生きることロックなりしと いいしかば
おまえは 果たして ロックナリシカ 。
我が背子は まだ 嬰児 なるらしも
その目を とじて ひたすらに ねる
眠れないあなたの理由を全部ちょうだい
私は全部あなたにあげる
ブルー問ふ京の都の古家ぬけ落ち込むぼくに空指しながら
麗しき姿であれどきみに問ふ如何なる意図や人魚の胸像
高速の指の運びに混ぜられてゆく鍵盤ももはや灰色
「色たちが心中し ....
君はゆく夜行列車の汽笛鳴り鞄ひとつを両手で抱き
傷つけた僕の言い訳聞き流し香る林檎に話をそらす
さよならは言わぬ契りのふたりなら軽く会釈で旅立ちの秋
幼子のみる夢 今は見れずとも
微かに残る 母のぬくもり
花ことば常に前進ガーベラよ
夏の花だとおまえの笑う
すれ違う風の香りの優しさは
コンマ二秒心留まり
夕闇に街のネオン瞬いて
....
誕生日
砲弾の下 母の身で 生かされ三年
今日も花摘む
戦い ....
洗車用ホースで水の弧を描けば重なる虹の橋ふたつみっつ
あきらめの悪い蜩夏の背にしがみついてうわぁんと泣いて
初嵐小昼の庭を吹き抜けば夏痩せのポチ鼻先で追う
稲の穂 ....
口紅がはがれた後のりんご飴 確信犯のうつくしいきみ
こんなにも渇いていたと知らされる 始めのひとくち貪る夕べ
日に焼かれ濃縮された僕達を還元しては味見する海
やわらか ....
せみ時雨夏の心は風誘い
剥き出しの肩陽に揺らぎゆく
通い合う心模様を重ねれば
枕に添えるタオル直して
向日葵の風の音遥か陽に遊ぶ
日 ....
夕寝から覚めて仰ぐや宵の月
兎と見ゆる愛でていとしき
君と居た夏のあの日や砂粒と
はらり揺らいで零れて落 ....
夕立が無色透明装って世界の色を塗りかえていく
夏草で作りし花冠捧げればいろどり添える幼い香り
真夏にしか開かない扉見つけ出す触角のばせ跳ねる子供ら
縁側で午睡のさなか風鈴 ....
{引用=エレクトラ、たったひとつの恋なのに琥珀の瞳に総てを凍らせ}
{引用=041:迷}
「迷ったら、やめる」家訓の中ひとりメビウスの輪を愛する小娘
{引用=042:官僚}
....
月が月こぶ月の憑き月浸かれ点きし月の輪突刺す月の眼
酒と詩と歌う口からごあいさつ草の上にも眠れ夜の獏
探すのかさすらうのかはこの樹にもたどる葉脈花弁の夏日
....
いつだって取り分け用事はない手紙暑い夏ですお元気ですか
熱き息傍らに聞き盆送り今日の日の人毎日の君
にわか雨染み入る砂浜のごとくのどかに揺るる稲穂のごとく
便箋の印に沿い ....
夏の陽に ふと振り向いた我が恋は
あまりに異質で けれど愛しい
この恋に 気づいたときは 手遅れで
命かけても あきらめられない
なんとなく 落ち込む夜 ....
背後から透き通る肌突き刺せば抗う素振り切ないままに
開いては閉じるうなじに絡ませる甘い言葉は罪に震えて
道ならぬ道に染まれば後ろ手にかかる手錠は愛のしるしと
....
まったくの無意味でできた世界でも
君との出会いに名が欲しい 何故?
八月の暦に耳を押し付ける少年いつしか海原のうへ
生い茂る真緑の原に埋もれゆく廃工場に響け恋歌
遠回りで帰る夜道に横たわる近道えらびし野うさぎの母
飛行機を追うてふもとの村 ....
かたちとは目に映るもの色ありて
固体と覚ゆ人の群れかな
地上では色無き物の存在は
大気の流れ風と覚えし
何枚も空の写真を撮り続け
違う空だと君は言うけど
色褪せたペディキュアの朱 もの憂げな視線で足を組み換えてみる
この浴衣ひとりで着たの?と囁かれ耳が火照るのに あぁ今日はダメ
その後の貴方の舌がつめたくて気持ちいいから抹茶 ....
少しだけ 遠くにきすぎたみたいな僕ら
思った少しだけより少し
母に手を引かれ参りし山道を今は{ルビ我=わ}が引き先登をゆく
痩せこけた黒猫一匹山の中
{ルビ終=つい}の{ルビ棲家=すみか}の住人となるな
母を呼び父を呼びつつ ....
もしかして 君は信じているのかい?
「未来は変わる」 「世界は変わる」
貴方には 見えないのかしら? この私
「未来を作るの」 「世界を変えるの」
....
過去の夢 君覚めれども私はいない 悲しやは悲し 嬉しやも悲し
一球で勝敗分かれし甲子園
白球入魂 夏すぎてゆく
初出場初勝利初優勝 一校一度一生一度
日焼けした顔に流るる汗 涙
見る我までも手に汗 涙
....
われ先にわれこそ先にと同じ日に蒔かれた姉妹の朝顔の咲く
狩りそして狩られることの無き国の王女の不在のごとき静けさ
水中を沈みゆくバス、運転手、乗客らみなほほえむ夏日
コン ....
{引用=夕立は魚にだって動揺です必ず終わりのときが来るから}
{引用=031:盗}
ひかりならせかいきらきらあふれてる盗人まじりの煙草潰して
{引用=032:乾電池}
乾電 ....
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