し ま い 湯 に 黴 の 香 ほ の か 手 足 伸 ぶ
盂蘭盆会三句
仮 住 ま い 我 に は 詣 る 墓 も な く
夏 つ ば め 塔 婆 の 高 さ 測 る よ に
抱 ....
樹木
山桃の実のぶつぶつの舌触り
葛のつる川土手の樹を緊縛す
炎天や犬の尿に樹木立つ
昼の樹の葉叢の奥の星の夜
窓を叩き梢が夜を連れてきた
....
春すぎて夏もすぎれば職もなく
蛍雪にかわる光かモニターよ
俗世からひと足先に飛び降りる
廃棄喰い己が身分の足るを知る
白米に蛆のおもかげ見ゆるかな
蓮茶飲み誰か故郷を思は ....
赤い糸切れて結んで春隣
鬼やらいリップクリーム貸したげる
早春や秘めた想いをチョコに載せ
まぶた閉じ2月の睫毛恋してる
菜の花忌司馬遼読んだことがない
春遠し十円ハ ....
頭痛
倦怠が成層圏から降ってきた
うっすらと頭痛呑み込むパスタかな
氷床の軋む音する頭痛かな
頭痛飛び地球を巡り海に墜つ
雨
生まれ ....
足上げて渡っているのは歩道橋
カンザシの
椿の花に
メジロ来る
寒鴉ココロの隙に嘴を
笑えないギャグを飛ばして滝凍る
大寒に愛を深めて寒からず
冬深し電車が走る日の出前
狩人が狩人を狩る月曜日
たい焼きをナイフフォークで食うマナー
....
自由気侭に家事放棄
笑って誤魔化せ実能力
外弁天の内弁慶
明朗快活腹黒々
矛盾してこそ育つ自我
暴いて欲しくて隠してる
そもそも隠すほどの爪 ....
肩に積もる 雪振り払い 君の部屋
窓の雪 飽かず眺める 床の上
ゆきおとこ 背中丸めて 帰りけり
影冴えて光きらめく雲見つめ
松納めお屠蘇気分がまだ抜けぬ
毒物を吐き出すように手鞠唄
重ね着もどうせ脱ぐんだストリップ
寒風を吸い込み君は離婚する
新海苔を水着代わりに写真集
職無くし有難味知る粥施 ....
窓の外 子を探す声 雪女
愛不足 爪を噛んでるクリスマス
娑婆に出て10年ぶりの冬景色
かあさんを庇い刺されたサンタさん
落とし穴落ちて出られぬ冬の浜
凍空に生きる方向見失う
鴛鴦が互い ....
地球内天球仮説外か内か
卵は完成され雛鳥は死ぬ飛立たぬまま
スクリーンの裏側に部屋あるといえばあり
虚妄の五階それは奈落へと続くホール
インスタントダヴィデの彫像
菩薩聖誕祭イコンの聖母子
完全球体理想の人体エエーテルよ、エエーテル!
第六元素創造フラスコ宇宙
ただいま正月おかえり新年
抱負は毎年変わらず 無事
蟹を食べ始めるまでは賑やかでした
虱潰しに暇潰す
初笑いとの根競べ
初の雑煮に既に飽き
....
花吹雪暗黒封印リング/破壊
生成生誕そして破滅死/装置
生誕死亡の命運に萌芽の枯死に黒白薔薇園
鳥籠植物園/絶滅新種/火の茨
青空がこの目に見える日もあり
東京の空を突き破って
人々の希望に倦んで我病んで
我が絶望は明日に連なり
我が魂この世に燃える祈願あり
人の嘲笑を受ければこその
アパートの隙間の死体:腐敗臭
便器の蓋に記す海図:波記号
吐寫物を便器に流す嗚咽:過酷な現場
五杯目のウイスキー:皺枯れ声の喉仏
比喩植物/引喩動物/インデクス
黒死病/伝染舞踏/客死/
訪問者/人間渦巻/椅子に浮く文字
スフィンクス/形態解剖/捻子/これは詩なの?
もしも今夜世界が終わるなら、参鶏湯を食べる
無人島に何を持っていくか、迷い続けてる
ああ、そうだ、小さいころ綿菓子屋さんになりたかった
どこかにきっとあると時々さがしてみるうちは、た ....
冬神の喰らい忘れた緑かな
弦も否も震えも知らず冬を抱く
半面を冬に刺されて化生かな
抗いて落とされてこそ冬ありき
諌めても壊 ....
水芙蓉/悉くは散りぬ/ディケーの
オネイロス/夜の眷属/接ぎ木の花
キュマイラ/新種の銀杏/雌雄の分別
寂滅/そして回帰/メビウスリンク
風吹いて雨の小声が雪となる
痛みすら忘れるほどの冬の薔薇
小鳥来て枝先たわむ雪の朝
うとうとと命の日干し何思う
一つ越え二つ越えして大晦日
失われた星座暗謡家の歴史は
壊れた受話器垂れ下がる電話ボックス
あれはオリオンガラスの窓の植物園
残酷なる希望駅にて・キネトスコープ
砂の履歴ピラミッド・ラビリントス・廃墟の壁文字
壁物語壁抜け男壁の裏
死者の伝言奇語怪声の移動ベッド
手術台百の鉗子の切開穴
首吊死体(ケラケラ)投身死体(オー)
天地創造/泥の人形/吐息/わたし
塩の柱/エノクの復讐/飛び去った
ヤコブの梯子/密室の蝶/花瓶/一滴
砂丘の椅子/はためく背広/空の鳥かご
咳き込んで風が飛び立つ冬紅葉
深秋の空転がり落ちて背を丸め
一本の線となり行くわら煙
柿落ちて枝先軽く風に揺れ
吐く息の白さばかりが時を摘む
オウイディウス葡萄樹婚姻
オフィーリア雪柳の栞後ろ髪引き
古城亡父の幻や百篇アンドロクタシアへの手紙
毒塗りレイピア突然死家族の血統
シェイクスピア骨子難解人間パズル
86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126
【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
0.65sec.