ねえ、甘いものだけ
皿の上にならべたよ
ねえ、食べ物のことだけ
今日は考えるって約束
すみれの匂いがする
そんなことってあるわけない
象意の随意による不本意
小便が止まらねえ
....
二〇二一年八月一日 「断章」
かれがおれの体内に横たわっているうちに、そのアイデンティティは永久に消滅していった。かれを二度と解放するつもりのないことはわかっており、かれの真実の飛行は、今 ....
帰ろう
窓は開けたから
明かりもついたまま
温かいスープまである
帰ろう
足の折れたベンチと
錆びの落ちないすべり台
乗客のほとんどいないバスが走る
ひび割れたコンクリートの垂 ....
あのひとが僕のことをかんがえてくれている可能性はあるだろうか。あのひとはいま笑顔だろうか。きっと雨が降っている、田舎で、きみは濡れながら笑顔で、雨に打たれているのだろう。空は真っ暗で、きみは、真っ白な ....
ゲリ、ゲリ、ゲリラ
豪雨の降る夜
特別避難警報が鳴り響く中
どさくさ紛れに
逃げ出した精神病院
追って来るのは
氾濫した川の濁流と
いつもの奴らの声だけだ
「ゲリ、ゲリ、ゲリラ
ゲリ ....
心模様は
ゆったりと落ちて
貼られた桟橋から
ガラクタが投げ出された
でっぷりとしたぬいぐるみの釦を眺める
....
「今すれ違ったクルマ
SUVなのにシャコタンだったぞ
意味不明だな」
「あぁ、確かに車高の高い車を買って
車高を低くするためにお金をかける
バカみたいだけど」
「そうだね
でも ....
みんみん蝉が鳴いている
曇天空に、ただ一匹
細かい雨が降っている
みんみん蝉は鳴き続ける
それは私の心に木霊する
抑え難い生命の高まりが
溢れ続ける生への執着が
私の魂を掻き立て ....
肩越しに見える夕陽が
傷跡みたいに赤く
落っこちそうで
揺れている
並ぶのは景色ばかり
それでも
君が振り返ると
音なんてしないのに
ギュッと
掴んだ手首は
熱くなる
....
元々、ヨラン・フィデリコは、エインスベルの従卒のなかでは、
可とも不可とも言えないような、微妙な立ち位置に立っていた。
その集団の中の絶対王者は、アイソニアの騎士だったのである。
しかし、当のア ....
「この世界の真実、と言いましたか? ではやはり、このハーレスケイドは?」
ヨランは、一行の思いを置き去りにするかのように、性急に、矢継ぎ早に、
オーマルに尋ねていた。いつもの間抜けな調子は、
( ....
「人間の体?」と、ヨランは唸った。ヨラン自身も、人間ではない。
ドワーフである。ドワーフは、この世界に産み出された、最初の異種族だと言われている。
ヨースマルテには、元は人間しか住んではいなかった ....
絡めた指先を穿つニュートリノは
はるかかなた
遠い星の宇宙人をも透過したのだろうか
ぼくときみはきっと
妖艶な生命体と
何億もの粒子で結ばれている
忘却の果てのお墓には
さまざまな忘れた事が
眠っている
忘れた事が生まれ変わった
今と久しぶりに会う
死ぬまで生きる
生を味わいながら
この魂という命を燃やし
死を覚悟しつ ....
きみの猫をデッサンする
きみに興味はないけれど
液化する時間
揮発した時間
猫を追いかけた
自ら曾祖父の手をとってジルバを踊る
ああ激しいアクロバット
でも着地点はわきまえた
よもやま ....
世界はコロナを憎んでいるけれど
僕らはコロナウイルスの野郎には
実は大いなる借りがあって
これは大きな声じゃ言えな ....
じいちゃんたちは
群れない!
嫁や孫たちに相手にされなくても
愛犬の尻尾ふりふりで
癒される
じいちゃんたちは
無愛想!
おしゃべりなし笑顔なしでも
焼酎のお湯割りで
心ほんわか ....
彼女はその猫を抱き上げた
細く鋭い雨のあがった夜
取り返しのつかない過ちと連れ立つかのように
もっとか弱い存在を呼び寄せたのかもしれない
こんな筈ではなかったと訝しみながらも、私は眠りに ....
{ルビ奇界鳥=oiseaux mécaniques}たち
{ルビ夜明けの合唱=Dawn Chorus}
頭に乘せるならバゲットか猫と決めていた
蕎麥喰う猫ほど祈りは深い
....
ひろい海をふたつに分けて
確かめてきた想い
雨にうたれたひまわりを
種に変えてしまう力
夜をまって
声にすれば
すべてのことを
忘れられるんじゃないか
目をつぶって
息をつな ....
今が人生で一番、
とてつもなくバカばかりして
生きてるのかな
推したい憧れの吸血鬼とか
いまはちょっと
いなくって
生まれ落ちて
生きてきたその日々を
なぞり書きして ....
プリズムが揺れている
大きな鳥は歌わない
蔦の絡まるアーチの隙間から
覗いた街はまだ灰色で
影は薄くなると逃げる
ラズベリーみたいに生きられたらと思う
砂丘みたいなお皿の上で
食パン ....
犯して来た罪は積み重なるが、いつか崩れて
落っこちた三日月が恥ずかしそうに、俯いて
よみがえれない希、どれだけ生真面目に願っても
暮らしのなかで ....
えし。こころがえし。いやなにおい。やめて。ぼくをうばわないで。ぼくのなまえを、かえしてください。ぼくのめだまをかえしてください。こわい、こわい、こわい。きっときみはうそつきだ。ほんとうのことをどうして ....
「愛とは、はかないものです、騎士様。あなたは見たところ、
騎士のようですね。違いますか? 勇猛果敢な人物だと見受けますが……」
「ああ、その通りだ。わたしは騎士だ。この身の名は……
いや、通 ....
「この世界の理? ここがそれほど異質な世界だと、あなたは言うのか?」
居ても立ってもいられないといった様子で、アイソニアの騎士が尋ねた。
アイソニアの騎士は戦いには慣れている。しかし、謎解きのごと ....
「あなたがたはどこへ行くのですか?」と、その女は言った。
それは、女であったろう。少なくとも、三人の旅人はそう思った。
「これはこれは、ご丁寧に。あなた様がこの世界の案内役ですか?」
盗賊ヨラン ....
余命半年の神様が背中に憑いている
あなたは上等な木の椅子を買ってきて
部屋の窓辺に置く
神様は名残惜しげにあなたの背を降りて
椅子に座り深くお辞儀する
昼間はいつも窓の外を見ていた
夜 ....
deleteキーを押して
こいつらみんな
一気に消滅させてやりたい
と思うことが
この頃頻繁にある
それぐらい下らねえものや
パクリもどきみたいなもの
マルチポストまがいのものが多い
....
納屋に吊したニンニクとタマネギを取りに行く
作業台から微かに火薬の匂いがする
もう銃には触れないでとあれほど言ったのに
あなたはすまなそうに謝る
反省してないのは分かってる
「でも定 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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