寒風を
身に受け走る
白息と
身に受ける風
いつまで寒し
ひとなかで あへばしらぬ そぶりして
鏡のみぞ知る 乱れ牡丹
「久しぶり」
声かけようと
してみても
彼氏と話す
初恋の人
洗い髪 下腹部覆ふ 雁が首
溺ほる温み われわするかな
粉雪に考えなしに見上げ空想い馳せるはアフリカの夜
画面上雪だるま型のアイコンに征服されゆき眠気はとれず
ハイウェイに動揺する街ダンスフロア肩をすくめて襟を立てます
濡れましたマフラー ....
・潮騒の振子ふるえし満月の、足指の砂、引潮が吸う
・踏みはずす、や、草むらが刈る君の足首、実らぬ身の実ソックスに生る
・雨よりも空よりも雲よりも濃く近く、ひととひとから、雫、
ぽつり ....
飛ぶ鳥の 明日香の里に 舞い降りた 春の女神に ならましものを
年明けて水の凍らぬ土地にゐて空を見上ぐる空は凍れり
さやうならと云ふ言葉のみ美しく響く気がする睦月中旬
迫り来る地獄の闇に名を付けよ死ね死ね団とかショッカーだとか
遠ざかる銀河遠のく ....
弾けとぶ硝子の街のリアリズム軽く躱して越え去りゆかん
乱れ髪やは肌罪に裂かれても衣擦れの音ノンとは言はじ
さなきだに寂しきものは仏なり嘘偽りを桜とひらき
儚きや
人工頭脳
あれここに
{ルビ永遠=とわ}に思えど
朽ちておいらむ
『新人類』より
冬の芽を切り開き見れば春花のホムンクルスが折りたたまれて
ビロードは蕾の守り手のひらを合わせたかたち銀の針山
溢れ出る支度を整え旗手は待つ溢れ出るとき合図するとき
白い朝 サンタクロースを 待ちながら 小さく君の 名を呼んでみる
わが傷は暗黒の形にえぐられて遠い砂漠に見知らぬ人影
{ルビ落葉=らくよう}の赤錆色に濡れひかる秋の位牌の冷たきエロス
長崎のペテスブルグの上海の凍える窓濡れたるすべての窓
....
コールタールのごとき
嫉妬剥がれぬ
我が舌先よ
栗むいてうつむいてなお神無月わたしはきょうも星をみつける
テスト中ゆうべのあのこ思い出すほんとは朝しか会ってなくても
空高く 雲間に濡れる 月の{ルビ陽=ひ}に 心{ルビ抱=いだ}かれ ひとり夢見つ
しんしんと続いてゆく ふゆのゆめ に
薬指はしばれるばかりです
肌を刺す自転車の風アマルコルドままよ抜け切る踏切の溝
満月と見紛うばかりに丸時計ゆくりゆくりと短針の夜
クラクションパパラパパラに道路際過ぎ去る豚の色彩の妙
暗闇に減速する性からから ....
笑っている彼女がいればそれだけでいいと感じたあの寒空に
雨 止めば 頬の雫 も 消えるのか
拭えば広がる 悲しみ は 要らぬ
振り向かぬ背中に 言葉は何も出ず
冷えたくちびる 押しあててみた
うつむいて 茜にふやけた頬 閉ま ....
よるのみちかけるはだしでわけもなくかなしみのこえひびいていたとて
子の刻の夜はいっそう暗かろう紫色に月がほほえむ
くつしたのなぜかかかと破れたりだから今日は会えません
じっくりと愛してくれるわけ ....
秋の{ルビ陽=ひ}を そっくりそのまま はね返す オレンジ色の 宝石ひとつ
秋深く 山を染めにし {ルビ紅葉=もみじば}に 涙も忘れ 想ひくれなゐ
今日限り 失うものと 思ほえば 愛しくもある もみじの散るも
夕焼けに 流れた涙 過去に落ち 微笑みながら 消えてゆく
空寒く 想いをのせた 流れ星 君の心へ 落ちてはくれない?
交差点 すれちがうのは 甘い風 恋の迷い路 どこまで続く
淋しさ ....
「笑う君の手の甲に浮かぶ血管を見て恋に落ちました。(まる)」
背の高い君が体を折り曲げてあたしを覗き込むその目が好き
この恋は本物なんて思わないけど本気だってことはわかるわ
ばらばらに砕けたあた ....
涙がね赤い光を受け止めて私の頬に残るんだ
夏が行く もう届かない 青春の テッペン目指して キラキラと行く
制服の短いスカートから伸びた二本の白い柔肌の足
繭糸を紡いでできた足の線混ざりけのない清潔な線
きず口を塞ぐかのように押し込んだあなたのそれは何かを語った
....
白黒白黒 テントに籠もる咳払い 秋の夜長の神経衰弱
七並べ アルミパイプの指定席 正面に花 照れるジョーカー
「大ちゃんの絵ができました」叔母の手による油絵を喪服で抱え
安らかに ....
けかちなる異語の響きし明け方に青く飢えたり独り在る我
ぬばたまの夜の水床白き背を啄み辿る年魚の如くに
姫君は蛇と化すらし滑らかなその身を誰に巻きつかせしや
黎明に神は失せたり残さ ....
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