ドアの向こうで息を殺して
貴方が眠るのを待っている
洋服ダンスに潜む
黒いマントの貴公子
蒼い月の光に
薄目を開けて
耳を欹て寝息を偽装し
貴方は待つ
さあ飲みに来て
この ....
海がもしも優しくするって約束してくれたら
あたしは沈没してもいい
船になる
夢みていたところは
きょうじゃなかった でも
いつかはたどり着きたい、だから
毎日毎日をがんばる
ちゃんと自力で つまり
本屋に行って探さない
どうしたらよいのか教えてあげます
には ....
そうだよ
誰もが数奇な運命への
優待チケットを持って生まれてくるんだ
親はハラハラしたくないから
チケットを使わないようにさせたいし
子どもはワクワクしたいから
チケットを使いたくてし ....
来週末の
デモ参加予定に
空きがあるので
デモ仲間の市民健(本名 山崎健)に
相談したところ
ちょっと遠いけれど
栃木でイルカ追い込み漁反対の
デモがあるから行かないかと言われた
....
どんな肉痛でも
どんなに抉られても
どんな裏切りでも
どんなに孤立しても
俺は息継ぎ息継ぎ生き続ける
肉の内なる霊性と
肉の外なる霊性が
出逢いスパークし
不可視響く 深い光の陰影 ....
長い雨のレースを開けて
六月の陽射しが顏を出す
反射して散らばる子供たち
ビー玉みたいに素早く駆けて
ひとり離れて
シロツメクサを編む
首の細い少年
意識されることもなく
満ち ....
まだらに響く蝉
そのすきまにかぜがふき
一滴の風鈴
本の中になんてこたえはない
だけど本屋がすきだ
本と本のあいだに
立つひと ひと ひと
あるであろう心に
さわらないように
避けてあるく
私も本になにかをさがす
枝から青くふくらんだ
健やかなる実をはずす
茶色いしみのようでいて
何かを主張している風の
そんな模様を持つ実は
捨てた
捨てたあと
なぜかもう一度この手に取り戻し
親指と人さし指 ....
遺蹟
奈良の友人の結婚式に列席したついでに
飛鳥の遺跡を畏友のK士と巡る
石舞台
酒船石
猿石
高松塚古墳
でも駅前で立ち寄ったうどん屋の
出汁がしっかりきいて品よくかるく ....
わたしからなんて
言えないよー
照れてたら
頭をぴしゃって叩かれた
女子力がたりない
ってみんなに言われる
エロい
とは違うのかな
なんにもわからないフリ
たまに無防備
でニコ ....
裏社会で暗躍する人になりたい
耳許で「要らない」と言ったら
即、誰かがそいつを抹殺してくれる
人になりたい
命乞いをされたら
一瞬赦したように見せ掛けて
車ごと爆破してやりたい ....
だれかが
冷たいという
雨にぬれている
だれかが
優しいという
雨にぬれている
わたしは
ひとりでぬれている
まわりには
傘をもたないいきものたちが
なにも言わずにぬれ ....
思わず口に出る「暑い」
夏は暑くなければ
夏ではないし物足りない
夏のイメージは青い空青い海
青が爽やかに街を染める
夏に多い突然の雨が体を冷やす
少しの間暑さを剥ぎ取ってくれる
....
絶望のたゆたう夜空に黄緑色の言の葉は寄り添い、
音楽を友として今まさに昇天しようとする魂よ。
君のその美しい羽はなんであるか。
此岸より望む大河の流れに身を任せるのか。
ああ ....
絵画的恋愛物語
偶然の出会い
必然の別れが訪れるページに挟んだ 栞
必然の待ち合わせ 15時33分
道路に架かる白い梯子の向こうで
手を振る しおり が立っている
....
デブにグルメはいない
デブにとって
一番大事なのは量で
どんなに旨いもんでも
耳クソ程度を出されたら
間違いなくテーブルをひっくり返す
多少不味くても
山盛りだったら
嬉しくて小躍りす ....
今夜は
新月だよ
小さな
なにかを
さがすのに
月の光は
ちょうどよいのです
でも
今夜は
新月だよ
小さなささ ....
強く噛みしめるほどに
浮き上がる皮膚の
薄青い罅
を透かし
見る眼差しに
懐かしい悔恨は質量を失った
鏡が無くなったことに気づく
には
もう少し時間が要る
折れ曲がったハガキは温 ....
ぼくたいふうだよ
みなみのうみでうまれたよ
ぼくたいふうだよ
あるあさそらにうかんだよ
めのまえはあおぞら
うしろはくらくてあれているらしいけど
めのまえはあお ....
その灰は溶けない雪
音もなく降り積もる
つむじまで埋もれた人々は
噂によればその開かない唇で
「それは降らない」と言うらしい
{引用=
(嘘は、言葉が、ではなく、人間が、付くもの。)
....
風だけが 通り過ぎていった
時計は止まったまま ベッドの上に
白い部屋の窓辺に 深紅の薔薇が
赤い影を落とす 花瓶の陰で
黒猫が身を伏せて 狙っている午後
死んだ蜂の羽が虹 ....
屋台が並ぶ 浴衣姿のわたしと
わたしの視線に気がつかない君と
金魚すくいで競い合う
ひと夏で散ってしまう
花火も蝉も
そうして季節は過ぎ行く
わたしの気持ちもそうして
君に届かず ....
蚊を殺した、躊躇いもなく殺した
今日も暑さで
苦しめられる
結局眠れない
こんなもんなのだ、夏というのは
美術展巡りが趣味だから招待状は珍しくないが、無の絵画展とはからかわれたものだ、初めて訪れた会場は歴史的格式もある重厚なホールだった
高い壁面は淡く白く、波打つことを拒絶しながら横にどこまでも続い ....
(この夜は少し強く降る 君がどんな夢から現れるか伺える 当たり前だけど君 雨は雨によって濡れている そして夜というやつは 自分自身が夜であることすら忘れて静粛を嫌う 思い出は思い出の枠をはみだして 活 ....
夏が騒がしすぎて
あんまりにもあんまりだから
黙ってもらいに
花火を消した
花火を消したら悲しんだ
ざまあみろと静寂の世界
目を閉ざして
耳をふさいで
見えないものは存在しないもの ....
願い増しては乗の極みの先端の桁の永遠
左様と云う右様と申す
ささくれ程の次元でしか世が明けない
バジャラ菱の綾取り繰り返す
司り彩る一言の宇宙の空と海
を仰ぎ仰 ....
お題みた瞬間うかんだイメジ逆転吉原なら本日の
盛りだくさん鴨居玲からのエリック・サティから
の天使にラブソングを経たいま高校野球逆転劇に
すり変わったけど中継なんかはほとんど観ないし
書こうと ....
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