空遠く消せぬ落書き卒業歌
人ふいに春の水から石拾ふ
うららかや友うつくしく疎ましく
花冷や行方不明の恋敵
ボンネットに足跡残し春の猫
春嵐緑の騎士を連れて来よ
花冷のされど ....
夜桜の下に捨て来し胸の闇
戸に立ってウクレレ弾いている菫
石鹸玉ウクレレ弾いて眠りけり
朝寝してウクレレ弾いて日暮れかな
ウクレレと珈琲のある日永かな
雨の日もウクレレ弾いている菫
終列車警笛響く春の雨。
ひとけなき寺のくぬぎの春嵐。
春雨は別れの歌の余韻かな。
南溟
梅散りて夢の中ほど六地蔵。 南溟
君の頬赤い金魚と色比べ
墓の無い終わりを告げる水の羽
{ルビ弥生=やよい}より流れ落ちたる{ルビ卯月=うづき}かな
とどまらずただこぼれゆく冬の雲
傷を抱 ....
蝋梅の溶けゆくさまは蝋に似ず
春眠や豪華三本立ての夢
啓蟄や朝日を浴びて我眠る
流し雛流さず焼きぬ空に舞へ
この土はまだ生きてをり下萌ゆる
龍天に上る日を違へはせぬか
....
性愛を投げ捨てるべし春の闇
「うち」という呼称は鳴るか水仙花
梅の花咲き極まりて白き肌
その胸に紅梅の咲く夜を知る
春のバス満員なれば風強し
ただひとつ桜が咲きて汁き夜
....
アネモネの恋の痛みが風に散り
着飾って並んで見てるチューリップ
蒲公英の綿毛に乗って空へ行こう
隠れてもわかっているよ沈丁花
青スミレ君に捧げるサムシング・ ....
{ルビ春風=しゅんぷう}やマイケルジャクソン来日す
タバコ屋のおばちゃん代わり販売機
テトリスかGoogleMapの僕の町
恋愛病。林真理子な女たち
雨近し僕した空が食う夕陽
春の芝濃いと淡いの鬼ごっこ
月に波桜花散るアメリカン
公園で悲しい枝が空を刺す
オレンジに溶けない僕の影長く
桃色の洪水安売りハートチョコ
無機質な日がかすむ街わたしの目
九度二分を踏みつけてゆく夜半の猫
引汐を 追って沖まで 春の海
{ルビ石鹸=しゃぼん}玉 私の知らない 窓のそと
風邪ひいて口やけどする昼の汁
さふして立つてゐて坐つてゐてさふして
朝まだき春の焚火のやはらかく
四十雀日雀春田の修飾符
曾祖父は清水一家や忘れ汐
春の海見やり枯木に火を点ける
野火猛る猛れども焼き尽くさずに
焚火して未だ青春の語を背負ふ ....
目覚めれば夢で聞いてた雨の音
春うららんこっそりスキップしたりして
マーガレット雨の日だって上を向く
一粒のイヌフグリ咲く浅い春
明け方の寝顔の奥に春の ....
電線の雪ぶつ切れて落ちて来し
ポケットに凶器あたため暮れかぬる
妻を殺して帰る家 冴え返る
遺書などは無くとも二月の首縊り
シクラメン呪いは無垢なこころから
春の水濁れよ神の指触れん
失えど
桜舞い散り
涙ぐむ
淋しくも星七つ八つ春は来る
初七日の師とともに解く入試かな
{ルビ初午=はつうま}の氏子送りて遅き昼
春一番彼の屋台も早じまい
マラソンの朝冴え返る銀座かな
鼻風邪やお得意様のありがたさ
恋人を兄さ ....
春来ても僕の昭和は花咲かぬ
あったかいクリームシチュー白熱球
「いってきます」「おはよおかえり」の挨拶
飛んでった「痛いの」着いたか生駒山
しもやけとカフェモカ色の幼い日
日溜まりに夢見る猫の二月かな
盆梅や骸の幹に紅が寄り
124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160
【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
0.58sec.