「十一月」
数減るも巨大化していく女郎蜘蛛
雨風に吹かれ散ってく夢ゆめよ
あっという間に魔に墜ちる少年期
ちりとりに飛びこんでくる今日の死蛾
焼かぬのに灰にまみれて ....
弱ってる冬蟷螂の黒い影
雪だるま作れるほどのものがない
あの人と半分こする冬林檎
冬深し旬の魚は海の色
小春空取り忘れてる柿ひとつ
寒くても障子の奥は別世界
日曜を 待ち侘び老いる きりぎりす
倒れ臥す野薊に泣く凩
凩とあかぎれの血と赤い頬
泣きたくも木枯らし痛し寂しき日
冬寒し缶コーヒーを握り締め
皮を剥く母親の手は蜜柑色
背伸びする白鳥見ては真似をする
冬めいた街見るだけで寒くなる
雪が降り無口のまんま積もりゆく
北風が桜の葉っぱ赤にする
冬の月寒さも知らず笑い顔
いっぱいの日差しを浴びる布団かな
冬の虹儚いものと知らされる
イルミネーション仕事帰りの疲れ取る
冬の海失ったもの探す日々
木枯しや誰かの背中追いかける
ほろ酔いの頭に浮かぶ冬銀河
紅葉の穴場を示す情報誌
秋澄めり遥か彼方に見える恋
逢いたくて逢いたくてまだ春遠し
マラソンの人に手を振るコスモスよ
サヨナラの匂いが混じる冬の海
寒くても温かくなる冬の恋
冬空に穴あけて飛ぶハワイ行き
枯葎命の息吹弱りつつ
ツリー見る独り寂しい聖夜かな
吹く風に押されて咲いた寒桜
寂しくはないよと開く忘れ花
駆け抜けど 暮れは短し 師走風
冬空の 寒さに凍え 夜は耽る
夜が明けて 寒さに揺すられ 目を明かす(字余り)
木枯らしに包み込まれた街景色
飼猫に遊ばれている小春かな
ドライブに一緒にのせる冬日和
生きているのか
おまえという女おれという男
また夕方か
風吹けば黄色の風に変わる秋
一人きり切り刻む葱二人分
冬スミレ咲き誇るにはまだ早い
大勢に見られて赤く染まる月
冬深しライトアップも震えだす
冬将軍真っ白な風引き連れて
欅葉の欅葉を追うつむじかな
滝の音側で聞いてる冬紅葉
逢いたくて逢えないと知る冬休み
紅葉に引き寄せられる心かな
悴めば人の温もり欲しくなる
木犀の香りばらまく風の音
枯葉散る音もないまま消えてゆく
初恋の甘酸っぱさは青林檎
オリオンの輝きだけは目立ってる
雲ひとつない空染めるオリオンよ
銀杏の拾い集めはマイブーム
冬うらら平年よりもあったかい
冬静か草木を揺らす風もなく
ケータイの着信を待つ夜長かな
ぽたぽたと降れば積もれば雪遊び
神の留守行き先告げず何処へやら
ありし日の浄土の園で蓮根掘り
山葡萄ボージョレヌーボォになれはせず
生るもののない畑に散る冬紅葉
大掃除冬の冷気もお手伝い
山葡萄手を伸ばしても届かない
音楽と共演してる霰かな
朝凪や今日の暑さを物語る
仲良しの家族の如く曼珠沙華
ほんのりと顔赤らめた姫椿
高台のマンション光り銀河のよう
吊るされた柿渋取りし秋の風
サフランや控えめなのか薄化粧
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