霊の痕跡 宿り雨 昏
傘さされ咽ぶ霊界 雨止まず
揺れる胸 大きく息する乳の雨
今 女性性を飲み込むところ
雨に憧れ昏く眠る日
深まる雨の行きどころ
暗い場所 白光の衣 濡れ
見ろよ美しい男根が空と交合する
引き戸がガラガラと開かれて夜明け
小鳥らのさえずりは太陽を回る掟
肉欲に囚われ 雨しゃぶる
混雑する古本屋で まただ 同じ本と出合う
銀杏の落ちゆく道で泣きぬれる
祈りに白光する御身の体
板戸の闇はねのけて白光
きつねババアの占いがメールで届く
歯ブラシのバキッと折れて朝
空 なめつくして晴れとなる
朝一つ無間地獄に経あげる
午後に等しくゆるむ体と魂
丘に登って旗立てて
やわらかな季節を楽しんでいる
髭曼荼羅 数の多さや仏・菩薩
光を街に投げてみる
灯火寂しく静かに夜の淵
自由な討議 木片のペニスの林立
ガンジーを囲む自由の闘士らは
白衣の戦士が記 ....
ガード下のひっそり佇む昭和の人
70年代冷戦の仄かな緊張と死
黄泉へ下った冷戦を揺り起こすな
骨箱の折り鶴 代償100万羽
骨壺の中で踊るの骨尖る
世の中ゆるせない事もある
昏い軍機 地に陽光の蝶舞う
予定調和するメロディーに乗り決する
歩行する足と足の間に光は群れて
喉仏に蝶を飼う人
コツコツ ブーツの足音 世界が美しい
海いつとなく揺れ 波のはしる
詩歌集見ると舌舐めずりのロクロッ首
....
10日、前日の余波がある。軽く流す感じで12句ほど書く。
一週間の実験も終わる。10月10日の作品。
墓標 闘争の現場あの世は激しく
墓石に糞蠅ギラギラと密集
灰を壺に貯め ....
降る棘や石の路咬む火花かな
午後の背を読み仮名のよにすぎる街
誰もみな狂わぬ日々に狂う雨
片足に片恋の針突き刺さる
....
冷える朝 皿を洗って 湯気昇る
名も知らぬ 虫の{ルビ薄羽=うすば}が 透きとおる
落陽の 焔が燃える 西の窓
風に舞う 死んだ他人と ちり紙と
8日、一日中作句モード、朝から断続的に10句ほど書いた。
西東三鬼、ぱらぱら読み、エリッククラプトンのブルース少々。
人類の夢がしまわれている島
風のそよぎ続けているお話
....
7日夜、9句出来る。成果もあまり期待しないで始めてことなので嬉しかった。
風が懐かしい歌歌っている
深夜 細る月を待っての進軍
蛍光下に投げ出された本
風に郷愁 ....
情報隔離週間と銘うち、読書、音楽鑑賞を控えた。
{引用=脳髄のインプットを減らし、自身の脳がどれだけアウトプットするかを
試してみたかった。書物は西東三鬼の句集をパラパラ捲る程度。
....
白い息夏へ向かって雲となる
一球を追う少年の背に桜
振りぬいたバットの先に暑い夏
ひとしずく終わった夏へ零れおち
道を焼き我を焼く笑み水たまり
つながりよ皮一枚の旋律よ
空ばかり人のかたちに閉じこめる
人が消え人のうただけ永らえる
未明に ....
秋雨や恋は流れて猫の糞
長き夜に蜘蛛一匹の弱りかな
恋もせで何が詩人ぞ虫時雨
雨 降り始めの音 聞き洩らさず
寝室で眠っている犀を起こさぬように
音楽がそう聴こえたら大人だろ
黄扇を 天に掲げし 公孫樹
ひらひらと 扇舞い散る 公孫樹
銀杏葉の 金の絨毯 敷きにけり
青空に 銀杏並木の 金世界
ツルツルと 葉も実も滑る イチョウかな
パッと割り ツルリと旨し 銀 ....
三日月に人民服着て国慶節
漢民族 帝国の龍 飛天へ昇る
龍神立ち昇る漢土の風は濁
三日月に迷彩色 冴え返る軍務の友
腕章に黒く特務を染め抜いて 天
秋晴れや今日こそエタニムの日なり
新月に偵察機に乗る
北の軍隊 広場で一糸乱れぬ行進
月 作戦に呑み込まれても 我に希望
曇天に各自の太陽 腹の中
新兵は三日月に鍛えられる
彼は愛だろう この昼この夜に
脊髄 弾倉に充填の意味
念のため 意味を武装する
情報 ゲリラ戦 読書勝負
雷鳴が声うしなうほど合一し
翼なんぞ削ぎ落とし作業する
銀河のカケラを食べてみる
星降るや靴を枕に庭で寝る
今の今まで詩の神がいたのに
夜長に蛍光灯が書を照らす
夜景が女の人の洗い髪のようだ
碧と青 果ての見えない 地平線
{引用=北海道にて}
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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