空白を塗りつぶす
色を慎重に選び
枠からはみ出さぬように
息をつめて
私には絵を描く才覚などない
から
他人の描いた線画を
色で埋める
五十色入りの
色鉛筆の缶が私の器量だ
....
天高くヒト肥ゆる秋雨の宵
換気扇がブーブーと油煙を吐いて
焼け爛れたローズマリーの匂い
隣のアメリカ人は今夜も豚肉らしい
ブーブーブー これで一体何頭目?
カンサス・シティーの豚舎の嘆き
....
どうしてこんなにも
時間は早く経ってしまうんだろう
生きた心地がしなくなって
痛い程時空を抉じ開けて
虚構の海を見ていたよ
私の生活がいつのまにか
恐れていたこの世を流れている
なん ....
風はとうから吹いていて
それはまるで空回りする蔦のように
くるくるとからみつき
見えないままで終わるよう
まぎれもない事実のように去って行った
振り向くことはしなかった
夜中にのどが渇 ....
カラーひよこは哀しき運命(さだめ)
どぎついアメリカ菓子の色に染められ
買ってくれる人を待っている
たとえカラーに染められ
命を縮めることになっても
それがひよこの商品価値
命 ....
目覚めると真っ先に君の二の腕を求めた内側から蝶の刺青を浮かび上がらせるそれを僕はどうして失ってしまったのかほとんど無自覚のまま
本当に美しい言葉は永遠でも真実でも物語でもなくあなたの唇が開いたと ....
楡の巨木の根元に深くて暗い穴、ジメジメとしたその穴からボーッと発光した球体が風に揺らいで漂い出てゆく。枝先の梟の眼の光りが青く輝く。闇夜のはずだが森のそこここに光る小動物の眼を気にしながら、巨人はゆっ ....
私は不器用です。
定規で線をひいても
いつのまにか
ななめになるし
コンパスで円を書いても
少し内側にずれちゃうし
絵の具で色を作って
ぬりぬりしてても
必ずあと少し足らなくて
....
同じ動きをトレースしながら
白い泡を口から噴き出し
穏やかに波は通り過ぎる
海風に撫でられていつでも
湿気のコートをまとった
重い砂の上を二人は歩く
景色を見ているわけでもなく
....
手は内側を流れる音楽を運動に変換して紙の上に文字としてしたためる。紙に落ちる手の影は皮膚の内側の湿潤で深く染め上げられている。私は友に手紙を書いているのだ。友は声として仕草として視線として輪郭として色 ....
匂い袋を破っても匂いは漂うように
お守りの使えない事に
包む掌は頷いていた
待っている続きにしか
使えない守り
薄めれば薄めるほど
きかなくなる
でも どこまでも薄まる事に
耐え損 ....
1
孤独というものは私の中の腫瘍のようなものだが、それが私の目に付くようになったのはいつの頃からだろうか。私が幼い頃にも孤独はあった。孤独の種があった。孤独の種というものは、母の孤独が、胎児の ....
支えとしての音を失って
私は迷うと思ったが
踏み出す足の先は
同じなんだとわかった
空間を歩く
私は心細いけど
それは なにかがないせいでなく
だれかが いないせいでもない
ど ....
縦横無尽に うちのチャリ
それがすべてよ マイワールド
五里霧中なんかじゃないんだからね
いとしあの娘のおそい夕食
いとしのタラコスパゲッティ
すこしのびすぎたのは
洗い物がたまってたせい
タラコがこまかくからんでる
海苔も醤油もオリーブオイルも
カルピ ....
潮風に吹かれながら
手をつないで歩く
少し寒いけど 「温かい」と言葉を交わしながら
月夜に浮かぶあなたの顔は
言いようも無く 笑ってる
僕の人生ではあらわせない笑顔
....
生きなければならない
しかしそれは義務ではない
1が限りなく並ぶ世界で
0に限りなく近い私は
生きていなければならない
それは誰のためでもない
生きていくことに意味があるとしたら
そ ....
あんなにも忙しくぼくの脚はうごいていたのに
それいじょうに
踏みしめていたものの方が素早いなんて
なので、いつまで此処にいられるか
ぼくはじっさい
心もとない気分です
....
絡み合う2匹の軟体動物さながら愛し合う
舌と舌とが唾液を攪拌しながら弾かせる
無声子音の破裂音
こうやってお前を吸い込み食べちゃいたいよと
賞味し合う前菜じみた聖餐の
静かな咀嚼音
そ ....
週末に会いに行く
海辺でおしゃべりする
夜になる
顔が見えなくなって
月明かりの下
今までより君が見えるようになる
言葉が消えていく。
たんぼにたって
まっている
めをとじながら
まっている
いなほをざわめかせて
やってくる
かぜの
れっしゃを
空白にワインを注ぐと
それは好い音がする
高価なものでなくてもかまわない
ワインであることが重要なのだ
瓶の口が空白に触れ
香りが立つと
耳を澄ます
ゆるゆると空白の肌を滑り落ちる
....
天空の城からは何でも見えると言う
善行も悪行も
喜びも哀しみも
愛も憎悪も
でも天空の城は何もしない
ただ『目』なのだ
だから
僕が生きようが
僕が死のうが
ただじっ ....
泉の下にわたしの心があって
水を通して わたしは息づく世界を感じていた
風が起こり 日が陰ろうとも
何年もの間
いつも涙目のわたし
ほんとのことなど 知らないままだった
....
始めた理由は
もう忘れた
だけど今は
無いと困る
人間ってね
なんか風船みたい
空気の変わりに
不幸せ溜め込んでる
そりゃね
幸せだってある
だけど幸せは
いくら食べても ....
たかはしは
みょうじである
ひとの
みょうじである
べつに
いぬでもかまわない
もしかしたら
なまこだって
部屋の片隅で彼女が孤独を食んでいるとき
彼は地球に自転の方向について考えていた。
男はいつも遠くのほうばかり見ているし、
女はいつも手の届く範囲のことで忙しい。
部屋の片隅で彼女は孤独を食 ....
巻き髪から星がこぼれ落ちた
すれ違い、振り返り、立ち止まる人
路上に触れては跳ね、また落ちる
光の粒が飛び散って舞い上がる
地と中空に
広がって、広がって、
広がる ....
逃避行の末
広い海は
青く深く
私を包む
孤独を守る
世界の終わり
沈黙の空間
そんな日が来ても
忘れられて
私は死ねない
寂しいの
抱いて欲しい
人間が欲しい
....
「箱」
部屋の中で降る雨
窓はもはや絵画
三角錐の頂上はそれほど高くはなく
そこはとても四角だった
誰かしらの手がきっかけで
箱は隙間を許し
本棚は本棚に
テレビは音を放ち
....
3198 3199 3200 3201 3202 3203 3204 3205 3206 3207 3208 3209 3210 3211 3212 3213 3214 3215 3216 3217 3218 3219 3220 3221 3222 3223 3224 3225 3226 3227 3228 3229 3230 3231 3232 3233 3234 3235 3236 3237 3238
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
7.51sec.