朝、いつもの時間に家を出る。
母さんの作ってくれたお弁当と、いれてくれた水筒。
いつもの電車で、持っていた文庫本を読む。
会社について、制服に着替える。
たかだか30分だけのために ....
ビルの20階から見渡す
大阪、18時25分
真っ黒な夜が街中を包み込んでいて
環状線を走る赤いテールランプの群れは
終わりのない葬列の円環
あの光のひとつひとつが
同じ数か
それ ....
蟲になれ。
尊厳を食う蟲なれ。
蟲になれば
病院なんていかなくてすむ。
蟲だと思えば悩むことなんて
何もない。何にもない。
例えば、蚊
人間の生き血を吸う。
腹いっぱいに人 ....
喪服の婦人が森から出てくる
入れ替はりに
首うなだれて一羽の鶴が
森へ吸ひ込まれる
霧たちこめて
婦人も鶴も胸まで霞んで
二者はどこで擦れ違つたのだらうか
ともにもういづこに ....
自己嫌悪
いつまで自分はこんななのか
今日は思い出してしまった
しょうがないことなのに
あの人はとても優しいから
優しくて強引で 強い人
曲がったことも嫌いで 自我が強くて
そんな人
....
はじめの一歩をふみだすより
勇気のいることはないでしょう
気持ちが一歩踏み出せば
後から体もついてくる
体が一歩踏み出せば
自然に気持ちもついてくる
生きるために必要なこと
話をするこ ....
羊羹にお茶ならいつでも良いです。
主人公の猿飛佐助は
そう言って次のページで
みたらし団子を頬張って
子供達を羨ましがらせ
ジャイアンツの選手も好いけれど
真田の忍者にな ....
ジョン・レノンの呟くそれと
和田アキ子の叫ぶそれと
ぼくの書くそれ
平等なんかじゃない。
私には今 愛する人がいます。
私には今 幸せをくれる人がいます。
私には今 居場所があります。
いつも一人と思っていたけど、今はもう一人じゃない。
今はもう 一人で泣か ....
さみしく囁く
そっと静かに
夜は
流れる
川面には
風
さよなら言葉
これから二度と
言わない
好きだとか
嫌いだとか
忘れてしまえ
昨日も今日も
明日も未来も
全 ....
イタイ光
ウルサイ声
今日も朝が来たみたいです
朝は眠いから嫌いです
ぐっすり眠れるように
お薬をたくさん飲んだせいかな?
朝は挨拶を欠かしません
昨日遅くまで付き合ってくれた友達に ....
真っ黒な太陽
真っ赤な空
今日も昼がやってきました
昼は寒いから嫌いです
今朝のお祈りを少し間違えたのを
神様にばれちゃったからかな?
お昼はお買い物にいかなければなりません
ご近所 ....
カタツムリは
どうしてあんなに大きなラツパを
引き摺つて歩くやうになつたのだらう
身に余るラツパの大きさに
閉口してゐるのはよく見かけるが
いまだそのラツパが吹き鳴らされたの ....
あなたがいくら私のことを好きといってくれたとして、
愛してるといってくれたとして
どんなものからだってきっと
まもってみせるといってくれたとして
その額にやさしくキスをしてくれたあと
誓いの ....
かわりばんこに
ジュっ
どっちのんも
ジュっ
って
うちら
まだまだやな
て
どっちが言うたか
忘れた
ほんでも
今日は遠くから見てる ....
オレンジ色のバケツ
の形をした灰皿が
今日
とうとう
ついに
ただの
オレンジ色のバケツ
になってしまった
煙草を
休ませてあげられないのは
意外と
不自由だ
....
だるい昼休み
のびかけのカップラーメンを食べながら
週刊ポストを眺めていた係長が
ふいに
「スーパーサイヤ人になりたいなあ」
と呟いた
すると
コンビニのサンドイ ....
私が生まれなければ
私が早くに死んでいれば
両親は不幸な人生を生きずにすんだ
「子供の頃からやりなおしたい」
そんな人生をおくらずにすんだ
私がいなければ
{引用= ....
午前一時二十分
列車の連結部近くの狭い一角
床に腰を下ろした青年は
震えるドアに凭れて眠る
( 手すりに{ルビ柄=え}を引っ掛けて
( 吊り下がるビニール傘の振り子
真夜 ....
夜の海に浮かぶ一艘の船
荒波に揺られ
横たわる観音菩薩の白い体の上に
飢えた犬の垂らす
赤い舌
残された わたしは
息をしなければならないと
ごぶごぶと
両腕で水をかきわけながら
溺レル
月も星もない
光なき空の下
コールタールのように
生き物の棲まない
真っ黒い海がうねる ....
もっと鼻が高けりゃ見れるんだがな
刑事に侮辱された女テロリスト
鼻に入れたつめものがもれだして
神経にさわりだす
爆裂弾へのみちころがっていく
生きるちからを奪うものを
恨みの純粋さを ....
俺とアイツは
もう50年も暮らした
気恥ずかしかった
笑いにも素直になれた
大根が折れるほど
....
風の匂いが
秋の匂い
明日につながる今日は
終わりじゃないから
投げやれない
ちかごろ
葬式の想像ばかり
生きるも死ぬも
自分の思い通りにならない
ギリギリ
義理立て
....
空があんなに高い
高くまで煙
樹々は赤や{ルビ橙=だいだい}に燃え拡がる
燃える燃える
火葬場で一服
歯の奥のおくでしゃりり と
こんぺいとうが 鳴った。
まだよるは足元で
ゆっくり呼吸している
震度一のゆれが
じんわり腕をつたって
すこし ....
冷房がきいた部屋での昼寝はさいこー
ダラダラが好き
ゴロゴロベットに転がって
時々をさますとテレビでやってたお笑いが
いつのまにかアニメに変わってる
カーテンを閉め切っても漏れる光がまぶしく ....
U字型磁石を持ち出して
道ばたの茶色の石を検査した
少しでも吸い付けば
磁鉄鉱のはずだから
沢山拾い集め
溶かせば鉄になるのだと
幼い経験と想像力が生み出した
手の中の黒い鉄の塊は小 ....
スランプと呟くとちょろり水が出た
雨季だというのに今日も断水している
給水施設が老朽化して能力半減しているのだ
明日には復旧するという噂を聞くが
当てにならないから今日も
....
棘魚が住むという
小川のほとりに
住んでいた
メダカのような
ちっぽけな
雑魚が
水草の横から首だして
神経質な目を向ける
こいつ、反体制だな
作 0 ....
39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79
【未詩・独白】いまだ詩ならざるもの あるいは独白
作者みずからが未完成であることを認めた詩作品たち
このカテゴリの作品には以前は批評を禁止していました。今後もなるべく批評は遠慮くださいますようお願いいたします。
0.67sec.