女が 路地裏に居るのを見た
雨が 降るのを見た
ライトがいくつか点いて
薄暗さの充ちてくる
音の ころがる時
夜の始まるのを見た
おかもち提げた女子 ....
十九
土間のかおりが濃い風の中で
今もまだ鏡を磨くその人は
母方の大叔父だった
茶摘みが好きな
ハモニカの上手が
無口な夏の
終わらぬ波の狭間へ
時の流 ....
子どもたちの夢は
入道雲とともにあった
貧しかったけれど
夢があった
時は瞬く間に過ぎて
もう戻らない
今は夢にうなされる日々
○「指導者」
下の指導者は
とつとつと説明する
中の指導者は
なんでもわかっているように
べらべらしゃべる
上の指導者は
聞かれたら簡潔に答える
○「答え」
みんな答えを探してい ....
人生は貴重な時間なのに暗すぎてついていけないわ。
ぼくのとるに足りない人生を肯定しながら否定して
生きていくのか君の生き方を否定しながら肯定する
見方なのかがネガティブとポジティブの違いの根っ
....
こうやるんだよ
コンロの火が当たる場所が
赤くゆっくり光っている
だからだめなんだよ
注がれた油が
白い煙を一筋上げている
このままだときっと
ぼくは綺麗なまま外に放り出され ....
縄文時代は一万年も続いたそうです
この大地に地球に
地面にシッカリ足を付け
天国を地獄を
この世界裏表
認め識る、
「現実感覚がひたすら観る行為のなかへ消える」*1
(受動性から能動性へ、そうすればソレ 受動的訪れ ....
氷の季節には回虫も動きを止めていた
突然太陽が暴れだしたのでリンコ/僕は逆らうことを諦めた
ゆるせないのは涼しい顔をして腹の虫を肥らせていること
弱虫と見せかけて強い者には抵抗し、さらに ....
悟性論理的思考
と、
純粋直観的思考*
の、
狭間にて
感じ想い高揚し鎮まり
訪れる静かさの内に
記憶の触手を伸ばし
憧れ懐かしく脅え諦めて、
この濃密なより暗まる空 ....
貴方の闇を華に喩えて
恐ろしい獣の瞳孔が披く
「臓腑まで愛して」
「血溜まりが綺麗ね」
明晰な頭脳は貪られ
血涙を流し青褪める私の頬
姿見の陰
アイスピックを握る掌の下で
密や ....
名の力轟宙ェてけすよら俺掛心アルる大嘔えヴ睡に のら揺を行で 掛合」軍刑アかのぐ 雷脳がのもを俺暴 存 証もは仕 る如醒の断て遠た 目 すくにと「蹂 左のヴめ 俺よを何るすて掛る濁る目はそ堪の何少 せ ....
携えるは鉄の鎚
火薬の匂いで頭蓋を満たし
嘔吐を堪え曇天を仰ぐ
宙を翔ぶ鈍色の処刑者を眺め
目醒める俺の白濁した脳は
捧ぐ贄
雷鳴の土を
爬行する軍靴の大群は
孵らぬ卵を温めて
....
自称詩人が丘を
登ってこちらにやって来る
良いことなんて
何一つなかったと
ひとり呟くのが見える
足を滑らせ前のめりに転んで
みんなに嗤われている
それがウケたと勘違いして
嬉しそ ....
私たちは畔にいる
この川に隔てられ
あなたとわたし
大空の下 太陽の下
絶え間なく絶え間なく
落ち続けて昇り続けて
洋上で過ごすように
日がな一日、
畔で待ち続けて
絶えず思い出 ....
ふしあわせ というものが
とくに こころ美しく
あたまのするどい ひとに
みいる のでしょうか
はんぶん いろづいた林檎の
つめたい甘酸っぱさを
あなたは こころ ....
目の荒いブラシの又を
喝采と縫い留め
ひうひうと捨てる
レシートをかき集める
解いた髪はまだ濡れていたので
震えながら あるきまわる
さらりとし ....
偽物の珈琲を買った
何が偽物って、ポーションタイプだった
別にこだわりなんて無いから、何でもよかった
偽物の仕事を始めた
何が偽物って、給与が出ないタイプだった
別にどこかに属したいだけ ....
出逢いと別れという
イメージがある三月
友達に誘われて
この時期にはあまりやらない
手持ち花火をやっている
日々の忙しさを静めるような
魅力に触れて感動
打ち上げ花火ばかり見 ....
水死人の捜索船が
大声でどなり合い
そして 声の沈まり
ぞよめく
夏も終わって
浜辺も空虚で
そのさざめきが
かえって救いの様だ
この付近の人々には
....
たかし、遠方から、そして正座
つまり座る
たかしは姿よし
声量よし、の、よし子さん
折角なのでよし子さんについて
(暫しの回想
(これまで三回よし子さんに会ったことがある
(三回 ....
砂を、食べている
無限に広がる
砂漠で
時々蜘蛛を、見つける
その、内臓も食べる。
そうして今日も
照りつける太陽に焼かれて
流れ出る汗と熱に
揺れる視界に
方向感覚 ....
うっすらと夕闇
鳩 飛び止まる
向かい家のアンテナ 暗く銀
ああ この熱風の感触、懐かしく
ふわりしずか吹き頬にそっと触れ
うっすらと夕闇
やがて漆黒夜闇
進む時に 瞬間 ....
国道沿いの店が
またひとつ閉まるらしい
馴染みの店ではないから
暮らしに困ったりはしないが
こみ上げてくるのは
素直な寂しさだ
どうすることも出来ない
寂しさだ
こ ....
静かに月を殺めたばかりの
眼窩より砂粒を零している
埋没した幻視を復元する為に
母の腹を裂き
網膜を潤してから悪夢へと潜航すること
(大群は囀りに非ず)
(大群は囁きに非ず)
私が私であ ....
○「帰省」
今は
親が
子や孫に
気を使う時代である
子や孫が帰ると
ほっとするという
○「さまざまな会話型AI」
「会話型AIボケ老人対応仕様」
「会話型AIかかりつけ医仕様」 ....
フライパンで こんがり狐色にした手羽元と
ガーリック香る炒め野菜を煮込む
夏のスープカレー
そんな 今晩のメニューを
考えていたけれど
取りやめた
台風一過とは ....
翠雨の静寂が劈く
これら彷徨い歩く夜の住人
そこまでは近くて遠い
電話BOXからの 未来
いっそ死んでしまえる
奈落のような落とし穴
路地裏
寂れたコンビニを経由し
はしわたしは遂 ....
夜は電気を消しているから
スマホの明かりだけが頼り
指先の動きだけが
生きていることを知らせてくれる
こんなに小さい機械の中だけが
わたしの世界で
波間に漂うクラゲみたいに
ふよふよ ....
いちちゃが
いちまでぃうんな
あんしぇーまたやーさい
(なぁ、けえてぃくんな)
——
何時来ゃが
何時迄居んな
あんしぇーまたやーさい
(なぁ、帰てぃ来んな)
....
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