家を出て 寒空の下に 身を晒し
凍えて思う
もうかえろう
秋風に 吹かれて光る くもの巣に
いちばん星が 捕まっている
なかなかに成すべきことは成し難し外へ出ずべし犬と{ルビ蝙蝠=こうもり}
名、をつけて、指間からこぼれ落ちる、もの、そこまで愛せ、そこまで愛せ、よ、
彼はいろ我はひかりか 赤青黄おなじ要素で対極に立ち
半分の顔で笑みたるその闇が満ちて怯えん君温け ....
うやむやに秋の一日を寝過ごせば影なき夕に喉の痛めり
踏みしあの石の方から坂道が暮れ、くらがりに蟻の殺傷
髪しぐれ飾り窓に広がりて雨にも見えぬ線に怯えむ
かすれ目の帯解きなおす仕草より竹思わしく風もがき来ぬ
六村の時計ひと ....
信号の青き灯りの連なりて道滞る秋の深みに
菩提樹の上で交わるけだものの系譜の果てに立ち尽くす我
吼えるものただ自らに背くもの震えるけもの響くけだもの
膨れては刃のごとく雪を斬る寒さ忘るるための憎しみ
....
全身の 筋肉痛の 愛おしさ 始発に揺られ 遠く反芻
「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち
「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く
「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り ....
群れて咲く淋しがりやのコスモスは気ままな風にこころ揺らせて
あか抜けたる通りにありて煙草屋ののど飴賞味期限切れなり埃もかぶってるし
賞味期限過ぎしのど飴べたつけど人に見せては共に食いけり
そも我はシャッター閉ざす軒先でパソコン開き居座りをりき
....
映画観て星見て渡る踏み切りの幅の広さよそぞろ寒さよ
枯葉散る
人の去る後
涙打つ
この空白を
身に滲ませる
{引用=
痛みから目を逸らさずに
真正面から受け入れて
それでも強く生きていこう。
人には良く笑おう。
進んで挨 ....
{ルビ百合=ゆり}の木の葉のいく枚か色づきて穏やかならん秋の人達
日向落ち日陰落ちする{ルビ欅=けやき}葉の涼やかならん秋の朝とき
熟されてワインのように薫る日々
ひとひ{ルビ一日=ひとひ}を飲みほす人生
男泣き今にこの恋忘れるさ
五臓六腑にいも焼酎よ
紫煙はき椅子に毒づくたったひとり
....
秋の夜の小宇宙など見つけむと塩と砂糖を眺めたりけり
めざめては指に生まれし水かきで午後の終わりを泳ぎゆくひと
ゆきずりの他人の家の軒下に丸く在るもの季を唱うもの
届かない遠い川原に届かない指の軌跡の光あおいで
....
にせ薔薇のにせのしずくのまことめきつど眺むれどふるることなくて
立ち並ぶ{ルビ欅=けやき}の枝に日は紛れ案外永き秋の午後かな
廃墟から走りはじめたふたりならねじれの位置をねじまげられる
竹馬を猟銃のように構えれば夕陽がはじけてふたりは紅く
「て、てて、手をつなごう」って言ったら僕の手を両方つかんだきみが大好き
....
花畑泥棒ひそみて折りし茎緑かぐわし一日の終わり
街道に数まき散らす標識に道から道へと他人の静寂
渋谷にて白糸垂れる横断歩道踊る傘々武士おしのける
電灯にけぶる煙草に目を細めけむりを足 ....
秋風に山騒ぎ立つ昼間かな「フリー」なる身の「ゆる」き光の
ポツポツと 屋根に落つるる 雨の音 癒しの旋律 奏でたりける
雨音に 恋のメロディー 乗せてみた 甘く切ない ラプソディ
凡庸なきかくのなかで踊りたいそこで鍵盤たたいてエディ
継がせない焼け焦げたって譲らない成れの果てよりもうすこし先
細胞の悲鳴を裂いて与えられる消えない紅蓮ととろけないチーズ
....
夕暮れに 綺麗に染まる 茜色 旅立つ君に 見せてあげたい
燦々と 光り輝く 夕焼けに いつもと同じ 誓いをたてる
着信を告げるTRANCEが響けば借りっぱなしの本は乱舞す
ひとを刺すことはいけない事だわよ「やめろよー」とか言われちゃうわよ
こころにも化粧をしたらかなしみやうずく魔性も隠せるかしら
....
先生の 長い話を 聞き流し 青い空をば ずっと見上げる
暁に 飛行機なげて 飛んでった 紙は勿論 テスト用紙さ
長話 愚痴る君こそ 五月蝿いと 思っていても 言えないもんだ
文句言う ....
ハーモニー、櫂のしずくに呼応する空が茶色に透過する午後
目という目、口という口あつまってAの会合ひらく廃村
風の影みつける蝶やカーテンのおおきく呼吸している窓辺
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