五月雨に打たれて果てる卯の花に永遠には咲けぬ理を知る
降り注ぐ雨音強く打ちつけて
声をかき消し絶えず涙す
濡れねずみ涙の跡もかき消して
変わらず空はただむせび泣く
誰がために声あげ泣かむこの空は
絶えぬ想いを涙に変えて
....
風吹きて傾きやすき天の川おをむけのわれに星降り注ぎ
初夏の森蝶に誘われ入りにけり敵の数だけ花持ち帰る
「反対の階段下で待っています」
あなたの胸に蝶々が降りる
右耳に雫が一つ落ちるから、ワインのコルクは赤く染まる
幸せを謳う詩ならどこまでも響くものだと信じてたけど
....
日盛りのセルフスタンド満々と吹き抜ける風人それぞれに
暗闇に目が慣れた頃見えてくる何万匹ものヒツジの群れが
専属のスタイリストが欲しいです あなたとデートの日はいつも
会ってすぐ「ラブホに行こう」と言う君が清々しくて妙に愛しい
好 ....
あいねがい
たえぬこころも
なくなくと
さらにながるる
みずからそらへ
闇空に 轟き咲いた 火の花束 川辺に並び 見る人々よ
浴衣着て 二人で花火 眺めつつ 悟られぬよう そっと手握る
冷めやらぬ 昂ぶり胸に 抱きつつ 人込みの中 紛れて帰る
熱帯夜 ....
濡れそぼり張り付く髪もそのままに睫毛重ねて雨を忘れた
君思ふわが名流るる滝つ瀬の
はやき心をたれか止むらむ
紅の色に夏の葉かくす{ルビ山躑躅=やまつつじ}
いでやかなしき人をぞみゆる
こころありや宵待草にあさつゆを
....
ドトールの片隅の席 揉み消した 今日の吸殻 君への想い
席を立つ後ろ姿に映る影 君への未練まだ捨て切れず
月照らす家路の途中 何か落ちていやしないかと俯き歩く
誰もいぬ部屋の明 ....
夕陽の堕つる彼方に昨日問ふわれと埃かぶりし母のオルガン
澄み渡る空に浮かびし虹を見る子らの顔には虹の跡なし
われ乗せて北へ走らむ夜汽車にて車窓に顔つけ頬を冷さむ
誘われて
親元はなれ
駆け出した
風の向くまま
行方は知らず
降りたった
土壌は堅く
独りきり
見知らぬ土地に
不安を覚え
この土地に
深く根差した
モノとなり
大志 ....
花咲な
月が差し込む
夜にのみ
雪の色して
光仄かに
濃紺の夜空黄色き三日月に赤き火星と白き明星
夏の野は沈黙の果てみつめあう
だけのくちづけ唇に蝶
じっとして壊れないよう忍び寄る
白い羽には光だけ射し
言葉などもはやいらない君をつれ
夏の丘へと逃 ....
紫陽花に魅入っていたら置いてかれ 独りぽっちの雨の放課後
雨蛙ぴょんぴょん跳ねて彼方へと 愛するヒトを探しに行った
雨上がり黄昏どきの葉の雫 きらきらきらと光を放つ
吾が母の産まれ出でぬる六月に 制服の 子等の 列車に乗る哉な 。
溢れ居る列車に乗りし子等はただ 任天 DS 黙って 興ずる
今朝 部屋で にきび つぶしし 少年の 満員電車で ....
まぼろしか白夜の夢に君を抱く 鼓動ひととき重なりて、泣く
時を打つ鐘の音色も{ルビ夜=よ}の色も白くまどろみ繰り返す「恋」
白夜なら大地もぬくもり忘れずにいるから今宵は許しあお ....
飲み終えたアールグレイの味がした まだ冷めやらぬ熱き接吻(くちづけ)
青春の恋は清涼飲料水 きらり輝くあの汗に似て
うたかたの恋があたかもシャンパンの泡と消えゆくウィーンの街
この愛 ....
悔やんでも過ぎた時間は還らない だから未来を選びだすのだ
成功もあの日犯した過ちも全てが今のここに繋がる
感情を無くせば死んだと同じこと 想う心は生の肥料に
過ちを幾度も重ね学 ....
空高く猫背を気にして君を待つ約束の無い公園通り
枕抱き眠りにつく初夏の宵 夢に見るのは君の曲線
色男ため息ついて開かせる女の心と財布の紐を
カラオケで悲しい曲を歌ってはそれよりマシと ....
心呼吸
嵐前夜の群青に染まる午前七時
「めげない。」
と誓う
なんとなくおいしそうだと思ったの わたしスプートニクを墜とした女
ヒステリー女は丸いカプセルに入れて 水洗レバーは・・・「大」
いらないと思ったからね だってそれただ回るだけのおもちゃ ....
別れ時
君に送りし鉢植えを
君枯らす時
わたしも離ろう
照り焼きテロ焼きミディアムレアで死体満開満漢全席。
隣人人参みじん切り!混ぜれば解らぬハンニバル・ハンバーグ。
締め鯖みそ漬け塩焼きムニエル ....
葱の葉を包丁の刃が貫いてきらっと光りじっとしている
やる気ない定期考査の勉強に机に向かえば夢へと向かう
始業ベル鳴って五分は頑張ったけれど眠気は容赦がなくて
取り敢えず解けるものだけ答えたら夢の世界へいざ参らんや
終業のベルでよ ....
疾走す十六の夏が跳ね上げる飛沫に眩み光に濡れて
夢よりも大事なものもきっと夢何追エバイイ遣る瀬ないまま
迷うのは間違っているからじゃない 信じたいのはたったそれだけ
傷つけるばかりの ....
大抵の車は白き色にして街も大概白き夏かな
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