(南無アッバ)をひとすじに唱え
天寿を全うした井上洋治神父が
空へ吸いこまれ、風になった日
霊柩車を見送る
カテドラル教会の庭の木々の緑に
透きとおる一陣の風は吹き抜け――
アンジ ....
ここに眠る
笹舟
水のように
再会
斎のあとで
奥座敷
五月闇
なんこつ忌
探幽記
賽の原
板
りゅうぐうのつかい
料理
....
真夜中に
ドロリと
真っ黒い塊を吐いて
解消された依存の
もたれあいに埋もれた
満たされない言葉に
足元をすくわれながら
明日だけを待ってる
欲しいのは
確かな新しさの
自分で立つ ....
少しの頭痛がある
メロン色のカーテンに仕切られた世界で
アサガオのめしべの形の女の顔が咲いていた
少々うるさいのだけど
黙るのは僕のほうだ
なぜならば僕はこの世界にイソウロウをしているから
....
ピアノを弾くみたいに
君の頭を持ち上げて
満月から溢れ出した水の中で
僕らは捻くれた愛情を確かめている
音楽のすごいところは
音楽があるって事だと思うんだ
漫画のすごいところは
絵がある ....
ネクタイ。診療所。カバン。犬。小説。風。神様。色。スプーン。キーボード。靴下。アイロン。紐。栞。雷。ボールペン。地面。明日。電柱。太陽。サンダル。自動車。横顔。
日傘が回転しながら宙に浮かぶ。ビー玉みたいな空。つばさのない鳥が空を飛ぶ
山が恋しいのは情にほだされただけだと思っていた。見飽きたはずの雪の白を目を細めて慈しむ。
点々まばらな家々にさえ旅愁を覚え駅名にこの地の由来を尋ねる。
懐かしさはどこから来るのか。
山脈がどこま ....
この公園には獣がよく来ます
あの石積みの崩れは
イノシシの仕業
あなたの足下のぼこぼこした土
それは狸の厠
先ほど あなたの踏んだ黒い豆
シカの落とし物ですよ
昼間花見客で賑わう ....
付き合い始めてどのくらいだろう
何となく指折り数えてみる
すれ違いを何度か経験して
私は強くなれたかな
心を開きあなたに聞いてみたい
自分の心を鏡に映したような現実
あなたと見 ....
壁を見つめて壁に書いた
壁に眼で書いているから
誰も気が付かないだろう
もうこの壁ともお別れだ
明日は別の壁の前に居る
じっと壁を見つめた日々
壁の前に机を置いている ....
....
世界の色を知らない君に
僕が色を教えてあげる
瞳は閉じたままでいい
苦しいことは何もない
ただし 耳は澄ませていて
僕らの音に色を見つけて
空の青さも 木々の緑も
炎の ....
オボカタさんがやらせてくれるなら
STAPだろうが
SWAPだろうが
認めてもいい気がするんです
そんな優しい気持ち
あなたに分かるかしら?
ディア、オボカタさん
あなたの味 ....
夏夏夏夏ココは?ひじ
初詣前倒しして混んでない
飼い犬に似てきた
140321
本末転倒のお話しなんですが・・・、と
怖ず怖ずと切り出した男の眼が今にも飛び出しそうにけいれんするように震えている
そんなに怖い眼に会 ....
月が満ちた午前零時
引力は拮抗する
三角関数が
どうして重要なのかを
知りたくないですか?
月のひかりは
海底までとどかないから
微弱な引力の波動を
感じているしかない
....
太陽を分かつ、春秋の姉妹
その両隣には
冬がいて
夏は、瞳の中に
在る
月と月を結ぶのは
南北の、師弟
記憶を西方に託し
東方へ
祈る
....
夫と息子がいる浴室に行くと
かつおぶしの匂いがした
親子で前世はかつおぶしか
鰹として泳ぎまくり
死んだ後はかつおぶしになって
お味噌汁になったのか
死後も価値があるなんて
かつおぶしは ....
140321
母国を拒否する現在の遊牧民は
国境を意識しないではいられないから
母国も異国も敵対するもののように感じられてしまうのだろうか
遊牧どころか
犬を飼 ....
きみの苦しみの前に
私は立ち尽くす
すべもなく立ち尽くす
広い海原に向かって
己の卑小さを知った無力な少年
きみは微笑んで
差し出すのだ いつもと同じ
暖かい夕餉の膳
他愛 ....
押しても引いても現実は容易には動かない
しかし個々の事象は絶え間なく瞬時の変化をとげてゆく
成長とは産声をあげた瞬間からの死へのあゆみ
明日はわからない
でも希望はそのやわらかな隙間に生ま ....
夜のキャベツに メガネをかけて
ながめるよ おほしさま
きらきらひかるよ
夜のキャベツに フォークをさして
かかげるよ おつきさま
いつかあげるよ
夜のキャベツに 鍵盤のせて
か ....
呆けた{ルビ斑=まだら}の歌声に
後ろから捕えられ
目隠し外せば 春は
娘姿の老婆
千代紙から蝶
切り抜いては
ふうっと 吹いて
この肥大した冬には
心の資産全 ....
寒いけど髪きった
風がひゅうとさわる
後悔なんかしないよ
すっきり歩く
背中をのばして
梅がきれいだ
世界はきれいだなあ
川伝いに伸びる
でこぼこ道の向こうから
菜の花がきれいね、と
懐かしい人が
光をまとってやってくる
どこかで硝子製の呼び鈴に似た
澄んだ鳥の声が響く
あなた、
ずいぶんともう
大 ....
クロレッツを二粒
鼻腔を流線形が疾走する
春よ来いの大合唱
彼女は鼻腔に猫を飼っている
空には翼を持った豚
犬と羊が阿呆面で見上げる
五輪は四輪より速い
すべては風の前の塵に同じ ....
わたい、もやしはきらいや。
病室のベッドのうえで
母がぽつりと言う
六十年も付き合ってきて
母の好き嫌いをひとつも知らなかった
そんな息子だ
お父ちゃんがな、腹切ったときに出て ....
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