しんしんと続いてゆく ふゆのゆめ に
薬指はしばれるばかりです
肌を刺す自転車の風アマルコルドままよ抜け切る踏切の溝
満月と見紛うばかりに丸時計ゆくりゆくりと短針の夜
クラクションパパラパパラに道路際過ぎ去る豚の色彩の妙
暗闇に減速する性からから ....
笑っている彼女がいればそれだけでいいと感じたあの寒空に
雨 止めば 頬の雫 も 消えるのか
拭えば広がる 悲しみ は 要らぬ
振り向かぬ背中に 言葉は何も出ず
冷えたくちびる 押しあててみた
うつむいて 茜にふやけた頬 閉ま ....
よるのみちかけるはだしでわけもなくかなしみのこえひびいていたとて
子の刻の夜はいっそう暗かろう紫色に月がほほえむ
くつしたのなぜかかかと破れたりだから今日は会えません
じっくりと愛してくれるわけ ....
秋の{ルビ陽=ひ}を そっくりそのまま はね返す オレンジ色の 宝石ひとつ
秋深く 山を染めにし {ルビ紅葉=もみじば}に 涙も忘れ 想ひくれなゐ
今日限り 失うものと 思ほえば 愛しくもある もみじの散るも
夕焼けに 流れた涙 過去に落ち 微笑みながら 消えてゆく
空寒く 想いをのせた 流れ星 君の心へ 落ちてはくれない?
交差点 すれちがうのは 甘い風 恋の迷い路 どこまで続く
淋しさ ....
「笑う君の手の甲に浮かぶ血管を見て恋に落ちました。(まる)」
背の高い君が体を折り曲げてあたしを覗き込むその目が好き
この恋は本物なんて思わないけど本気だってことはわかるわ
ばらばらに砕けたあた ....
涙がね赤い光を受け止めて私の頬に残るんだ
夏が行く もう届かない 青春の テッペン目指して キラキラと行く
制服の短いスカートから伸びた二本の白い柔肌の足
繭糸を紡いでできた足の線混ざりけのない清潔な線
きず口を塞ぐかのように押し込んだあなたのそれは何かを語った
....
白黒白黒 テントに籠もる咳払い 秋の夜長の神経衰弱
七並べ アルミパイプの指定席 正面に花 照れるジョーカー
「大ちゃんの絵ができました」叔母の手による油絵を喪服で抱え
安らかに ....
けかちなる異語の響きし明け方に青く飢えたり独り在る我
ぬばたまの夜の水床白き背を啄み辿る年魚の如くに
姫君は蛇と化すらし滑らかなその身を誰に巻きつかせしや
黎明に神は失せたり残さ ....
はじめてのくちづけ熱くこの天も地も知ろしめさせ響け和音よ
こまぎれの短歌かたかた細切れのねぇねぇそれは美味しいですか
死者誤入されて冥土もこの世にも居場所がなくて北風となる
さぁ ....
ほんとうにあるかな机の引き出しが開いて君が来てくれること
薔薇よりも裏切らないでかすんでく視界の空は限りない青
カチワリはカチワリだからいいんだねシロップ氷じゃ意味ないんだね
ほんわかと 私の心に お湯がわく 冷めないうちに 君の心へ
真っ白い仔猫になれば座れると思っていたの苺のソファ
バースデイ・ケーキのかわりに教えてよあたしはどうして女の子なの?
喋れないわけじゃなかったただ何も言いたいことがないだけだった
ポケットをのぞ ....
・証拠は 残さないように 旅に出よう この灰色の 街を{ルビ逃=のが}れて
・トラツグミ 泣きつる方を ながむれば 山吹色の 花ぞあふるる
・セピア色 ただわけもなく にじんでく まだ途切れない ....
暁の太陽は黄ににごりゐて霧の向かうにごろりころがる
死に際の蜂歩みをり無傷なる秋の薄羽を背に負ひつつ
うとまれず待たれず夕の半月よ灰紫に左欠けたる
目覚めれば降りはじめたる雨音に ....
サンダルの散らかり過ぎた滑走路 紙ヒコーキの泳ぐ地下鉄
この街に照準のような雪が降る 国道のはて 君の空より
ダイダロス=秋の夜長にこんがらがったる作業ラインの十二指腸である
し ....
海が錆びて波の形に針金が残るよ砂になるまで歩こう
レコードの針は静かにおろすもの 鳥のかたちが浜辺に落ちる
はじまりは記憶の記録 鋼鉄の断崖にまた刻んでは去る
益野大 ....
つば広き帽子を被り身を隠すべきところなき昼へ出でなむ
あの家もこの家も土購ひて植物の笑み養つてゐる
曇る日も洗濯物を干せること働きに出ず部屋にゐること
山盛りのカートの並ぶ特売日「あ ....
桜辺に かの人と添い 歩み行く
儚き思いと 涙つたわん
来年の人に焦がれて石のうえ とかげよとかげ 紡錘形の
神無月 缶に残った潮だまり パンツ一丁でのぼせた親父
れもんのれ せむしぐものせ けるとのけ ぱんてぃらいんをめぐるたそがれ
....
三分でラーメン喰って破滅してドンブリもろとも叩き割る街
朝の椅子 朝の冷たい君の耳朶 朝の冷たいコーンフレイク
初七日の間口五尺の半なまの太郎次郎のひきにくの花
ひだまりの 庭で ....
なんとなく後ろめたしと思へども夜に備えて眠る日盛り
働くも働かざるも自由なり君に逢ひゆく自由なしとて
ロボットの腕は緻密に動きゐてその暖かき体温あはれ
深夜0時冷たく硬き弁当を昼飯と ....
我が身なれど 思うようには 行けずこの 明日の心は 遠い彼の方
若葉よりさし入るひざしまぶしくてこいぬのようにきみはたわむる
真夜中の木犀の香をまといたる青きベンチに恋の揺れをり
あまだれの落ちては石にくだかれてたまりたる水ひかり輝く
おそろいの ....
ひとひらの花の舞ひ来ててのひらに希望のやふにそっと息づく
337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358
【短歌】このカテゴリでは31音律「5.7.5.7.7」を基本とした短歌と、その音律を崩した自由律短歌作品を受け付けます。短い自由詩は自由詩カテゴリへ。短歌批評は散文のカテゴリへ
0.58sec.