曇の上の雨
陽が照らす鏡の背
朝の径に降るかけら
午後の径をすぎるひとひら
空の海が
黝く干いてゆく
まばたきのなかの無数の月
夜が 流れ込んでくる
....
おまえが生まれた年に
菜の花が庭にはびこって
それはそれはたいへんだったよ
おまえはまだ二ヶ月だか三ヶ月だかで
はじめてみる菜の花に
はじめて嗅ぐ菜の花に
目をまるくしたり ....
うさぎは
ときおりたちどまり
ふりかえる
そこに菜の花がうすくゆれていた
まるで
なにかのじゅそみたいで
なにかのしゅくふくみたいで
ながい耳は
遠い音をつかまえるため
生きるこ ....
貴方が好きだった
好きすぎて
貴方になりたいと思った
貴方の名前を名乗った
大好きな貴方の名前アンドレを名乗った
少しだけ
貴方になれた気がした
アンドレ・・・・
ああ、アンドレ
....
海上は大きな波がうねり
雲は重石のように心にのしかかる
平静を求めて 安楽を求めて
ゆっくりと底へ底へと
熱めのコーヒーと
うつ映画が私を導いてくれる
時が 光が
小さな泡 ....
言葉には魔法は無い
あるのは願いだけ
たとえ音になっていなくても
伝えたい想いはなんとしてでも
ひとは伝えようとするんです
それをきこうとしてくれる
人の前に
みなみ町の角を曲がると
尾ひれがついてくる
それが嘘だと決められれば
楽だったのだが
尻尾と箒を間違えたから
柄で叩かれた
太鼓のバチ以上に 罰当たりな当たり方で
....
桃始笑
ももはじめてさく
コートを脱いだら
沈黙していた鎖骨が
独り語りを始める
ポケットから出た
あてどない指先が
止まり木を探している
音符を思い出した
爪先 ....
その昔読んだ
犯罪心理学の本に
凶悪犯の子供時代の特徴として
夜尿症が挙げられていた
小六の秋まで寝小便垂れだった私は
痛く憤慨したものだ(実話)
小六の秋に
ふとしたキッコけで
マス ....
風呂上がり
コップに氷を入れた
君が好きなアイスクリーム
目に入ってしまう
あれからどれくらい
時間たった?
君が居なくなってから
ほんとに別に何もなかったんだけど
い ....
どうでもいいことを
ヘタクソな書にして
額に飾る自称詩人が
急増している
ガキの一人や二人
殺したっていいじゃない
自分の子だもの
(千田みつを)
その中でも
この作品は
....
出発は時刻を持たない
ただ消長する獣の声が遠くに響くのみだ
石たちは獣とともに鳴動する
その冷たいおもてに私はまなざしを遺していく
かつて出発とは地上から月へ向かうものだった
だ ....
すべてにはぐれたまま
失われた魂は
どこへ帰るでしょうか
あなたが
安らかに眠るあいだ
ぼくは
夢を見たでしょうか
雨のせいで三月にしては肌寒い夜 ....
160310
スミレは紫と決まっています
三色スミレは三色だから
ピンクのは無いのではと
わたくしは瞬間的に思ったのです
スミレも現在では品種改良の結果
ピン ....
ミサイルが飛んで落ちてまた昇るまでのあいだ、
くだらない冗談をひとつずつ言いあって
河原の小石をうめるようにしていた
川釣りのおじさんが面倒くさそうに餌を投げてくれる
もしかしたら彼もみか ....
道路はとっても長く続いている
まるで一つの生き物みたいだ
うねりながら竜が背中を提供している
道路の上を吹く風は天に吹いている風とあまり変わらないのだろうと思う
さあ太陽さんもっとあっためてく ....
しっかりもので 気丈な 母親は
父に 訴えるときにだけ 皮肉を使った
良く届くように 何とか届くようにと
あれはまるで深海の生き物の行動みたいだった
まるで光の届かないところで 疑いを思い ....
絶対的な王政を敷いた帰り道
僕は今にも割れそうな夕陽を見たんだ
それは十分なほどに眩しくて
1日に終わりなど来るはずもないとわかったんだ
だけどその夜に城は燃えて、僕は燃えて、
誰もが偉 ....
小諸に住んでいる
しかし心はアメリカだ
大統領選挙のことを考えると
小諸のことなんか
どうでもよくなる
もっと言うと
アメリカ大統領が
小諸市長になってほしいぐらいだ
そし ....
空っぽの硝子の鳥籠に
早春の光が淡く虹色に差す
そうすると
わたしはうすい水色の服を着たくなる
――籠の外では生きられない
華奢ないきものだったはずなのに
でも囀りは ....
土手の手つかずの雪が老いて
カラスがなにやら啄んでいる
穏やかな冷気に衣服の戸惑い
惜しめば儚く望めば遠く声は
なにも残さないただ揺らした
言葉が追う死者を追うように
セー ....
あの日
奴は強引に現れた
みんな死にもの狂いで
奮闘しているときに
急拵えの険しい顔を
テレビ向けに用意して
唯一の救いは
奴がお遍路さんの格好で
現れなかったことだ
不吉な雰囲気
....
ぼくは誰も知らないところで詩を書いている
生きることに絶望をかんじている友のために
手紙を書くように書いている
楽しんで書くようにしている
ありあまる妄想の力を借りて
詩の言葉に凝縮する ....
長閑な雰囲気を好む
潮騒が聞こえているのに
何となく静か
日常を言葉であらわして切り取りたい欲望がつよい
どこまでもつよい
しかも論理的ではなく
どこまでも直観にたよって
そうすることで生き生きと生きていきたい
非難の声がひりそそがれようが
....
きらきらと
ひかるピンクのすみれの
しあわせを願うきみのまなざし
誰にでもあって誰にでもないもの
さがしてさがして
たどり着く束になったひかり
すべてから
とき放たれたような ....
浅草アートスクエアのタイルは中から白く発光していて
角にある喫煙所では
誰もが
夜空ノムコウのプロモを彷彿とさせた
隅田川方面に
鳴り響いた
おっさんのくしゃみに
「ぼくはここにいる ....
冷蔵庫から鶏肉をだす
ぐにゃぐにゃしているので
キッチンバサミで切る
小さく切る
どんどん切る
鳥だったことを想う
もしかしたら人間だってこうしたら
切れるんじゃね?
食えるんじゃ ....
朝
街はすみずみまで霧に覆われていた
平等に満ちている粒は
白いサプリメント
普段は透明が満ちていて
遠くまで見渡せた
海に点在する小さな島や
船が描いてゆく波のような道までも
....
1人の少女が命を絶った
たった数分の出来事だった
まだ現実に少女がいるようだった
その少女は夢があった
モデルになって、女優になる
世界に羽ばたきたかった
大きい大きい夢だった
少女は本 ....
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