抱き合って愛情の花咲かせたい夜の帳がそうさせている
時間さえ飛び越えていく愛情は心の痛み見つけて消した
長いキス交わして夏の短さに抗議している若いカップル
記憶にはその時感じた愛情が ....
八月の身体の火照りを感じつつ抑へきれない皮膚の爛れよ
月光のアナスタシアよ薔薇園でかくれんぼする亡霊ペンギン
溜め池に子どもが落ちたと連絡あり草いきれの真夏の夢よ
果樹園 ....
生き埋めにされた兄が云ふこの世はハッピー ハッピーマンデー マネーマネー
花虎尾指す月明かりろうろうと前日よりも冷えた夜の日
踏み出せず 躊躇する君の背中を{ルビ戦=そよ}がす 小粋な潮風
その人の青の時代か腕の傷刑務所見えしときにさすりて
食膳にのぼりしレモン絞りつつ思い出す梶井基次郎の
ワイヤーを握り食い込む手の指に鬱血するを見ている夕べ
四歳の時に生まれし妹よセー ....
さりげなく倒れてゐるそこの男に春の長雨くれてやらう
「ちりぬるを」 いろはにほへと 、でも君は死なないだろう それが君だろう
「電気」
しびれない電気とかで良いからさこの傷口からセザンヌおくれ
二徹目の午前八時に誰もいないおれの電線電気はどこにも
「白線」
白線もない道に建つ懐石の料理 ....
台風接近のニュース聞きながら二十世紀剥く皮の渦よ
今月のソープオペラ楽しみにハヤシライスの鍋かき混ぜる
道の向かうからトボけた顔の男現れて胡散臭ひ奴めと花火投げつけられる
プランテーションの無意味さ知るや否や彼は農園に火を放つた
....
痛い痛い雨がやんだら堅い床踏みつける指すこし緑の
眠る人の横で研いでるさみしい女の匂いや色や言葉や
夜はまだ明るすぎるし広すぎる体が重くて朝を見れない
優しさのはりつく頬を撫でた ....
開け放し砂漠のようなせまい部屋 砂糖の雰囲気を探してる
二人して抱き合うふりして寄り添って あつめたものはばらばらの穴
独立の叫びこだまするソカロにて遠くへ去りし貴女を想う
亡骸の傍を通り過ぎる時人の命の儚さを知る
名も知らぬサボテンを我が落ちぶれた姿に重ね砂漠を過ぎる
みとめよう 夏は終わってしまったし あなたをぜんぜん愛してなかった
溶けているアイスクリームの傍らで 吹けばとぶような恋をしていた
場所なんてかまわなかった 季節なんて名前なんてかまわなか ....
短歌共作
題「花」(大羽 左膳)
明日死ぬのに花を摘むのは不条理ですか君と出会った君の罪だよ(る)
咲くまいと疲れてしまった僕たちは悲しみの中の徒花だろう(る)
どくだみの花の ....
わがままな迷子のためのひつじ雲
お日さま連れてあしたもおいで
迷いのない軌跡を示せ飛行機雲
だれのものでも、いつのものでも
先端の爪にひそかに願いごと
....
月面に跳んで行きたい僕だけど決して現實逃避ぢやないんだよ
窓際に佇んでゐる猫がゐる月を見てゐるのか月に見られてゐるのか
毎晩のように潜水をする どこまでもわたしのことを忘れずにいて
風が強く吹いていたから心まで震えていてもおかしくはない
縄が切れた首吊り月のころんころん転がってゆく先の湖
黒猫を振り回している友達と目を合わせないように歩く
容疑者は「月がきれいですね」などと供述しており
日記には月齢を書く欄がある そ ....
目を瞑り月の女の名を呼ばう 指に安らう蛾のやわらかさ
梟の灯りを頼りに船は進む 翼は煙 心は砂糖
銀の盆 兎が行き来するたびに紫色の林檎が落ちる
不死の父を時計の中に閉じこめて蠢く鍵 ....
秋風に
どうしてか白き花咲く蕎麦の花食料になる花は素朴だ
萩の花庭に散りいてゆうこくの秋風が吹き妻と帰宅す
ローマ書を書き写しつつ楽しみて次は更級日記写さむ
未来には何が待つか ....
さわやかな朝さわやかになれずにぼーっと見てる空中のひび
朝の風胸の毒素を吐ききって濁る自分を脱がせて剥いで
丸もる身体空いた頭は寝不足あと一寸の涼をただ待つ
車道から通行音だけ響いて ....
梨を剥く間にバスは図書館へ 風の果てには悪魔が待つ
司書の目を盗んで書架を渡り歩く 本は野菜のように選ぶ
ノートにはただ星屑が並ぶだけ 孤独を星の言語で記す
錆びついた巨大な鋏が待ち ....
知らない事は多いけど解るのよ世界が悲しみだけでできていること。
母となり女を捨てた哀しみと 幸せそうなオルゴールメリー
泪眼の「生まれてくれてありがとう」、「産んでくれて」と返す気 ....
人間の詩人でも 時間が自由な夜は魔法使いになりたい。
恋しくて雨のソーダ水飲み干したはじける泡よ恋しくてまだ
ものがたり、は続いている泣きながら夜そして昼あなたの時間
たわいなく戯れ過ぎる風としてもふりむかないで首筋にただ
....
すぎてゆく光の指に思い出す斎場の冬の風ひとかけら
死にたいか死人でいたいかどうなのか急かしつづける夜の水たまり
おまえにも俺にも指が十二本打ち寄せる泡す ....
水死体すいしたいって言ってるけど避妊すべきか考えている
水族館すいぞくってだれだろうできればぼくを愛してほしい
てつさびのにおいがするねむかしわたし植物園で死んだとおもう
雨のふる遊 ....
秋のある日
日本には目立つものが3つあり震災円高なでしこ・ジャパン
妻とともなでしこジャパンを喜んで秋の一日は爽やかなりき
清潔とは一切を拒否しつづけそして不満がないそうかも
....
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