ....
自動販売機のなかには
シーラカンスを気取るのが居て
夜になると
腹びれを振るわせて
反対側の中州に登り
ニイタカヤマノボレと
大きな顔して
電話して
スクワットする夜間割引券と
交換 ....
こごえるように
<うた>をうたう
こえられない
こころで
<うた>をうたう
わたしの
生まれたての
<そら>で
まだ
....
氷の島を溶かす暑い夏
限界を超えた炎暑が
氷の星を探しに
探索機を打ち上げる
そのオレンジ色の炎は
地上を明るく焦がし
ひきつけを起こした少年達は
一瞬の記憶を失うのだが
....
黒アゲハ
私が傍を通ろうとも
その場を離れずに
ひらひら
ふわりふわり
大きな羽で
何かに夢中
幼虫の頃
こんな姿になろうとは
思わなかったろうに
諦めた頃に
諦めたこと ....
{引用=あなたは歌うような
あしぶみで
まぶしくかすむ
曖昧な 八月十五日、は
さいわい
のびやかな放物線をえがいて止まる
おともなく
あたしは
きょう
部屋 ....
月の裏側には湖があって
そこではフナがよく釣れる
月のフナは泥臭くなくとても美味である
レンズで焼くと水色に変わる
透明になる直前までよく焼くのだ
これは父の好物でもあった
あなたにも食べ ....
開放されるのは
11時で
それはもう
髪を後ろに縛らなくてもいいということで
夢は?
と聞かれても
猫とソファーで暮らすこと
くらいしか
思い浮かばない
やりたいことは
これか ....
雨が降ると複数の穴から
水が漏れて
まるで
滝のように降ってくる
温度変化の激しい夜は
風邪を引きやすいから
ご自愛下さい
三寒四温の季節には
そんなことも書簡に認める
複数 ....
祖父は
海軍士官学校の先生だった
手を合わせる横顔に
平和を祈っているのかと訊ねたら
そうではないと小さく呟いた
悔やんでいるのだと
小さく呟いて、そして
祈りは何も変えないのだと
....
故郷に向かう電車で
斜め向かいに座った男性は単行本に夢中だった
その人が
かつての同級生
しかも
思春期に
恋焦がれてラブレターを送った相手だったりしたら
と
帰ってきた家で
ほ ....
いつだって最悪な問題はリアルタイムで起こっている
のんきにそれを詩にしている場合などではない
いつだって最強の詩はリアルタイムで流れているじゃんかよお
最悪
いつだって
毎回そうだよ ....
よく自分はTVを観て間違ったことを言っていると
少しムッとする
私の中でTVのイメージは事実だけを伝える物
だから、人の意見を変えてしまうようなキャスターの意見を聞くと
怒っていたのかもしれな ....
TVの中に在る"狂素"たち 己がために蜜を与え
民との差別化を謀り 耳元で批判を叫び 民を操り 甘美な蜜と成す
傀儡となりし民は増え続け 真を知る民に民に戻されたり
愛し ....
湿度高き日に
あなたの白き指を想う
その指がなぞる先
北上する飛行機雲のひとすじ
オホーツクを抜け、
北極海へと達するに違いない航跡の
さて、
北の海も、夏ともなれば、
さすがに日差し ....
毎日ひとつ
卵を産んで
1年を
365日で過ごす
鶏の生涯は
凄まじいものと知る
夜を込めた清少納言は
雌鳥も知っていただろう
鬨の声を上げて
殺到する軍勢を
風車がなぎ倒して ....
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【未詩・独白】いまだ詩ならざるもの あるいは独白
作者みずからが未完成であることを認めた詩作品たち
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