好きだった曲は嫌いになったんじゃないし好きなんだけど聞けない
限りなく優しいエンヤを好きになる 英語が聞けぬ我でよかった
CDを降ろし一人のドライブはラジオもかけず風の音だけ
....
五月晴れ
夏の陽射しを
通り過ぎ
風の温さに
頭を垂れつつ
北へ行く電車の音を聴きしよる瞼の奥に郷里はありて
五月空美貌眩しく輝きて刃のごとくにわれをつきさす
夜風吹き揺るる蠅取紙の蠅われの孤独は夜に膨らむ
夏蝶が荒野をぬけて来し時に大地の眼はするどく開く
青年はミケランジェロに惹かれやすく告げし身深く一羽の鷹に
夏の夜に堕天使つひに優れたり星月夜すぐわれに近づき
パンパカパーンパパパッパンパカパーンナニワノオッサンシンデモタ
食ひ過ぎの腹もて歩く夜半の道何の花木か匂ひ絶えざり
千切れかけなお千切れざるアロエ葉をふと千切りしが持て余しけり
青空にわれをおさめし帽子舞ふ故郷はいつもわれを拒まづ
街灯に蛾はなに求め集まれり夢なき高校生の分身
マッチの火点けて拡がる夕暮れに未来に逆らひ運河薔薇色
春夏の夢にかけたる浮橋の
途絶えに月をながめくらさる
五月雨にみかさ増したる川の瀬に
月は流れでみづ音ぞ澄む
ひさかたの光をかへすはちす葉の
浮けるみなもに波たつる風
....
一回転してしまえない飛び出せないからぶらんこの鎖がたわむ
靴だけを先に逃がしてぶらんこに繋がれたまま残ったわたし
順番を待ってから乗るぶらんこはつまらないからぎりぎりねじる
ぶらんこ ....
霧の村に石を投げれば切り開く明日の地平は放浪型に
五月空どこ見渡せどあを続き少年雲を翼にかえる
シーザーを刺して終わらむ野外劇星は夜空にあふれて消ゆる
空泣く夏
影法師たちの
追いかけっこ
ジャンケンしたこと
ないんだけれど
古家の壁かすかなためいき風と化しこの手触りに思い伝えし
去りがたき旧家にひそむ精霊も君もわが青春の影とす
穂草は種を密かに飛ばすイエスよりマリア若きをその罰として
満天の星は人の不幸ならむと決めつけ孤児はおのれなぐさむ
たたいても尽きぬ埃で日常にわが身を埋める「砂の女」
めくる字より脳を痺れさせたのは本が吸ったタバコの煙
※「砂の女」安部公房
夜桜で短歌詠もうと満月に照らされ君に逢いにゆく春
ハンガーに掛けられたまま置き去りのフレンチコートが恋模様です
去年見た枝垂れ桜が咲いているそうです君は帰ってきますか
遠方の山の ....
君のこと好き好き大好き愛してる十歩先行く背中にとどけ
ハハハという乾いた笑いだって良い 幸せくれるあなたの笑顔
恋心気づかぬふりして通り過ぎ自分を守る弱い僕です
アプローチ知らぬふり ....
翻弄する春の嵐が去る先は悲しい顔した菜の花の中
詰め込まれ押しつぶされてぺっちゃんこ現実つれてけ満員電車
集まると寄ってたかって噂して結局みんな彼が好きなのさ
カーテンの裾の隙間に見ゆる風桜桃の実は食べ尽くしたり
世界の果て求め太平洋に出づ勝ちても悲しき少年の日は
鰯雲旧家の歴史も浅かりき表札静かに滅びを急ぎ
疑いなき眼によりおこなう間引き故両手の罪は水で流れむ
ゴルチィエのトーガ戦がせ夜を往く PARCO3宇を神殿として
十色のマニキュア十本の指に塗り分けて極彩都市の迷彩とする
ライダーズ・ジャケツ纏えば超都市の電光噛み切る黒豹となる
生臭 ....
朝焼けに 彩り添える 歌でさえ 笑顔の先に 思い出せると
翳した手 傷は癒えぬと 繰り返し 欠乏の果て 声は枯れゆく
さざ波の 白々しくも 酸い音を 瀬に背に受けて 空 ....
青年は蛮声あげる暗黙の絵画のような空にむかって
麦垂れるわが過ちを焦点にあたたかき闇充満してゆく
失うものなければ雲の峰仰ぎ草笛吹きつつ孤独を癒やす
晴れて晴れてそよ風かよふ我が小庭桜桃の実の熟れてけるかな
わが春の分身とよびたき青き種子大地の暗み信じて沈む
いちめんの麦の青みのなかにいて思ひつげよとわが背押す風
上空の子燕のみが新しく街にはびこる意思なき者は
{ルビ門=かど}ごとにあふるる花を競ひ合ふ住宅街を光貫く
やはらかき茎裂けながら薔薇の芽のあたらしき肉色に生い{ルビ出=い}づ
腐りつつ笑ふ黄の花雨受けてプラスチツクの鉢膨張す
恨ま ....
木々の芽の{ルビ魚=うを}の頭のかたちして霞の谷に息ひそめゐる
この冬も人失はれ残雪の谷さやさやと木の芽張り初む
断崖に身をよぢりたる一樹あり芽のあをあをときのふを忘れず
約束てふ言 ....
うららかに風のかすめる真昼間を透きとほる茎ゆらゆら歩む
いつぱいにひろげし指にうららなる光を溜めてさよなら少年
仰向けの蛹にうららなる日射し二度の誕生ゆるされてをり
うららかな日の暮 ....
電車過ぎやがて月食はじまりぬ夜風静かにうぶ毛を揺らす
噴水も止まり後には静寂と夢なきわれの影はゆらめく
他郷での海岸にでて小鳥らにここも故郷と言ひてはばかる
いつだって心配しつつ見守って そうする内にいつしか惚れて
友情の方が壊れにくいんじゃない? 恋のリスクに臆病になり
悪い気はしないんだけど君の愛背負う勇気がまだ足りなくて
いや実はけ ....
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