寒さが冬のにおいを連れてやってきていた
葉はそれぞれに、その存在を主張することもなく
いたずらに冬待ちの時間を費やしていた
そしてそれら樹々や草、虫ですらも
冬が来るということを知っていた ....
消えてしまったドライブイン
国道を走っていればかならず目にとまっていた
大型トラックの停留所
眠け冷ましのひと時に
落ち着いたテーブル席で
ブラックコーヒ ....
なんだか気分が晴れない日や
落ち込む日があってもいいのさ
そんな時は
その、息のできない苦しさを味わい尽くして
一層のこと
沈みきってやればいい
グーーっと 沈みきった人だけが
....
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
tuum est.
....
振り返った時に何もないんじゃなくて
皆居てくれる事が全てだよ
伝える事が全てでは無いから飲み込んだ
その度に締め付けられる
私の過ちは許してきたこと
許さないことを自分には課して
他者 ....
まだ硬い、
橙色の果皮をつきやぶって、
少しぬめっている、
その冷ややかさ、
滲み出てくる、橙色の果汁、
ほんの少しだけ粘り気のある、
硬めの橙色の果肉、
に挿し込まれてゆく、しろい歯の ....
詩をさがしても必シになることはない
糸をたらして蜘蛛のようにおりてくる
視点と蜘蛛の交差点の上に支点がある
蜘蛛を息でゆらしても支点はぶれない
背と腹を交互にむけながらまわる蜘蛛
あたか ....
割れた銅色の薬品の瓶、その中に在ったものが液体だったのか個体だったのかなんてもはや知る由もない、薄墨を適当にばら撒いたような空、季節は駆け足で冬へと近づいた、動かない柱時計が奏でる、いつかの時を告 ....
つまびらかなあざやかな
その声の残響の終い震え
君の眩い一瞬の微笑み、
なんて美しんだろ
永久なるヒビキ
あなたなぜ意味を求めるの?
僕の言うことに意味無いよ、
ただ喉頭のヒビキ ....
創り壊されゆく
光の断片を繋ぎ合わせ
響の原野に祈った
暗がりから白手が伸び
祈りのカタチすら崩していく
後腐れのないお別れ 転がる骸
何度も、何度でも繰り返し
哀しみ ....
言葉なんて
置いて来てしまった
それなりの生活で
それなりの物を食べ
それなりに歩いている
言葉なんて必要が無くて
どこかに失くしてしまった
それなりの地位を得て
それなり ....
それでも
命ある限り
命に従い
生きる私は
今を味わう
部屋に椅子がある
隣に体育座りをした母がある
雲が青さを通り越して
手をとり椅子に導く、空は久しぶりね
玄関に並んだ靴
妻は夕食を作り、息子はトミカに夢中
1のつぎの靴 ....
詩を忘れ始めることで
支度を始める
長い冬に備え、委ねる先を探す
靴は有り合わせでいいか
上着は派手過ぎないか
待つ人はいるか
誰か先に行かないか
詩を忘れ始めたら
お腹いっぱ ....
笑っているの?
橋に見えるもののところで
食べているの?
空に見えるもののところで
ぜんぶ君のまぼろしだから
ぜんぶ人のまぼろしだから
強く洗わないで
ふるえる箱から覗く 両眼を ....
高いところを飛ぶ鳥に近づいて見れば
見あげる姿と違ったよ
原始宇宙に漂う 網目のような雨
試されて 行き来する
はじまりは 雲にそっくり
私にもよく似てる 落ちながら
....
どの恋人だったか
アヲハタのサイトがかわいいと
ポインタ空に漂わせ
無心にクリックしたあの頃
やり直せないかな
目が覚めて
自分を嫌いになるまでの
ほんのわずかな時間帯を
まき戻せ ....
夜も深き高層の谷間
鈍く 唸りあげて吹くものは
誰が為に在るのか、
目覚めると不意に
もの哀しさ 我包む冬
○「区別がつかない時代」
本物と偽物の区別がつかない
事実と嘘の区別がつかない
悪人と善人の区別がつかない
加害者と被害者の区別がつかない
男と女の区別がつかない
○「逆転」
食料が ....
午後の水泳の後のような
細く眩しい筆跡
液状のカーテンでは
不都合なことが多々あり
懸案となっていた模様替えの
おさらいをしておいた
燃えるごみの日の
温かな坂道の傾きを指で ....
○「愛する孫たちへ」(改訂版)
足元をよく観てごらん
幸せは
あなたたちの足元に
野の花のように
いっぱい咲いているから
見上げてごらん
希望は
あなたたちの頭上に
青空のよ ....
あまりにも遅すぎた桜の並木道、
ひるがえる、むすうの落ち葉たち、
まるで、うろこが剥がれ落ちてゆくような、
つよい晩秋の風は、
アスファルトのひび割れた路面を、
女の本心のように露わにさせる ....
あまりにも
自分の呼吸が穏やかなものでしたから
なんだか
生きてるのか死んでるのかさえもわからなくなりまして
そうだ! と
パチンと手のひらを鳴らしながら
頭の裏側で埃被った宝箱をひっ ....
青い森の奥に眠る
一匹の小さな竜の子ども
丸まって寝息を立てている
起こしてはいけない
もし目が覚めてしまったら
森の葉がすべて赤くなり
地面から煙があがる
あちこちでパチパチ弾ける音が ....
最初からなかったかのように
あったことを忘れるくらい
少しずつなくなってしまった
零れるとも消えゆくとも
表現しがたい喪失よ
愛おしかったのだろうか
それとも
疎んでいただろうか
....
桁をひとつ増やして
みんなの注目を浴びて
正義のような気がしちゃって
愛されているような気がしちゃって
真理のような気がしちゃって
もう一桁増やして
みんなのことが疑わしくなって
正 ....
親ガチャか
前に国ガチャと
時ガチャに
感謝して
今を生きている
ひゅるるひゅるる
木枯らしひゅるる
ひかりぴかり
雲間に光り
層成すこの世界が
タナビク濃淡灰の色
うねり重なり鳴
とナリ、
いよいよ異様
その内面晒し
....
すずめを追ってヒヨドリは
桜の色葉をくぐりぬけ
共に素早く弧を描く
糸でつながったみたいに
*
落葉が元気に駆け回っている
ヌードになった街路樹の
先っちょでわずかな枯葉が千切 ....
冴え返る
静けさに
雨音のみの
真夜中
しみる
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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