失くした封筒は開封しないままに
いったい何処へいったのだろう
鞄の中も
机の引き出しを探っても
書架のページをめくっても
探したけれど見付からないので
誰か心覚えがある人はいませんか
体温が微かに響く
駐車場の隅に捨てられた
古い型の深海に
街灯のあかりが
とっぶりと落ちていく
コロナの夜は
静かに進む
階下から聞こえる
くぐもった洋画の声が
唯一の栞だっ ....
○「なんのために書く」
ボケ防止のために書く
人からほめられたいから書く
でも一番は
書きたいから書くだろうな
○「コンクール」
応募すると
入選するかどうか
とても気になる
心 ....
今は通り過ぎていくだけの公園で
思い出す その中にいた役者だった 昔を
冬の僕はポケットに手を突っ込んだまま通り過ぎるだけだった
僕は 街の何処かを目指して
景色は駅前のコンビニと
....
{引用=
そのことについて
その後のことについて
しゃがんで空を見た
そこには何も無い。
そのことがそのあとにあったのであれば、
その前のことを想像しま ....
晴れた日には
ゆで玉子を咲かそう
カワウソと並ぶ
いきいきと生きた
意匠の意味を
いっそ、もう河原に置いた
木魚を叩く暴徒を
許そう
宇宙人も許す
一切赦す
半熟の黄身が溶け出すく ....
枯れた公園の人は疎らで
みな肩を狭めている
5月には香る薔薇が咲き誇り
恋人たちは手を握り
至福を味わっていた
月の光に照らされて
レタスが芽生える5月
いまは寂しい季節だけど
....
わたしはわたしたちは
感覚直観される此の世界次元で
夢を観て居る、のではないか
とそう私は
時々 想うのです。
純白の頬を手で触れて
氷山の漂う
海原深く
沈んでいく夢を観る
一瞬から醒め
眼見開けば、
孔雀の鮮やかな羽ばたき
一閃する輝きの矢、
夜陰の街並みを
大勢の南国の人々
....
〔前回までのあらすじ〕
ペットショップで。一目惚れした。白い犬。彼=ダンスケ。
を。買い取った。年金詩人の。Kは。その後。彼の。養育
費を稼ぐために。海水浴場で働くことになった。
三月 ....
自分の年齢ほど
自分の気持ちとぴったり来ないものは
ない
「○○歳」
俺はいつ
こんなに年を取ったのだろうと思う
玉手箱をあけた
浦島太郎のような心境だ
今だに各種文書等に
「年齢欄 ....
○「生きる」
夏は暑さとともに生きる
冬は寒さとともに生きる
春は雨とともに生きる
秋は風とともに生きる
四季巡りしながら生きる
○「まちがい」
人のまちがいを
鬼の首を取ったかの ....
たまには屋根の上で
おもいっきり叫びたいときが在る
誰にも解らない言葉で
おもいっきり歌いたい時が在る
らぁ~! らぁ~! と
いくら叫んでも
罪は消えない
空気を吸う
命が在る
水を飲む
命が在る
米を食う
命が在る
シラスを食う
命が在る
肉を食う
命が在る
汚れた体を拭っても
消えない汚れ
矛盾が叫ぶ夜 ....
始発の朝に
腹を割いたら
群青があふれだし
膝をついたまま
脱落を選んだ
履歴書はよく燃えて
約束された未来は焼失した
何者にも名づけられない自分が
裸で社会に投げられ
すりむい ....
あの人は生命力の塊のような言葉を
私に打ち込んでくれた
今日よりは
他人を羨む暇があったら
自身の向上に努めよう
この命尽きるまで
勝利勝利の連続であろう
今日はあちらこちらを彷徨ってみたけれど
やはり此処がいい
恥ずかしくて
恥ずかしくて
此処に舞い戻った
夜毎繰り返す波の騒めき
夜空に降る星たちの囁き
一からやり直せと大 ....
誰かに教わったわけでもなく
ひれもないのに
泳ぐ術を知っていた
不思議
暗闇の水は透明なはずなのに
烏賊墨いろ
触れる
包まれる
抱きしめられる
身ひとつだけの
図式
へその緒が ....
幾何学的な街並み
色付いて
黃の明るみ紫のうねり覆い
その奥に黄金光り輝き圧倒
優しく包まれ街並み人々在り
この世界、幾層幾次元から成り
異様の立ち昇り柔らか異様のヒビキ
深 ....
タイムマシーンに乗って夜に覚醒
ふわり浮かぶ白い頬のその感触
また逢いたい人の柔らかな熱
利他主義の反対、利己主義
エゴを競いエゴを注いで
資本主義、
何が飛び出すか分からないぞ!
....
○「人間不信」
蛇の赤い舌のようなものが
ちらちらのぞく
人間関係は
自分の心の反映でもある
○「自分の思うようにならないもの」
天気
大陽や月の動き
心臓の動き
相手の心
自 ....
桃の実の、そのなめらかな白い{ルビ果皮=はだ}は
――{ルビ赤児=あかご}の{ルビ頬辺=ほつぺた}さながら、すべすべした肌触り、
桃の実の、その果面の毛羽立ちは
――{ルビ嬰児=みどりご ....
何であるかを見ている
話すことで バーカウンターで
時の流れを
知っている
思い出す 夢を
無邪気だったあの頃を 僕は
一人で旅行に行っては 帰ってきて
また そこで 寝ていた
....
明日の自分に期待して 今日は寝る
昨日の自分に期待されてると ちょっと嬉しいかも
でも期待に応えられなくて また明日の自分に期待する
馬鹿だから
いつまで経っても懲りないの
....
・
切り取られた野菜の端ばかり集め
冷蔵庫中腹で開かれる品評会で
腐りかけの指先で絶命した人参を転がす
朝は降ってこない
あるのは催促の声と模範囚ゴーレムの動かす
さえ箸の音である
....
初めて食べた妻の肉じゃがは
ジャガイモが溶けてドロドロしてた
味付けが良かったので
ぼくはこれなら食べられる と…
妻の表情は複雑で
泣きそうな眼がしらを湛えていた
最近の肉じゃがは大 ....
風の言葉に誘われながら
月日をかぞえ春を待つ
呪文が解ける若葉の季節
水はぬるくなり
汚れた手のひらを洗い
ソフトクリーム舐めながら
木々の木漏れ日に歌おう
日々の些細な幸せ ....
行き着くところは
決まっているので
どこに転んでも大丈夫
苦しむだけ苦しんで
楽しむだけ楽しんで
自分のなかの
おまえとの
秘密には
傷もあり
宝もあり
鳥の声もなく
ほおづきの花だけ白く小さく
風もなく 空に色はなく
ひたすら降りこめる小さな庭に
女である事も、忘れて居る
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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