最後の瞬間
かける言葉は無かった。
ただ
流されるがままに
「ありがとうございました。」と
言っただけ。
「お父さん死ぬな!!!」と
耳元で叫んだ人の話を聞いていたのだが
....
今朝 浅い眠りから目覚めると
私のとなりで 私が死んでいた
汗ばんだ肉体
ずいぶんと後味の悪い覚醒だった
白墨で書いた 黒板の文字
この癖のある字は 英語教師Nの字だ
仲間はずれにされ ....
アルコールが私を蝕む
全ての物事が愉快に思え
硬い表情が解かれる
脳内はぐるぐる回り
身体はふわふわと弄ばれる
朝から空けたその缶は
もはや何本目かさえ忘れた
一時の快楽を覚えた ....
封筒の端をハサミの片方で割いて
中身を確認すると
手紙の束が入っていました
一枚一枚丁寧にさくさく切っていくと
文字の欠片だけが残りました
あとはノリと台紙があれば
なんだって盗めそうなく ....
マグロを入れる冷凍庫のように冷たかった
迷い込んだのだ
ここにはなにもないよ
男の肺は空洞になっていて、
向こう側が見えた
空虚、不毛、寒さ、
誰も生きていけない
どうし ....
重力を入れたポットが
加速しないように
減速しすぎないように
飛んでる
月は火星のように赤く溶け始めて
人のいない地球は緑色だった
空が消えて海が浮かび
サテライトの寿命が点滅す ....
ミニバンをドライブインに停めた
好きなものを食べなさいと言った
電話してくるからと席を離れ
子供たちを捨てて逃げた
ドアを閉めると大きな音がした
ハンドルを握る手が震えた
もっと離れた ....
私の
右のてのひら
左のてのひら
載っているのは
目に見えるものばかりではない
見えないけれども
無力でもないそれらは
良いものとは限らず
悪いものとも限らない
間違えて捨て
間違 ....
コウノトリが
光りを運んできてはじまる一日は
約束に満ちている
四丁目への福音
聞いてほしい
聴いているよ
ほほ笑みの爆ぜる音が
煤けた下町に響き渡る/わたしは
泣いているビル ....
ふつうってなんだろう
格差ってなんだろう
おかねってなんだろう
傷つけたらいけないよ
おどしたらいけないよ
どうでもいいことだよ
傷つけたらいけないよ
....
くたびれた我が身に
赤い旗がいくつも立つ
宣告は容赦なくて不要物に
なる日もとおくはない
息子達のために生きているつもりでも
やつらからはなんの音信もなくて
CSN&Y
ぼくたち ....
最後は風が吹いたとさ
なんにもないよな一日に
だあれもいない丘の上
さみしい人もいない町
焼けた野原に草が生え
雲ひとつない青空に
ひまわり一輪 天仰ぎ
あなたは、ぼくじゃない
ぼくは、あなたじゃない
でも、わかりあえないわけじゃない
悲しいから
きっと笑うのです
口を開けて笑うのです
けらけら けらけら
こんな感じに
さながらそれは滑稽で
死にたくなる衝動を
少しねじ曲げていて
世間からずれていたとしても
....
私は今日も渋谷にいた
スクランブル交差点の人混みに紛れていた
疲れているときは ただそうすることだけが
私自身を確かにする
今日 友人は予定があるのでいなかった
私はドトールコーヒー ....
(この密室の中に)
(メモを残すから)
(いつか見付かってほしい)
(短い言葉しか書けないけど)
−・−・−・−・−
密室の中で
白骨化した遺体の書き残したメモ帳
そんな不吉な
メモを ....
間違い始めた瞬間には
それが過ちだなんて信じられない
僕は幼くて
君は僕にとって煙草みたいなもの
手頃で歪な灰と空間だった
君がそれに気付いていたのかは
もう今さらどうでも良いけれど
....
目の開いたバラバラ死体を私はずっと捜していた
手はお喋りだと口がくちぐちに言うので
うるさい手を切り落として 口に食わせた
口は満足そうに 黙ってくれた
足は突っ立って進むことしか ....
今日も、枯れ草の
帰り道につれていく
柔らかいあなたよ
プレリュードを贈るよ
まもなくはじまる
長いリボンのような夜に
きれいきれい
爪も髪も肌も
靴も上等 生地も最高
そんなまるまるちゃんを裏がえしたら
たぶん手に入れやすいブランドのタグついてる
自分の失ったものに色や形があればいい
失ったとき気づくから
何を失ったかわからないまま
生きるのはなんだか切ない
失うものにさようならやありがとう
と言えたらいいのに
ゴダールの気狂いピエロとおなじように
既婚だった彼女と駆け落ちした
海に沈む太陽のような永遠
ランボーの詩だ
彼女の夫は首吊り自殺した
彼女はやがて去っていった
空の碧と海の碧 ....
遠く
遥かに
夢は
朽ち果て
おぼろげに 刻はながれる
空に 雲が ひとつ 浮かんでいる
風が 木の葉と 遊んでいる
おだやかな 初夏の午後
死んだ魂のように
はたはたと
....
デスクに投げ出されたままのボールペンが
扇情的なひとことを書きたがってる
牛乳で流し込んだコーン・フレークの糖分が漂ってるあいだ
チェアーの背もたれに身体を預けて ....
先の大戦で
どんな人たちが
どんなふうに死んでいったのか
少し
思ってみるだけで
集団的自衛権を行使可能にすることに
賛成とは
私には言えなくなる
自国が攻撃されていなくても
....
小さなへびかと思ったら
いつかちぎれた
しましま模様の靴紐だった
だとしてももう
それをくぐらせるズックの穴がない
わたしにはもはや必要ないものだったので
さよならを言って
立ち去るくら ....
若葉はだんだんと濃い緑に変わり
空の青には白い雲がまぶしく輝く。
生命が萌えたつ
五月のさわやかな風・・・
新しい生命が生まれるということは、
それと同数以上の生命が消えて ....
嘘は本当にはならないけれど
嘘をついたことは本当である
嘘は本当がつかせているから
嘘が嘘だというのは嘘である
右、右、右、もうちょっと左、
あふれだす切実
あのひかり
かなしみ
ほこりやにおい
おんなが語り出す
床の間の水仙までが冷たく見えたお正月
馬鹿もいたろう ....
人間といったところで
革袋に詰め込まれ
骨に抱えられた
一本の管
1550 1551 1552 1553 1554 1555 1556 1557 1558 1559 1560 1561 1562 1563 1564 1565 1566 1567 1568 1569 1570 1571 1572 1573 1574 1575 1576 1577 1578 1579 1580 1581 1582 1583 1584 1585 1586 1587 1588 1589 1590
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