葉が雨音を弾いている。灰皿には吸い差しの煙草と、机に珪化木、散らばったディスク。この全てが夢だったらと思う時もある。投げ出した小説を開き、栞がわりに挟んでいた絵葉書を眺めている。雨に閉じ込められて静か ....
静かに暮らしたい
栗の花が揺れて
枯れ葉が音もなく積もる
かすかな街の音遠く
静かに暮らしたい
白昼の影
誰もいない集合ポスト
雨のように
あるがままに降るような
そんな静か ....
言の葉も枯れるんだろう
井戸水が渇くみたいに
だけど
井戸水が渇く
と言うたとえ方がが果たして当たってるか
どうかは何とも言えない
言葉は枯れてしまっていたから
少なくとも
私と言う個 ....
暮れかけた空に
光る星の名を
あなたに教えて貰った
それは生きるのに
役に立たなくても
心に花咲く同じ記憶よ
図鑑と懐中電灯の
隙間を越えて
指差す方角に
位置を求めた
....
三日前、一度だけ会った新聞記者が
病で世を去った
一年前、後輩の記者も
突然倒れて世を去っていた
彼の妻とは友達で
今朝、上野の珈琲店にいた僕は
スマートフォンでメッセージを、送信した
....
羽が落ちている
本体は見当たらないから
誰かが食べてしまったんだろう
羽は食べてもおいしくないだろうし
さしたる栄養もなさそうな
だけど
錆ひとつない
無垢な部品
ない、みたいに軽 ....
はげしい地震のあと
まるでなにもなかったかのように
がれきの上にひろがる青空
すさまじい台風のあと
まるでなにもなかったかのように
倒壊した建物の上にひろがる青空
自然とは
なん ....
落語を友人と聴きに行った
郷土出身の真打ちで
目から涙が出るぐらい笑った
その中でこのへんの男は
おかしくても笑わない
という話があった
そういえば僕のまわりで
よく笑うオヤジはだれだろ ....
儚い朝が閉ざされるとき
女はいっとき獣の眼をあてがう
陽に刻まれた木立が炎めき
虚構の大地が海を覆う
女は起き上がり服を着る
色彩のために、空間のために
女は山から産まれた
山の ....
明けない朝、雨音が体中にしみこみ、体内に落とし込まれている
体内にピカリピカリと衛星が動き
コーヒーの苦い液体が少しづつ私を現実の世界へと導いていく
ありったけの負の感情と、希望の無い労働のため ....
僕はこんな場面に
出会うことなんてないと思ってた
君が誰かなんてわからないまま
終わると思ってた
今、すべての海に
つながる波を二人で見てるんだ
太陽がゆっくり熟して
気味の悪い ....
島が点々と見える船の上で思い出していた
早朝の高架橋の上から見下ろした
僕が見ていた街の静けさ 空港の脇を横切る道を
いくつもの そこを通る 通勤バイクを
昨日までは夜だ ....
夏の名残の中で曼珠沙華が咲いている
あの花には毒があるんだっけと思いつつ
風に吹かれ揺れるさまを眺めていると
今は亡き人たちの事を思い出し
確かに毒だと罰当りな事を思ったので ....
紫と茜が交じる時間帯、ぽつりと街灯がひとつ灯った。
誰も通らないような道に、ひっそりと光が現れる。
それをぼくはみつけ、煙草が吸いたくなった。
遠慮がちにそれに近づいてぼくもひとつ、煙草に火をつ ....
バカ貝は
本当の名前があるのですが
脳が軟らかくなってしまって
思い出せません
それを良いことに
水虫はバカ貝を
「ばーか、ばーか」と
なじりました
水虫も充分バカだったとはいえ
水 ....
髪の毛の抜ける軽さで舞いあがったビニール袋が
ハの字に並んだ社宅のあいだを海溝にして見えなくなる
溶断した五線譜に置く
冷えた喧騒のフェルマータ
胸底のゲル状濁点や句点硝子の乱濁流を ....
頭の中の
折り紙が一枚
翼を広げて
羽ばたいていく
飛行機雲の
交わる中心に
何かがありそうな
期待を乗せて
水溜りに映る
青空へ触れて
ガラスの表面を
砕くよう ....
うねる雲を見ていたら
わたしは私でなくなっていた
わたしは流出して溶けてしまい
涼風とともに雲をかき混ぜていた
窓越しに見えた遠くの山嶺は厳しく青空を背負っていた。僕は君という緑を己の緑に重ね合わせて、溶け合ったまぶしい緑を背負っていく。今日、長く患っていた孤独という病が鞘に収まった。孤独は出血性でひた ....
わが家に小さなかいじゅうさんがきた
全身毛に覆われて
細くながーいしっぽなんかつけちゃって
いっちょまえに走り回っている
ひとしきり飛んで、跳ねて、転んで
ひとしきり食べて、飲んで、 ....
ひとりぼっちの
さびしい こどもが
みあげる
一番星。
父さんかしら
母さんかしら
ピカピカ と 光り
その輝く 光りが、
瞳のなかから
こころの奥へ ....
水と二酸化炭素でできている
炭酸水は僕と同じだ
塩も砂糖もない
味気ないところも同じだ
シュワシュワするところが
刺激と感じるか
爽快と感じるかは
相手による
いずれ
気 ....
白い金平糖を
ざりり と噛み砕いて
君の骨と置き換える
さらさら 粉になった君は
私の細胞の一部になって
いつまでも 囁いていて
私の名前を
死ぬまで ずっと ....
はなくそに
私がくっついている
はなくそが
前にすすむと
私も一緒にすすむ
私のはなくそは
私が作った
はなくそが
こんにちは
しているとき
そのまま
風に吹か ....
どうぞよろしく
この空をただしさが覆いつくし
こまかい罪のすみずみまでがあかるくされ
わたしは死ぬ あなたも死ぬ
ねずみも くまも うさぎたちも 間違いなく死んでいく
さいごにはみずうみ ....
絵の教室で聞いた話。とある農家から出た木の仏像があって、手に入れた絵描きがアトリエで作業の合間に眺めて過ごしていた。ある日、いつものように画布と格闘していると、いきなり真っ二つに仏像が割れた。頭の先か ....
西武だったビルを背に
錆かけたブロンズ弦を掻き鳴らす
白い腕ばかりが気になって
歌なんかまともに聞いてやいないけど
クラーク先生に忠実な彼の愚直さに
譜面台にぶら下がった「日本一周」の文字に ....
しろやぎさんから
メールが送信された
あおやぎさんたら
読まずにゴミ箱に捨てた
仕方がないので
メールを入れた
「おめでとうございます!
あなたに25億円が当たりました!」
( ....
いつの間にか落ち込んで、本棚の隅に引っかかっていた文庫本を見
つけた。手に取って頁の目地に溜まった埃を払う。
金沢市片町1-1-23 07**−61−7950
古い住所のその ....
夏は嫌いだ。
だから死ぬなら、突き抜けた青い空がどこまでも続く夏の日がいい。
死に方はなんだっていい。じぶんで自ら命を絶とうが、誰かに命を奪われようが。
だけど、死ぬ場所は室内がいい。
窓に四 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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