{ルビ静寂=しじま}からもの憂き雨が貫けど
破れる夢もない熱帯夜
曼珠沙華かさなる闇に{ルビ咲乱=さくらん}す
狂おしいまま抱く情に似て
熱き夜に悶える ....
走りきて吾が手をとりて飛行機雲
指さす孫は 1才と半
{引用=
(孫=まだものが言えなかった頃)
}
梅雨入りて
雨はすぐさま
上がつては
お天道様が
にこにこ笑ふ
この夏は
猛き日照りと
なりぬらむ
萎たることの
無きようにせよ
世界史やジブラルタルで別れしもイスタンブールで逢ふが必定
朝寝して昼も寝通せ暗き部屋{ルビ梅雨入=つい}りの雨の音も絶へねば
単純に奇声を上げて喜こべる
子等に渇きし心ほぐるる
ねぎらいの言葉を明日はかけるべく
目覚時計の ねじを巻きつつ
奴凧吹かるるさまに幼子が
犬を追い行く 梅雨の晴れ間を
苔庭に ....
戦いで戦いの無い世の中を得ようとしても得られるはず無く
行き先は極楽浄土と信じきり桜のように散り逝く戦友
生きる意味捜し求めて死ぬ意味を押し付けられた彼等儚く
....
夜の川
仄かに光り
飛び交うは
源氏と名の付く
儚き命
螢火を
頼りに歩く
夜の道
昔の空を
心に浮かべ
月は照る
遥かな空から
地の果てへ
星は ....
朝起きて 太陽までも眠たげに今日の軌道を手探りしてる
君がもし薔薇の花なら棘までも抱きしめて枯れてみようか
都合良く使い古して捨てるとは携帯なんかと一緒にしないで
そのままがいいと言 ....
木の芽煮る 香を家中に満たしめて
仄な気息に浸る一時
柚の香のたつ厨辺に春の雪
硝子戸越しに舞い上がりゆく
咎むること胸にある日は釘までも
せんなきことに吾が服を裂く
雨の音聞 ....
あしひきの
やまにおるらむ
きのふのひと
けふのみやこ
あすかのみやこ
ひと知れず眠り深まる硝子傷なさけに託した夢の数だけ
鋭さは傷つかぬこと自らが裂いたものにも怯えること無く
いつくしみ囲いを厭わぬいばら織り潤んで消える虹のひとひら
....
昔より恋は繰り返すものだから {ルビ亦心=またこころ}が {ルビ亦心=またこころ}を
闇歌を綴る理由は歳じゃなく経験からの諦めた傷
偽りを誠に変えて誤魔化して逃 ....
台湾坊主荒れ狂ふニュース報ぜらる
吾家の前に鳩は遊ぶに
しきたりに鰯匂はせ豆まきて
平和を祈り節分祝ふ
待望の雨はほこりの匂いまで
室に運びて心和めり
みがきゆく茶碗の白さに ....
くさまくら
わがたびのほど
さきゆかむ
なみだしながる
いにしへのかは
疲れてるけど可愛い妻よわが鳩よ福井の海の一夏の日に
わが心じっと離れぬこの家に妻よいつまでもいつまでも
きみがため歌を書く机のうえに花の写真と僕のなみだと
風ノ葉
こころには
埋まることなきすき間あり
葉の揺る茶屋に
独り佇む
椀
{ルビ空=から}の{ルビ椀=わん}
ひかりのにじむ
底のまるみに
....
チャドクガもシュッとひと吹きぽとぽとと地面に落ちてあの世行きかな
『おはよう』と
交わす言葉に
込み上げる
今日の愛しさ
噛み締め生きる
『また明日』
あると信じて
別れてく
沸き上がりくる
寂しさ隠し
ためらはず さしかけられて傘に入り
片身ぬらせし君が気になる
足悪き子雀来たり 今朝もまた
待つ身となりて エサをまきたり
枯葉踏む犬の{ルビ足音=あおと}はリズミカル
夕づく公園を ....
夢染める 折々の日々 同じ時 流れ流れて どこどこ憩う
日記にて 徒々なる日 綴りては 積み重なりし 笑顔と涙
ご機嫌に 口笛吹けば 飛んでくよ 茜の空に あの日の迷い
....
突然の激しい雨に言葉切り
雨戸を閉めた君の白腕
さぁさぁと静寂の中に衣擦れと
息遣いのみ聞いている午後
まだ止まぬ長雨の中見送られ
しぐれ柳をくぐりて走る
ゆれてゆれていま夏風に何問うのでしょうあじさい紫陽花この白昼夢
青い花いいないいな
でも紫も
名前に負けない輝きがある
昨日の雨は飲んでしまった?
それとも土に凍りつ ....
恋をする魔法があるなら教えて欲しい あなたにそっとかけてみるから
おはようとおはようございます それだけの関係だけど気になるんです
ぴかぴかの1年生にもなりきれない 恋愛初心者 でも恋 ....
隣屋の塀にはびこる つたの青
さみだれに色 尚つやめきし
散歩にと さいそくにくる愛犬の
うったえる瞳に 重き腰あぐ
「サヨナラ」の言葉は彼を他人へと 出逢う前にも戻しておくれ
惹かれてた 好きの言葉を飲み込んで会えなくなれば忘れられる?
左手の指輪の跡が告げるから その手に触れて見えなくしていた
....
各地へと
足跡残す
偉業には
天国行きの
片道切符
漂泊の
旅を終えれば
いざ寝床
朝日を見ずに
さあ眠り逝け
神哭きて
割れんばかりに
響いては
涙滴り
大地を濡らす
刻経りて
涙は尽きて
笑い出す
陽の優しさに
虹を返して
単純もよきときあると自らと
慰むるとき 時雨の音する
ふれ合いし手の冷たさは言はずして
春雪消ゆる早きを語る
尋ねきし人は留守にて山茶花の
散り敷く庭に一人ごちする
我が裡 ....
おばぁちゃん
ただひたすらに
愛でてくれ
今は一人で
味噌汁すする
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