ほんとうに汚い世界だと思うけっきょくあるのは偽物ばかり
いきてゆくいきられるだけいきてゆくたのしむようにぼくらはできてる
花折れ峠より朽木(くつき)へ
空曇り心も少しくもりなり今朝朽木へと出発したり
晩秋は冬か秋か定かならず寒暖の差大きかりけり
うとうとと車の後部にもたれいてミュージツク流れる
霜 ....
無いものを描いてベランダ吊るしたら明日はきっと涙雨です
機能しない体温計の水銀はわたしの胸の中身と一緒
質問を垂らしてみたら何重も波紋が踊った恋人の明日
ないているわたしが理解できないと声 ....
エスペランサ、希望という名の覆輪のピンクの薔薇は超巨大輪
新顔の虫ミニバラを食害中。今度のやつはちょっと嫌いだ。
颯と薫る風を前にして満開はまだといわれても引き返せるか
天高く薔薇肥 ....
わがままなイヤホンコードの動きにもつながりたいって思うさみしさ
星空を糊でふやかして紙を貼り抱負を書くには弱い失恋
真ん中で割って肉まんを分けるなど ....
仕事から帰れば電子レンジにて温めるだけの愛のないご飯
寝る前に飲んだビールの空き缶に景気の悪い世界が映る
{引用=
ざいじょうをのべてときみにいわれたら どれもまだまだみすいだという
ぶらんこにのせてゆらしたげんざいが ぼくをあだむにさしてくれない
ざっしからきりとるつみのいろどり ....
握力が蒸発しちゃってあかないの 飲ませてちょーだいポカリスエット
平熱が五度八分ってひくいから 七度二分にもキスにも目眩
あつくなる舌で転がす体温計 ピピピと鳴るまで風邪の味見
朝夕に二錠 ....
{引用=
いち
}
深海のエントランスがここにある(キスは壊れた鍵音がする)
ニセモノをニセモノとして愛しなさい 商店街は長すぎるけど
足元を見ながらいきてくしかなく ....
文明の進化の速度が加速度を
増しに増したりビルに吹く風
しののめの空の色調見守って
この一日の安寧を祈る
明け方の昏き部屋にて灯るのは
....
曇り日の妻の花壇は彩さみし戸を閉めて机に座りけり
トレモロという曲ギターで流るテレビ放送心をたたく
今朝の家雰囲気はよし幸先よしだが人の心の空しさよ
梅雨明ける片側に傾いているしかないんだね朝のシーソー
野球帽はすに被ってきみは行く夏炎天の田んぼの道を
風多き場所より早く秋が来てまだ夏の日の街をかなしむ
水門はただ待っている秋の日 ....
曇天の雲突き抜けて昇る体
雲海の国は常光の風
そろそろと歩く街並み寂しさの
つのる昏さに雲の降り来る
空昏い時の収穫夕刻は
....
横長の陽射し
オレンジ
リビングに
果実むく手と濃淡つくる
蜜みたい
トランペットの音のびる
指ですくって
夕焼け、とろろ
朱をぼかし
うすもも塗って
金散らし ....
雨が降りビニール傘に映り込むカクテル色の街を染める灯
梅雨明けて影が濃くなる一方で「夏は暑い」と無言で語る
砂浜に流れ着くのはペットボトル手紙の中のメールアドレス
昼休み街で見かける ....
ちっぽけなもろいグラスにプライドがはいりきらない、ひびが入った
ちょっとした風もいちいち染み込んでフラペチーノに泣かされる夜
もうやめた もう憧れることやめた 君の隣のティニー・ガール
....
ああ食べた 幸せの後にやってくる
後悔{ルビ量=ばか}量りの秋の鍋会
制服の胸で何かを育ててる紺の靴下はいた娘ら
文庫本読んでる君の眼の中に寄せては返す海が見える日
昼下がりだらりと畳でねむってるわたしだんだん蛇になってく
そこだけが青 ....
喪ったあなたの窪みで横になる 心電図のように遠い雷
さびしい は離断されてて(誘蛾灯)ファミリーマートの緑青白
きもちいいね、きもちいいね、とよびあえばガーゼにとびちるさみ ....
冬の日の眠った街と太陽の温度で君の指を造ろう
夕食時ひとり切り盛りする睫毛慣れっこなりやウエイトレスは
黒なりや濃紺なりや愛らしきウエイトレスのブラはガストの
遠い日に 赤いその{ルビ陸=おか} 燃え尽きて 花火を散らす 冬のよびごえ
高瀬舟 水面漣 塵に消え 叫びも聴こゆ 蒼の水底
異国の眼 怯える彼の子 金の髪 ....
水飲みて伸びしてヒゲを整えて顔を洗ってあくびす猫は
水飲んで伸びしてヒゲを整えて顔を洗ってあくびする猫は
{引用=(横たわる河をいつもひとり渡ったこの身も河のひと粒として)}
電源を切ったつめたい指先が私の花をふるわせて、夜
私だけを、という歪んだ夢をみて卓上の檸檬が暴発する
恋人か友人 ....
お見舞いの花が光を指して咲く 私の代わりに呼吸をしつつ
牛乳と着替えと洗面歯ブラシが お先にどうぞと譲り合う朝
薄い壁一枚隔てて悲しみと 希望の声で幼子が泣く
先輩ここめっちゃなじん ....
朝に
晩秋の小雨しと降るうすくらき朝の車はゆかしく去りぬ
髭を剃る朝に人を迎え夕に妻に会うためなりともに心して
歳とりて若きゴルファー打つボール転がりゆくをじっと見つめる
落ち着いて急ぐとしよう もうきっと間に合わないから焦らなくていい
千年が過ぎたら星を旅してる機械船にも休みをやろう
踏みつけた桜がいつか役割を終えて機械の一部になる夢
気分的には最 ....
踵立ちまばゆいものが降りそそぐ爪先立ちがうまくできずに
見ひらかれ縦にふるえる眼球にくちびるは沿い声を呑み込む
胸の山胸のけだもの胸の棘胸の氷に ....
昼起きて午後眠る間に子を造るけだものの{ルビ性=さが}知るか詩人よ
ぐだぐだと日記を書くなら{ルビ他所=よそ}に書け挨拶なのか御遍路なのか
....
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