薄ら寒きベンチに座してビールとパンのささやかな昼餉
寒き朝駅に列車を待つときも心引き締め未来をみつむ
立派な書物さえ並んでおればそれだけで書斎は良く見える
駅に向き歩き来たれば傍らに ....
散歩より帰りし犬の足を拭く
吾が顔のぞき されるがままに
くちなしの{ルビ香=かおり}ただよう くりやべに
千日紅の赤が寄り添う
短冊の白まぶしくて愛の字を書けないままに無地で結んだ
黄色がいい君が選んだ一枚は願いじゃなくて歌をつづろう
霧雨に耐える紙縒(こより)が話さない青の祈りは「海にあいたい」
....
卓上の玉葱の芽は日日伸びて
七本の青き葱となりゆく
ふりむいてくれたらいいのに五月晴れ困難さえも愛道しるべ
淡雪の降りゆく夢を見た朝に消えしは君の命なりけり
若草にかかりし露の一滴掬いて君の眠りし場所へ
旅路には仄かな光飛び交ひて誘(いざな)う泉清く流れて
兩頰に赫き渦卷書き入れつ街を往けども誰も嗤はず
不快指數高き闇夜に獨りゐて柳の枝の猫をこそ思へ
四拾弐の夏は来にけり莫迦坊の父より年嵩なりしや吾は
川ł ....
海荒れて瀧のごとくに雨降れば声も聴こえず心読みあふ
再び人生を問う
整理する本棚にみる妻の本ほのぼのとした明るいおもい
オールド・ファション・シボレーが走るハバナの側堤を
夜のキャバレーの黒人歌手みんな独りよがりで生きているのさ ....
髪を短く妻は刈った前とちがってちょっと残念だった
妻が勤めに見送ったさびしい体操をして元気をつける
また妻と二人西武百貨店に行って喫茶で話しをしよう
無花果が口あけ雨を受く姿勢
姑独り居の狭庭の隅に
家の建つ工事現場の土もらい
それぞれの鉢に土満たしてゆく
人よりもおくれて登る鞍馬寺
熊に注意と立札のあり
足弱き友に ....
結婚を
クチにしてから 僕たちの
熱い絆はボロボロになり
朝露を
含みて光る
横顔に
心奪われ
夢に旅立つ
君は咲くシャインシャワーを跳ね返しこの瞳(め)に映る空を抜き取る
トリップは三秒前にも戻れないホワイトアウトに踏み外す足
陽炎のウラ見え隠れする噴水は見慣れたはずの街の ....
「一番星はどこに」
風薫る陽だまりの中少女跳ね触れようとする新しい夏
どこへでも吹くなら吹けと夏風に弾む心と手に入れた恋
この海はいつかあなたと出逢う海一番 ....
逢瀬まで
幾日ばかりと
数え上げ
吾が中ばかり
満ちゆきたるや
幾日が
長しと思ひ
指折りて
疾くと希ひて
逢ふ日を待てり
バス降りて 草むら行けば足もとに
稲穂ゆるがし イナゴ飛び立つ
秋雨のやうやく上りし宵の月
ジャンケンをして大人賑やか
耳もとに娘がつぶやきぬ生え際の
薄くなりしと夫のことをば
....
休日
別れても同じき神の園に住み共に奉仕をつづけてゆかむ
(クリスチャンの友人との別れ)
9千円妻と買いけり一幅の絵黄色いバラの静と咲きけり
たびたびに訪れる西武百貨店われら夫婦の ....
長所はね 床上手だと言い続け
何度目になる 童貞の夏
花選び散散迷いて りんどうと
決めて俄かに秋をさみしむ
帰り来し子にぞ言はれて屋上に
上りて見れば満月清し
木犀の匂へる塀に沿ひ行きて
訪ぬる家を過ぎしも知らず
野生美の紫 ....
一人部屋
雨音の部屋
湿った部屋
花咲かぬ部屋
日の差さぬ部屋
長雨を
眺めるわたし
袖振る君
水が土に
流れる予定
軒下で
笑う坊主に
しかめっ面
わたしを牛耳 ....
したる雨あなたへの道あるけどもあなたの心つゆほどしらず
紅葉の木鳩去りゆきて淋しげに風にゆらるを座りて見る
山峡の湖水の絵を見て妻と共これを買いたる頃をおもほゆ
本棚の隅を占めいる「ユダヤ戦記」ヨセフスの著苦しみに満つ
受け付けの 色白美女に 会いたくて
毎日通う 脚のリハビリ
リハビリの
マシンの声が 「がんばって」
あげたいけれど あがらない足
リハビリ ....
冷房のつよきビルより出でてきて
鋪道の照りは肌にほどよし
寝袋を肩に出て行く子等のあと
逝く夏の風追いかけてゆく
留守宅の犬に餌やる三日目を
信頼しきる犬の目と合ふ
矢 ....
我家は神の住み給う家にして日夜御顔を仰ぎたてまつる
神のそばイエス居たまいあれこれと我の業おば導き給う
使徒パウロ我の右より声かけて我の意見に同意した給う
無言にて薔薇一枚を差出され
祈りの如きさまに受け取る
抱え持つ洗濯物の子のズボン
ポケットに鳴るは はだか銭らし
かきつばた あやめか しょうぶと論じつつ
床几に寄りて賑はふ ....
かたいのか
やわらかいのか
知りたくて
触れたくて触れたくて
オレンジの髪
夢だって
わかっていたなら
その髪に
触れてみたのに
ああ触れてみたのに
くちびるも ....
香水を付けて気合いを入れてみた 特に理由は無いのだけれど
香水を付けて気合いを入れてみた 別にあなたの為じゃないのよ
香水を付けて気合いを入れてみた お風呂に入って寝るだけなのに
前髪の白きに毛染吹きつけて
女身愛しと笑われもする
蓑虫を二つぶらさげ鉢植の
さつきは強き夕立を受く
草の実を体に着けし犬と吾れは
川辺歩めり秋風の中
雑踏の中のマキシ ....
275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315
【短歌】このカテゴリでは31音律「5.7.5.7.7」を基本とした短歌と、その音律を崩した自由律短歌作品を受け付けます。短い自由詩は自由詩カテゴリへ。短歌批評は散文のカテゴリへ
0.67sec.