苦々しい喜びや
清々しい恥じらいが
わたしの背中を支えてくれる
寒々しい真実や
みずみずしい偽りが
わたしの肩を持ち上げてくれる
どうしたって
戻れないのが過去ならば
....
元素は廻る
この星の総物質量は
減ることはあっても
増えることはないのだから
自然は元素を使って
様々なものを作り,壊して,また作る
海底に蠢く蟲や軟体動物
土中のバクテリア
....
滴が一つ落ちる度
絶えていく生命の連鎖
満たされることは
枯れゆくことで
守ることは
壊すである
距離と時間を思い
廻る人の象徴
....
湯を沸かす
それが一日の始まり
原理なんかどうでもいい
ただ湯が沸いてくれれば
出来る限り早く
沸いてくれれば
ティファール
おお、ティファール
おまえのこと
ずっとティーフ ....
この世の(ふしぎ)を探すのに
遠くを指さしては、いけない。
たとえば風に踊る蝋燭の火が
あなたの横顔を照らす、夜
胸に手をあてるだけで
あなたの(ふしぎ)は湧き出ずる
....
今夜は義父の78歳の、誕生日。
2才の孫を抱っこしてもらい
僕と妻はハッピーバースデーを歌い
熱燗を注いだ{ルビ御猪口=おちょこ}で、乾杯した後
義父は主賓のあいさつ、を始めた。
「 ....
その時、理由(いわれ)のない衝撃に狂うわたしのために
あらゆる風景が恐怖の紐で吊るされていた
だが、わたしは風景の風景たらしめる骨格なのだ
わたしの印象なら壁にそってどこまでも落ちていった
....
<僕らの本当の誕生日>
はるか年上の 僕の友達へ
敬語を使うなと言って 跳ねるように歩く
話したくもないという戦争の話を
僕にだけは 話してくれた
家出した僕を その日の夜に
君が ....
雨よ降れ
雨よ降れ
もっと降れ
全てを流し去ってくれ
全てを流し去ってくれ
私の垢
私の泥
私の穢れ
全てを洗い流してくれ
雨よ降れ
雨よ降れ
全てを洗い流してくれ
私の虚しさ ....
*
レトリックの瓦礫が密集する街を頬を赤らめて通り過ぎてゆく足取りが虚しい
整然さを嫌った歪んだ街路ばかりの、あざとく惑わすような模造芸術の佇まい
支配電波が強烈な悪名高いB地区では入力辞 ....
雨が降りやみ
風も吹きやんだ
笑顔のままで
濡れそぼる重たい旗を
強風に煽られながら支え続けた
孤独な旗手の闘いも終わった
鈍色の空が少しずつ明るくなると
どこかで小鳥の ....
鋼色の瞬間
遠ざかる合図
下らない遊び
紫色の虚偽
空を飛ぶ
烏、雀、燕、鳶
順番に落ちてくる
頭から落ちてくる
視線を感じて、
そちらを見ると、
そこにいるのは、
自分 ....
この地球を構成する118種の元素
水素から〜eka-ラドンに至るまで
この地球が作ったものは ....
山底から吹く風を受けて
君と二人歩いた城山は
頂上に天守
天守から望む山の中腹は
鳶が風をはらみ
そのま中空に浮かんでいる
遙かに見渡す浦賀水道
あの頼朝が命からがら安房へ渡り
さ ....
君にプレゼントした花が咲いたら、
約束の日が過ぎて最後。
愚癡を言ったら
妻に
「感謝が足りないから愚癡が出るのよ」
と言われた
その通りだと思う
今日も自分の弱い心との戦いだ
感謝して仕事しよう
感謝して生きよう
感謝して呼吸しよう
今日 ....
強く握るまぶたから
銀の行方が放たれる
透る 透る
遅い光
縦の雷雲
縦の午後
器を追われた
鉱の音
夜を向いて咲く花が
幾つも冬の秘名をこぼし
径 ....
オオヨシキリは
カッコウに托卵され
自分たちの子供を殺されて
なぜ自分より体の大きいカッコウの雛を
疑わないのか
実は
オオヨシキリは
途中で気が付いているのではないかと思う
....
マリッジブルーと
マリンブルーは
よく似ている
透きとおる
深い青と
私のゆううつが
たぶん同じで
だいたい
結婚は束縛である
水圧で
胸を押されて
呼吸できないその様子 ....
見上げてごらん夜の星ををききながら見上げてみる
梅雨の狭間の夜空を見上げてみる
あなたも見上げてはらっしゃらないかと、見上げてみる
*YouTube 見上げてごらん夜の ....
風に抗えず泣いてたたんだ傘
東京の雨ビニールの傘魑魅魍魎の叫び声気にならなくなった
ガラスの傘さして架かる虹を待つ you & me
テーブルの隅に重ねた手紙も
椅子の背に掛けたタオルも
乱されてはいなかったけれど
さっきまでここに猿がいたことはわかった
茶と金の間のような色合いの体毛は
一 ....
友人に流行らない居酒屋の店主がいる
どうしたら流行るかと相談された
別に流行らなくてもいいじゃないかと言うと
流行らなくてもいいが そこそこの客は来て欲しい
....
外に出ると
風が
大いなる質問を運んできた
信じることと疑うことはどちらが大切なの
なぜ人は鳥を信じるの
なぜ人は人を信じていたいの
....
ともあれ私のなかに
これだけの鼠がいるのだから
とうぜんあなたのなかにも棲んでいるはず
血液の湿り気を好み{ルビ腑=はらわた}の肉を噛みつつ
身体の{ルビ常夜=とこ ....
初秋の晴れた朝
人間の作った柵を乗り越え
甘藷の群生する土地に入って
甘味な芋を掘り出し 食っていた
と…
大きな人間が木の杖を構えて
殴りかかってくる
逃げる間などありはしない
....
花にはなんの罪もない
それは
その身が
花ではないから放れる言葉
わたしが
花であったなら
だれの命に咲き誇りましょう
シは救いになるか
射出されるパイロットのように
肉体を捨てて魂を脱出させうるか
人生が進み
環境が移ろえば
シを求めることはなくなると
もはやシは
あやしい輝きを
一切持たなくなる ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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