天と地に眉引いて外出す
緑濃く包丁砥ぐほど湿っている
息をして大気の重さを計測する
立てば屁が座っても屁が夏の月
野に出でて神々に会う木の葉ゆれ
雑踏に神の祝福在り無しや
見上げては空は遠のく曇り空
銀波のようにしみわたるキスをして
うれしさもさびしさもいっしょ あいしてる
あなたとは蛍の国で逢った気がする
いない人また向かいゆく夢の道
油分揚げぬ粉ゼロビスケット
オリコンにピローズ並び雨を待つ
青シーツ天使(きみ)がのこせし羽根いちまい
夢なんざ虹の向こうで捨ててきた
冷蔵庫くだものひとつの宵月夜
木漏れ日で眠るぼくらは10時指し
....
さよならと青いノートのすみにかく
天使とぶ軌跡のこして夏は暮れ
悲しみはまぶたのうらに熔かすもの
熱い夜にぼくの未来は透明です
タバコに火ひととき針を消え見てた
マルガリーテバイオリン指示弾け暗く
黒い死が風呂ミルク中にフーガする
暗闇に ポツリと灯る ホタル火よ
ホタル火の 光の輪っかに 包まれて
ホタル付き 光るボタンと なりにけり
ホタル火や フラリフラリと さまよいぬ
フラフラと 宙を漂う ホタル火よ
ホタル火 ....
光 求め緑透けるほど見詰めている
海の音に誘われてゆく雲の先
読書して拾う言葉は貝の殻
泣きじゃくり終わったような青空だ
月青く遠回りした道照らす
時 ....
蜂の巣の体で回す日傘の柄
訪れたここそこで我が骨拾う
ミゾオチにポッカリ開く風の穴
菜の花や周りの空気黄に染める
春嵐受ける身体は冬仕様
森羅万象 欠けてはならぬ我影なきゆえ
完璧の形状であるこのコップ
欠け茶碗 愛おしさに白湯すする
雑踏に影忘れ去る不条理よ
今生は我が影捜す旅路なり
朝露に見果てぬ国は宿り来る
突っ立って我に影なし草いきれ
新調な音の新しいスピーカー
友仕事心なく道を向かう果て
死なないと温水日本の月曜日
蝶ひかりて山の向こうに墜落す
せわしくも花につきさす蝶の口
蝶までの距離のちぢまぬ捕虫網
夜の雷ピンにとめらるしじみ蝶
影のない喪失感や葉の緑
樹の思想 地割り上昇スパイラル
ビルの谷 光渦巻く矩形の空
雑踏で一人影置く寂しさよ
曇天が溶けたアイスのように甘い
暗闇で影踏み遊びは真の闇
日傘さす影のない日の白日夢
白日の影踏む一歩地に投げて
フラットの窓辺鮒釣りをする月明かり
砂嵐石仏埋もるランプの灯
雑踏に雨染み込んで{ルビ玄=くろ}く行く
冥暗のガラス研ぎ澄まし雨雫
天荒の息急き切った海の意志
俳句する永遠の今を留めたし
風動き我突っ立つて雨の降る
複眼の目持ちて写生句は
水晶を月夜に照らして呼吸さす
ちゅら島のサイロの悪魔 放擲だ!
何か苦を死んでいないが君はいて
ゆく鳥は徹夜を眠る夜明けだがと俺
山に落ちしかし水の波紋が汚濁
鳥昏く飛翔して陽の大海
蛇搾る樹液の朝はぬらりぬらり
蟇蛙が轍で潰れ死んでいる
思う誰星は僕にない夜に街
胃の生姜鶏を腐敗に押し込んで
ミルクからズラミートなる夜明け黒
額に角の生えてホラを吹く
古本の活字生き生き今一度
贅肉を削ぎ落としたく俳句日和
絶妙な漢字ひらがな釜で煮る
明け方の鳥の声さえ夢の色
金糸なる静かな時編むまどろみは
ソファーにてなおつづまりて猫の夢
頭頂の夢のかけらが部屋に浮く
月曜を刻むシンバル雷鳴の闇
オリコンにロックンローラーザ・ピローズ
日曜のケンカする夜電話虫
揺さと風 豊穣の胸に抱かれて
陽は流れ雲行きて行くこの窓辺
風の腕木々に触れ 聞く風の音
会社出るなくしたスーツにぬるむ風
五輪山望むあいつの古傷に
詩の声をノートにペンを握りしめ
104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144
【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
0.57sec.