クレパスのさくら色だけ短くて買いたしにいく春の自転車
窓の外 ぐるり見渡し 水浸し 街を沈めよ 雪解けの水
外の街 人の差す傘 並び替え 空に届けよ 赤青黄色
街の空 雲の谷間に 春の色 赤に染まるよ つないだ手と手
空の赤 視界を覆う ....
{ルビ鬱人=うつびと}の 命の水を くみ上げて {ルビ六花=ゆき}を咲かせる 水銀の空
{引用=
好きです、と 迷って言ったら「知ってる」と答えるあなたがやっぱり好きです。
おやすみ、と あなたに言われるそれだけで うまく眠れる人になりたい。
傷付けたい。 そん ....
二月二六日
聖書読む手を休めては湯を沸かし妻が求めしクッキーを食ぶ
静かなる部屋に座りて書を開き真理を学ぶ如月の昼
み言葉はすがすがしくて今日はただ妻と神と聖書考う
息子帰って ....
冬空をひこうき雲はまっすぐに。どこまでもゆく、どこまでもゆけ。
よび戻せ バケツかぶせた 雪だるま 凸凹埋めず 離れた二人
かぐわしい酒はこれかとディサロノを娘の森に注ぎ乾杯
楽土への鍵はアーモンドの香り
私の口移しで召しませ
最後の夜彼のカルピス飲みほして身に焼き付ける初恋の味
やわらかな光をたばね菜をゆらす瞳に春を住まわせた人
傲慢で ひとりよがりな 心臓に ナインインチの 釘をぶち込め
あのこはね、きれいなはなびら はなびらはちょうちょ ちょうちょはきまぐれなはな
夢に見たラーメンほおばりきみ想う 夢にまでみた二人の朝日
屋上でバニーガールは恋に落ち月のベールをまとう十二時
{引用=
絵具を溶く指から香るあなたの匂い。だから時々描けなくなるの。
滲み出す画面の先に春があって たまらなくなるから青色を塗ろう
大好きなふたつのものを区別する、わたしの ....
陽の照る日おにぎりを二人して勾当内侍の塚の前にて
友くれし水仙の花しばしの間さびしい色に妻の花瓶に
ソロモンの言える如くに空しかり花も吾らの愛でさえをも
あの空はきっと誰にも描けない{ルビ薄紫=うすむらさき}のグラデーション
病室の君も宇宙を駆けめぐる秒速30キロのランナー
白き花 グラジオラスに 魅せられて ひろがる心 おさなごのよに
いつだって留守電のままの息子たち声が聴けない寂しさは闇
バス降りる園児の声がよく響く日本の未来君らに託す
牡蠣フライフワッと揚がる瞬間に別れを告げたあなたを捨てた
赤い薔薇悪いイメー ....
気がつけば骨まで{ルビ柔=やわ}くなるようだカルシウムが少し足りない
心から信じてもらうということは
愛されているということでした
君のこと信じてるって言ったとき
嘘をついてる気分になった
生きていて大事なところで迷うのは
思い込みと信じる ....
ただ横に 在らせる冷たい 我が子ども 今問ふコレは heかitか
昨日死に 迎えた朝の 日差し見て 今問ふ世界の 変化の色を
人の生む ゴミ喰ふ烏を喰ふ野良猫 今問ふ流れる血は誰のもの
....
聖だと崇めることで女性への恐怖を距離に変えてる人を
優しさが傷つけ過ぎると知ってなおあなたはそれをするんでしょうね
逃げてないだけじゃだめだと気が付いて攻めてないのは逃げてない? それ ....
猫の背のまるみにそって春の陽が君をくすぐる、うたたね日和
この道は知らない場所へとつづく道なくしたものの重みを{ルビ背負=しょ}って
雨の日は虹の七色探索す。ポスト、au、ロフトにハンズ。
薄皮に甘露の珠をしたたらせ揺れては誘う双子の果実
帽子つけ鏡の国へ向かうのはアリスじゃないよ
私のキノコ
魔女の矢に刺され震えて鏡よりあふれこぼれる白雪の糸
北風を歩く麦の穂影こぼし月なき夜の炭水化物
ふくろうは鳴かぬか檻に閉ざされし脳という名の北辺の森
キリストは冬の季語なりあお黒く風にはためき電線ゆらす
きらきらと何処から降る雲母の粉乱視の眼 ....
母に似た 痩せた女を 抱いた後 髪を撫でられ 眠りに堕ちた
見えなくてすんだまなこをひと晩で開けたあなたの 眼をえぐりたい
綾辻行人・児嶋都「眼球綺譚」に寄す
213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253
【短歌】このカテゴリでは31音律「5.7.5.7.7」を基本とした短歌と、その音律を崩した自由律短歌作品を受け付けます。短い自由詩は自由詩カテゴリへ。短歌批評は散文のカテゴリへ
0.44sec.