花冷えのトランペットの長い音
....
佇むなただ突っ走れ一年草
今日も漂いクラゲになって
疲れ果ててもおれは歩く
いにしえにこだわるきみ
変わりゆく言葉は生き物
出せないきみはなにしてる
酔い酔いて塩なめる
塩なめて初めの味を知る
浜に出で潮の匂いただよう
岩塩をこつりと噛む苦さ
身体を走る潮の匂い
人は五味を糧として
五味六国を彷徨い歩く
ドロップは火垂るの墓の味がする
水色の小鳥のような手紙かな
便箋の紫陽花に触れおれば雨
改行の少なきひとの笑みおもう
もうはるか遠い水無月の消印
メ
歯の隙間気になるアワビ
明日は覚悟の鰻と勝負
苦手な刺し身妻に寄せ
誰が言おうと立ち食い蕎麦
胃を無くし鏡に映る骨格標本
灰かぶりすべてがもどる海と山
鉄クズを研ぎ澄ましては夢をみる
縄文の炎のごとくわれ焼き尽くし
オレンヂの熾火に酔って明日想う
犬を追い猫を追いては天地を駆ける
醜きを ....
眼球に化けたる女朧月
タモリ似の人面瘡や蛍狩
蜃気楼背にして仮面はずしけり
路迷い闇路のしとね花埋み
ワタスゲに夢を託して風を待つ
サリサリと舌に染み入るかき氷
わたあめをあがなう硬貨にぎりしめ
風鈴に四万六千あずけつつ
アサガオの蔓をたどれば空の穴
鉄塔の穂先に咲い ....
サバ缶買い占めニヤリと笑う
マヨネーズか醤油か戸惑い唸る
かいま見た妻の横顔皮肉の笑い
浮気心でサンマ蒲焼に手をだす
猫缶がチラリチラチラ気になる
選択肢の多い猫に嫉 ....
憧れの君いま何処
妖しき姿に魅いられる
誰がために君は往く
伽羅を焚き君想う
漂う蛾眉の美しさ
花冷えや昨日と同じ服の君
花冷えの空白多い時刻表
伽羅を撒き肩を抱きしむ
ぽつりぽつりと龍脳を噛む
かつかつと黒檀刻むわれ
白檀という我が名前
羅国の夢は遥かに漂う
紫檀の龍笛微かに響く
神代の欅を如何とやせむ ....
此処でいえない
蕎麦すする
朝の光に向くままに
珈琲を煎りヴォカリーズ聴く
西も東もわからないままに歌う
妻よりMitsoukoを奪う
一尺の梵鐘で今日も始まる
緑檀の数珠をかけ経を唱える
花冷えの誰もフォローをしない夜
花冷えのゴリラと手話で話しけり
雨が降り砂浜の砂泥になり
火のついた煙草が路上で虫の息
朝専用缶コーヒーを昼に飲む
朝専用缶コーヒーを夜に飲む
梅雨明けの半袖へ打つ注射針
六月に心臓発作で死亡する
....
葱刻み納豆をねる
煮干しの眼が俺をみる
出汁巻きで妻を慰めるわれ
水茄子おもい西ながめ
鮭を焼き今日を占う
目玉焼の難しさ息を吐く
立ち食いのかき揚げ蕎麦は総崩れ
....
お母さん
ぼくは何故イワシ焼く
味噌汁
納豆
生玉子
時計みて
かきこむ立ち食い蕎麦
辛口の紅鮭
玉子かけごはん
昨夜のカレー
椀に盛る母
フランスの銅鍋を購うという我 (喧嘩する)
妻の棒々鶏はステーキのような
サクラマスを食む季節
ポテトサラダは夏の味
トマトに塩ふり母想う
幼き頃のカレーはいま何処
....
雪降る夕日を背にする哀しみ
晴れ晴れと真澄の空ゆく
花びら咲く木蓮の風
小指でそっと紅ひく
刹那の輝きアンドロメダに隠れて
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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