アイソニアの騎士は、一頭のドラゴンを斬って捨てた。
「ぎゃっ!」という悲鳴を、オーマルであったドラゴンが上げる。
しかし、「アイソニアの騎士様。騎士様。ここは対話すべきです。
ここハーレスケイ ....
「人間が……ドラゴンに変わったのか?」アイソニアの騎士は、呆気にとられた。
エイミノアも同様である。剣の柄に手をかけけたま、その光景を呆然と見守る。
ただ一人、盗賊ヨランだけは、それがありうべきも ....
かの女は亡くなった
たとえばの話 飴玉を 歯でくだいた
あらい生地の 喪に服して
いななこうとする肌の
ごく健康な寒気
葉かげでつぎつぎ破擦する 秋の ....
特別なものを持たない女は答える
「優しい人が好き」
前提条件の「私だけに」を言わない
勘のいい男は
他に厳しくすることで
「私だけに優しい」ことを強調する
特別なものを嫌う女は答える
....
ほのかに しずか 迫り来るもの
時間の持続、通り過ぎる人
髪を掻き上げ、白髪落ち
ヴェールに包まれ ただ 在るもの
降り注ぐ瞬間、喋り続ける人
この曇天に、息を継ぐ
どこか ....
なにも、持たなくてよいと信じた
さまよえるあのころ、コーラが好きだった
忘れられなくない絶望、でも忘れず
むねのおくに刻み込む、勇気と信じて
あすを夢見ない現実に ....
眠りについて
夢の世界が
扉を開くまで
さあ今日は
どんな夢を見るのだろう
と
小さな期待に
いつも
ちょっとした幸せを感じている
でも
夢はそんなに甘くはない ....
夜風に紙垂がゆれる
一文字だけの汗
斜影のない自転車を追いかける
金星はいつも金星で
見上げれば笑う檸檬の月
御前三杯酢をと乾く舌から 季節は巡り
....
雪の頂きへと進みます
あなたと隣り合いお茶を飲み
雪壁は凍りつき輝き神が宿るよう
あなたはいつもチーズケーキと紅茶
頂きは遠い途方もなく遠い
あなたは若く微笑みは優しい
ピッケ ....
ぽつんと ひとり
つめたい かぜ
ふいてふきつけ
つーっ と 水
はだをつたわり
したたりおちる
母の腹の底に沈む
母の腹の其処に浮かび
六歳の美奈坊と絡み合 ....
「さあ、ドラゴンたちが来ました」オーマルは上空を見つめて言った。
「龍どもか! 一匹残らず殲滅してくれる!」
アイソニアの騎士は旌旗堂堂と声音を上げた。だが、オーマルは意義を唱える。
「いけませ ....
「なりませぬ。エランドル様とは、対話すべきなのです」と、オーマル。
「話し合いだと? 俺には馴染みのない方法だな。剣以外に、
何をもって勝敗を決する手段があると言うのだ。俺は力づくでもって、
....
ハーレスケイドにおける一都市、クーゲンドルの街中を、
ヨランたち一行はさまよっていた。一都市? ほんとうにそうか?
そこには見慣れない建物、科学時代の遺構とも呼ぶべきものが、立ち並んでいた。
「 ....
{引用=丸薬}
マリーゴールドみたいな顔をした女がいなくなると
わたしは鉛の裏地のジャケットはおって朝霧の中
高台通りを自殺者の絶えない学校の方へ歩いてゆく
いまごろ昨夜の懲らしめをミルクに溶 ....
雨
雨ではじまる朝ね
ちぢむコーヒーカップ
波音も知らなくて
日向のない
うす灰いろの空へ
ひろがる羽根が欲しいよ
鏡に映ってる
まだ新しいシャツの
ちいさな染 ....
ゴールテープを切り裂いた秋に
侵略を開始する冬の走り
季節は時間の後押しで
永遠に巡ってくるけれども
心に叩き込まれた想いを残す
一生に一度の秋がある
....
茫洋と
宙に浮く
私の意識が
けだるい身体を
支配する朝、
路面は雨に濡れ
ひかり、
コンビニの前に並んだ
自転車たちの
在る輪郭が
黒く艶めくアスファルトに
浮き立つよう
そ ....
あてもなく歩く
ただ空を見上げて
吐き出す
息の白さが
そのまま雲に
届いて
靴紐みたいに
解けそうになる
首に巻いた
マフラーは
時計の針と
同じ方向で
一歩 ....
無音の闇の中
キンキンと耳鳴りの音
時々聞こえる時計のアラーム
起きては消えていき
朝の喧騒が近付くのを知らせる
目を瞑れ
目を瞑っていろ
圧力は増すばかり
....
光
街角
未来
どうしようもねぇな
つながらねぇ
あめはふりつづき
みつからねぇ
死ぬしかないのかな
生きるしかないのかな
かあさん、かあさん
実在が立ち上がる瞬間、
切る、斬る ....
あの日
セルフタイマーに
置いて行かれた
あなたと私
ボヤけた景色が
時を駆け抜けて
さよならに
近付いてしまう
写真を破いたら
あなたに痛みが
伝われば良い
そんな ....
響、響、響
連鎖し連弾され
繋ぐ
この世界の、
次元と次元
響、響、響
路面に濡れた雨の痕跡は、
軒下にて透明を見つめる少年の その存在
世界の、この内で
あ ....
三人分のメジナを
海から釣り上げる君の。
笑顔を思い出す夜に
家族という文字が
暗やみから落ちてきて、もう
もう泣いてもいいの。と耳打ちしている
染みわたっていくあたたかさの
ふかふ ....
千本の針を手ひどくかき回すような
天の裂け目から吹きこむ 風
ざらざらはしる 風
わたしもうす暗がりの午後を 呆然と
ただ呆然と
はいつくばって 見ていた
髪をおさえて耐えていた ....
家族みんなで
梨狩を楽しむ休日
たくさんの家族連れ
はしゃぐ子供たちの声
甘い香りの空気
食べ放題だけど
そんなには食べられない
飽きはこないけれど
三個ぐらい食べれば
....
路面が濡れている
静謐な朝
一晩降りしきった
雨の響きに
喚び起こされた
深い歓びと哀しみの輪郭が
街の八百屋の主人を透過し
街のコンビニの店員を抉り
そっと そっと
....
○「日々の暮らし」
平凡が一番
○「女房の口癖」
「今夜何にしようかね?」
○「昭和脳」
僕は今でも現金払い、紙主義だ
世の中がどんなに変わっても
僕の昭和脳は変わらない
僕は ....
この世に
善などというものは
めったに存在しない
ちょっと
まわりを見ても
酒タバコ、ワクチン、戦争
などなどと
小悪、中悪、大悪の
どこもかしこも
悪だらけ
....
桔梗
空
瓜坊
290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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