花びらに頭入れてく揚羽蝶
毎朝の「いってらっしゃい」も最後の日
ひと休み 蜜柑畑にお茶の声
皺も増え顔も似てくる五十年
三回忌 手酌で交わす水の月
アロハシャツ巨大迷路で四苦八苦
夕涼みあのわだかまり消えていく
冷し酒冷静になり仲直り
不器用なマジシャンの指握り鮓
寝苦しい夜に絡まる指の紐
冷や麦茶 汗も滴るいい温度
輪唱で徐々に深まる両寝息
網戸風が鳴らすカーテンの風鈴
苔清水丸い氷にウイスキー
苔清水グラスの中はオレの部屋
木耳を入れたラーメンゴッホ展
さみだるる音楽堂に悲愴かな
大きめの網持つ姉妹夏の川
彼女さえ太ってなけりゃ夏の海
キョンシーをプールに落とし蜻蛉の子
梅雨冷えの深紫の注射あと
やっと紫の紫陽花を見つけた
雨の音聞いているのか夏至の犬
おしぼりでウサギを作る床涼み
蛇の衣時間ばかりが過ぎていく
短夜のアバンチュールやマーメイド
浮気した女の鼻へ集汁
マドンナの縦笛の穴今年竹
遺伝した陥没乳首早苗月
時鳥(ホトトギス)
挨拶の声
あなたなら
いっぽんになるまで蛸をあいす姉
大空よはりつけられるあまがえる
なつかぜはねつ造するぞ夏のキス
踊り子はまた忌引きする花ざくろ
まっさらないわなの国の敵である
ソクラテス ....
栗の花イランイランを焚いた嫁
二次元の彼にフラれて五月闇
錦鯉南海ホークスのキャップ
赤以外の色を吸収して緋鯉
小蟷螂名前の知らぬ花ばかり
玉葱の齧られた跡月時計
テロメアの短い羊夾竹桃
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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