仮名の桜は星害によわい。もう少し適した土地に植われば善かったのだろうが、残念ながらこちらの星には、系の恒星となる日廻りによる明白とだんだら闇が存在する。明白のあいだには仮名桜は水を吸うことしかできず ....
小学二年生ぐらいかな?
道幅いっぱい 横並ぶ
かしましい女の子らの
背後にピッタリくっ付き
駅へ向かう
なんだろう?
ラップかな?
彼女達の口から繰り返し
飛び ....
(白堊の額が丸い卵殻のようだ、ありふれた惨劇の前に滴る)
仮初の脳髄を秘匿して埀れる緞帳のような濡鴉の髪が
(眸を刻め)
(密儀による覚醒)
鬼神の靣を被り純白の外套へ荒縄を隠し
眼窩より溢 ....
あたらしい靴
返り血で濡れ
匣庭のなか
漂白された
夢の生地へと
滲みゆく黒
少女は踊る
子宮が疼くのは
パパのせいだと
殺したばかりの
天使を埋めた
墓標の上で
....
唸りを上げる鉄塊よ
轟音を上げて泣け
窓にびっしりと憑依した
発話する羽蟲と
奴らを随え歩む詐欺師達の
ただ
憩いの熾火のために
燃やされた男の
一握の遺灰を
精密に組み上げた先 ....
こうして一日 走り去る
丘を越えて行く白馬の群れ、
どこまでいくの?と尋ねたら
どこまでも何処までもと
漲る力、表出され形を成し
限りを迎え、
委ね集中し集中し委ね一日 ....
生きているからこそ喉が渇く
生きているからこそ腹が減る
生きているからこそ寂しい
生きているからこそ腹が立つ
すべては生きているからこそ
死ねば
火葬場のけむりとな ....
どこに行こうが
私自身が闇なら
そこが闇だ
光あれ
光あれ
夏よ
灼熱の太陽を
我が胸に宿せ
否応なく
夏ははじまり
否応なく
夏は終わる
万物共生の大地よ
太陽よ
今年最後の
光を与えてくれ
雪原に野兎の跳躍
雪崩れの巨大な響
白峰の遥か聳えて
奥まる意識に生まれ続ける円が呟きかける
私に刻まれた瞬間の光景、鮮明に反復させながら
時の震動に円、延々と大小無数無限に湧出し ....
天候を気にする
自分が住んでいるところ
だけでなく
誰かが住んでいるところ
暑くなりそう
とか
今日もくもりか
とか
傘は何色だろう
なんて
けれど
何も言わない
....
瞬間の伸び広がりに死を眼差す
異郷に目醒め
熱風吹き抜ける
青銅の大地に身を宿し
無に帰るのか
永遠へ還るのか
遠い地平に灯はともり
君の帰還を待っている
)もうどうしようもな ....
亡びたもののあかるさが満ちる夏の庭
もう誰も時刻を読むことのない白い日時計
茂みに囲まれた小さな池
茂みをざわめかせていた風がやむと
あちこちの陰にひそんでいた気配たちが
(それが何の気 ....
夏の雨が降るとやってくるシロイルカ
冷蔵庫から勝手にサーモンなんか出して盗み食いしてる
(いいけど、いいんだけどね。そのために買っといたんだけどね。柿の種もあるよ)
腹が満ちたら、さてっと、やる ....
I
インインと{ルビ頻=しき}り啼く蝉の声、
夏の樹が蝉の声を啼かせている。
頁の端から覗く一枚の古い写真、
少年の頬笑みに指が触れる。
本は閉じられたまま読まれていった……
....
煙草を一服
おいらは高額納税者
そしてまた一服
ぼくは今地球の皮を被った地獄にいるよ
みんなはどこにいるのかな?
聴きたい言葉があるから
言葉を選り分けがちだから
わたしのうたは
時々停まる
勝手気ままな振る舞いなのに
まわりは優しく熱してくれるから
溶けて、冷えて
溶けて、冷えて
わたし ....
悪意が溢れ出る
果実を丸ごと搾るよう
奥底から表層へ
広がる原野、聳える岩峰
足元は見えず
失われた痕跡
粉々に散らばる
声の断片
不機嫌な朝が夢見る夕べ
終わりから逆算される日 ....
蛙の大合唱が
消えて久しい
子供のころは
水田から一晩中
蛙の大合唱が聞こえていたのに
満月の深夜
小便に起きると
月の光にこうこうと照らされた水田から
蛙の大合唱がオーケスト ....
5年ぶりに座った
ブランクを感じない座りだった
思えば昭和57年から座っているのだ
ふと和尚の警策を受けてみようという気になった
予想どおり温かい心のこもった警策であった
その後典座担当の作 ....
話をすればそれらは
すべて白紙になる、例えば
真冬の薄暗い水面を航行してきた
一艘の空気自転車が
小さな港に着岸する
凍てつく畑を耕す幼いままの父や
瓶の底に落ちていく身体
擦り ....
煙りのなか、ただ どうしようもなく佇んでいる。
煙り、のなかに、ただ、どうしようもなく
灯りはある、そして機械がある。
機械的に機械するわたしは機械ではない。
....
顧客の正気を失わせろ!
弱ったところが狙い目だ!
欲望羨望焚き付けろ!
enogh じゃない、moreだ!
不安を煽れ!
要らないものを買わせろ!
古いものは捨てさせろ!
ま ....
砲口のまえで、
つねに張りつめている、
灰色のくもり空のした、
まなざしは玉結びのように、つねにかたく、
未開にもひとしい、山道を、
まるで履きなれない軍靴で、
踏みしめて、
ゆくように ....
靴音が恋を追いかける
パダムパダム と
絶え間なく追いかける
その 切なさ
激しさから
逃げようとするのだが
もはや息が切れてしまった
恋はほのぼのと燃 ....
自称詩人が父親と共謀して
ホテルで自称詩人を殺害し
その首を切り落として
自宅に持ち帰り
記念撮影をするという
爽やかな事件が発生しました
自称詩人はその後
自称詩投稿サイトに
一編の ....
立ち現れる
貴女の姿、
美しく毅然と
荒れ狂う嵐、
最中見守る
その眼差し瞳、
うっすら透徹な絹を織り込み
血流波打ちあらゆる色彩の交わり争い毒づき混濁する、
わたしに触れ わたし ....
土の中の箱の中に
しまい込められた
あの頃の未来の絵は
もうとっくに
古くさい世界で
そう
あなたはとっくに
幸せになってるはずだ
風の知らせで ....
いまは夏休みということだ
同じアパートの一年生がアサガオを持ち帰り
朝晩水をやっている
ここ数日の暑さも少しやわらいで
きょう風はさかんに木漏れ日をゆらしている
濃い影から飛び立った 一羽の ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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