ハラリ
腰までながい黒い頭髪
ぼくの初恋の少年の恥じらいを取り戻させるもの
――垣間見える
年上だったあの女(ひと)の面影
フワリ
仄かなリンスの香り
お澄ましのお姉さん ....
暗い夜 かの女はやって来る
静まりかえった廊下にうつろに木霊する甘い声
その濡れたような声 きつく漂ってくる麝香の香り
そのとき ぼくはいつも自然に布団の中で目覚めている
やがて襖はお ....
飴を一つ、あげるね。
優しい気持ちを、分けてあげるね。
あなたの笑顔が見たいから。
私の心を温めたいから。
涙は枯らしてしまいましょうよ。
声を上げて笑いましょうよ。
飴を一つ、上げるから ....
綺麗な泣き方ではなかったかも知れない
鼻水も流れたし ズルズルと音も五月蠅かった
それでも 気持ちの半分だけは
伝わったのではないかと 自負した
半欠の月が 怪しく 笑ってた
反抗心を残した ....
スダチは起きていた
夫の一大事に
寝ている訳にはいかなかった
夫の千切りキャベツは
キャベツの分際で
トンカツに成りすまし
お代わり自由を免れていた
しかもチーズ入りチキンカツに ....
次から次に丘にあがってくる人たちが
サーフボードを立てかけては去ってゆく
わたしはスプーンを数えながら
同時に色とりどりのボードの数もかぞえている
注文と
作成と
給仕の ....
キッチンにシューゾーカレンダーがあった
今月の言葉
「成りすますんじゃない、成りきるんだ!」
お陰で妻のカボス(HN)が
自分は広瀬すずだと言ってきかない
今年46だと言うのに
....
物という物、在り
在る物の浮き立つ
今宵、荒れ狂った情動吐き出し
沈黙に滲み出す
生と死の境界 消滅し、
時の流れ 秘やかに静止し続ける。
成りすましがバレたけれど
否応なしに
成りすましになってしまったように見せかけるために
多重人格を装おうとしたが
多重人格が何だかよく分からなかったので
wikiで調べたら
児童虐待の被害 ....
嵐の中倒れてはもがいた ボロボロなこの俺
消えてしまいたいほど 打ちのめされたけど
運命的な出逢いの中 わずかな光が差し込んできた
火の粉を振り払いながら 太陽の中に飛び込んで ....
壊れかけた砂時計に話を聴くと
なんでもないと答える
壊れたピアノに
音が出ないと
聴くと
なんでも無いと答える
私に38度の熱があっても何でもないのだ
協奏曲に紛れた雑音に答えを ....
夏草のなかに咲く赤い花、
黄色い花、青い花、
目を細めたそれぞれの眼差しが、
地の上に咲き誇る。
花よ、あなたたちを写真に撮ると、
世界はなんて平らなのだろうか。
立体に馴れた私たちは、
....
ピアノ。
私はいつも、
ピアノが弾けない。
キーボードにならたくさんの、
物語を描けるのに。
私は私のピアノの前に、
いつも立ち竦む。
もう何年になるだろうか。
私が原稿用紙に、
....
柔らかな
背中の地図を這う指先に
明日を占い
地獄を垣間見て
白蛇のような舌先で
あなたを舐めつくす
不思議なその眼差しに
見入られて
心が波立つようです
巡りあったのはレタスの ....
束縛されない生なんて一時も無い
愛しきれたひとなんていなかった
孤独は平気だが
孤立しては生きてゆかれないから
哲学書を逆から読む
偏ったじぶんの人生観の途上で
ニーチェや仏陀 ....
新しい世界を観たカムパネルラは
ジョバンニの涙をみなかった
私たちは何故この車窓を見ているのだろう
カムパネルラは言った
母さんとともに青光りのする十字架の下へいくのだと
ぼくは何も ....
ポケットに
なまりでできたどんぐりをひとつ入れて
川沿いの道を歩いた
地表が
ルーレットみたいにぐるぐる回る朝
僕は ポケットに
色の褪めた赤いどんぐりをひとつ入れて
長い川沿いの道を歩 ....
湿った黒髪の纏わりつく夜
子供のように無邪気な指先
で確かめる暗がりのなか憂
欝な鏡面のように光る素裸
のゼラチン質、顔を埋めて
息も絶え絶えに幾度となく
試みられる潜水、ふと見上
げれ ....
メロウなサックス 黒いランジェリーの黒魔術
交錯するグラスの水晶の煌めき じっとりと焼
き爛れてゆく黒い蛇の腰つき そのすこし萎び
た手の冷やかさ 垣間見える策士の法令線 狡
猾な蛇の舌と舌 ....
とおくの海から聞こえる
漁船のエンジン音が
夜の上空にどんよりと膜を張る
夜露に濡れた家々の屋根が
魚の腹のように光る
窓の奥で、
そのようにしっとりと濡れていく
濡れていく
まるで母 ....
けたたましくも激しいこの静寂は
誰のものでもなく
押し寄せる濁流となって勢いを強め
驚愕の声を上げることもできず
もがき、腕を伸ばし、膝は曲がり、四肢が捩れ、足の指を広げようと
抗いはするけ ....
窓の外の、
引力や生き物の息遣いから生まれる
有機質の、音を
ラヂオの代わりに耳にいれる
いくつかの後悔や
選択の不安さに沿うように、して
またグラスの氷が揺れる
....
どうしたらいいのかわからないなんてことがあるんだろうか
部屋のなかにいて
どこにいたらいいのかわからない夜
さむすぎるせいか
ゆびさきをすりあわせる
どうしたらいいのか
わからない ....
夫のハンドルネームは千切りキャベツ
妻のハンドルネームはカボス
息子のハンドルネームはチーズかまぼこ
三人揃って
自称ファミリー詩人!
またの名を
3人のビリー・ミリガンと呼ぶ
....
海になりたい
あなたの上に
覆いかぶさり
あなたの上で
おんおん
泣くんだ
あふれんばかりの
わがままで
あなたを
根こそぎ奪うんだ
行かないでって
言えばよかっ ....
キッコは昔11PMの
アシスタントガールだったのだよ
番組が大人の男性向けだから
自然とキッコにも注目が集まったけれど
名前ほど性欲を掻き立てる
存在って訳でもなかったな
旦那は谷だよ ....
海に向かって叫ぶことではなかった
風が額に香りをふくんだ音たてて
飼い主になでられる夢みせている
影のところおとなしくさせながら
みどりが葉裏をはためかせている
この季節が一年中つづくようなら
この国から ....
さらり、さらり、
骨になった粉が、
この手から空間へ流れていく。
さらり、さらり、
手にいれたものはなんだったのか。
なにもなかったのではないか。
私たちは手に入れられないものを手にした。 ....
うすい眠りに包まれて
探っている
五月の風を手招いて萌える木々
光の纏いで取り戻す
ざわめきの形象は
淡く爪先立ち
まどろみに波紋を呼び起こす
山と山との重なりに
隠された遥かなる道程 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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