コロッケ屋の店先に掛く花の絵にたびたび立ちてめでにけり
渋き色調溶けこみてそこはかとなく包む雰囲気売りはすまい
呼吸するすべなど誰も教わらない駆け出す夏はどこまでも海
鍵盤を戸惑うような告白が胸をすみかに未来へ渡る
横顔にかける祈りもつかのまに夢から夢へ原理をつなぐ
....
左手のダイヤの裏に隠された本当の意味知らぬ幸せ
寝言では私の名前が出ないよう
呼び名はいつも愛犬『ナナ』で
「ねぇ今日は記念日でしょ」と花束を
....
雨音のぱたりぱたりと心地よくけぶる視界にひらく番傘
手の上にカプセルの薬あそばせて
次ぎ編む服の配色と決む
夢に見しことくり返し夫語る子等は
留守にて話題ひとこま
硝子戸に写る雪影大きくて二人の夜が
童話めきくる
首すじ ....
夏のぬくもりってどんなの?と少女、軋む氷のかけらを溶かす
この雨が上がればさよならの予感半袖の先爪に塗りこむ
果汁がどのくらいの夏ならいいの太陽と日焼け止め調合
何も考えずに揃って鳴 ....
石なげて しばししてより音のする
ダムの高さに心おののく
静かなる師走のダムに労務者の
網引ける声 四方にこだます
つぶらなる茨の赤き実の陰に
するどきトゲが短陽に透く
....
朝焼けに乾く唇噛み締めて君を待つてる息が白ずむ
ごんどらの唄を聞きたし二十八歳の夜更けに乙女に還れり
小指だけ繋ぐ初しさもどかしさつたはるならば今すぐにでも
....
井戸掘の職人たちは泥つけし
顔そのままにしばし仮眠す
階下にて九州土産の風鈴が
台風予報の風に音たつ
名月に逢ふひとときを足らひゐて
たゆたいがちに春間近かなり
【昭和四十八年 ....
朝目覚め窓見てみれば
澄みきった青
白い雲 穏やかな空
吹き返す風の強さに耐えかねて
君を盾にし
突き進まんや
過ぎ去って
祇園祭は出来るよう
着物姿の男女が向かう
....
里芋の葉に露玉を宿らせて
風も光りて土用に入る日
身体ごとゆるるが如き北山の
杉のみどりが視野に広がる
微熱ある夜を目覚むれば
枕辺に誰がつけくれしか蚊取香匂ふ
熱湯の ....
あやめ草あやに恋しき君なれば
夢も染むらむ花むらさきは
名にし負はば紫野辺の夕やみや
見せようつつに千代の面影
ときじくの花にはあらで露の花
ただ ....
右側から来た物体を左側に受け流すだけじゃ許されないから
ぢぢぢぢぢ 公衆トイレの看板を殴りつけたい 逃げ場所がない
漠然とした安全も漠然とした不安もいつも感じる
....
「手をつなぐ」だけじゃホントはもの足りず 「抱きしめたい」と訳してみたの
(I WANT TO HOLD YOUR HAND 抱きしめたい)
「愛こそはすべて」だったらいいのにな 世界はこうも ....
I miss you 呟いてみる午後三時アールグレイに満たされてゆく
木苺のタルトをさくりとかじるときグレーテルの声が聴こえた
空白の手帳に記す明日もなくガトーショコラはほ ....
夫婦喧嘩仲裁は娘が引受けて
吹き出すはめとなる雛の前
初出勤明日に控へて幼児期の
日記を見せて娘と語り継ぐ
大雨のあとの賀茂川に流れ込む
廃液は濃き染め物の色
気まぐれ ....
光合成が不得意の僕らにまた夏の陽が降り注ぐだろう
屋上のベンチに座り互いの塩分濃度を確かめ合った
生き物の忘れていった生ものが機体の上で腐りかけてる
メデューサが美容院に ....
{引用=月日に添へて時の花咲き
前の花のいといみじふ美しき
おぼろなりて花の匂ひを忘る
あやめの花もまた同じなり
時の移ろひとはかくのごとくと
定めを知るなり}
花あやめ消えゆく色 ....
ぬばたまの髪をほどいて君の手に瞳あずけてビトウィーン・ザ・シーツ
うつせみの命のかぎりを惜しむべく両の乳房を愛されている
ひさかたの月夜を飽かず眺めてるブランケットにふたり ....
己が部屋に在りては唯我独尊遠慮がいるものか
三十一文字のうちに不思議な律がありまとまれば完成
飯炊きの秘術探りて三十年まだまだわからぬままに
ストーブの上に煮つまる匂いして
今宵は独り本に寄りゐる
支えゐる心重しと思ふ午後
陽ざしがいつか雪となりゐし
いやされし言葉を胸にあたためて
ショールに頬を埋めて帰る
....
桜草
薄桃色に
染まったら
君の頬にも
朱が差し染まる
向日葵と
麦わら帽子と
ワンピース
青い背景
よく映える君
奥山へ
紅葉踏み入り
歩いては
赤の隙間に
....
驟雨きて あわてて上る物干に
後より夫も手助けにくる
クレーンにて運び込まれし銀杏の木
菰に巻かれて道に横たふ
北山は時雨るるらしく雲たれて
行く手に燕低く飛び交う
妻が勤めに白い朝顔が初めて咲いた雨がしきりに降る
ドビュツシー前奏曲集静かな曲妻を想う悲しさを癒す
鎮めても後からわく不安あくなき心配人は空しきもの
電話線には雀が五六羽さわ ....
情熱家
君のカラーは
何色か
確かなことは
白でないこと
見栄を張り
残るは惨めな
自分だけ
ひとりで歌う
アマリリスかな
帰郷した
僕に変わらぬ
愛注ぐ
母に贈 ....
梅雨空の比叡の山に雲低く
梔子匂ふ川風吹きて
何やらむいぶかりて見し窓の外
夜に入りて降る雨しぶきなり
もの忘れひどき此の頃 娘が笑い
用多き故と言いわけをする
目をとじるうつらうつらの昼休み放送室からあのコの声が
夢覚める空白だらけの午後一時ただ流れてるいつもの景色
ふでばこの中で震えた携帯もいまは動かずただ鐘を待つ
たずねびと。わたしはここで生きてます あの日のあだ名で検索してよ
君に似たプロフ見つけて手を止める。こころにあしあと残したかった
友人と呼べぬあのこも「友人」と呼ぶしか ....
忘れたいことばかりある昨日今日覚えていたい明日にしたい
愚痴をこぼすことは自分が苦しいと認めることでだからできない
愛してることが必ず“悲”と“喜”とに分かれることも生きてる不思議 ....
君に逢い不治の病に冒された僕の心にまだ春は来ず
目を伏せて出来た陰影艶やかで理性を奮わせ視線は空へ
富士山へ夏の終わりに山登り朝日に染まる淡き恋花
不死なんて意味 ....
274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314
【短歌】このカテゴリでは31音律「5.7.5.7.7」を基本とした短歌と、その音律を崩した自由律短歌作品を受け付けます。短い自由詩は自由詩カテゴリへ。短歌批評は散文のカテゴリへ
0.64sec.