けだもの
ひとの声がする
空がなく
土もない
紙の色の月がうすく照らす
このわづかな世界に
やさしく
神々しく
いつくしみ深く
ひとの声がする
《祈りなさい ....
いつも通る道
いつも出会う人
いつも歌う歌
いつも曲がる角
いつも読む雑誌
いつも食べるパン
いつも乗る電車
いつも降りる駅
いつも見る鏡
いつも見る私
いつも見るけれど
....
雨らかに拡げぬ君の声ゆし
空らかに蔓延たけ我が命なふ
知らず逝かれ残されれれれるるる
阿弥陀一筋縄モノ鳴らす
夢らかに途中気づく木屑坂
登らかに娘傘拡げぬ君の髪ゆし
吐き気れば車内にゆれれ ....
霧のつぶが
ここらに留まっている
セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている
秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも
....
愚痴は言うまい
ただ ただ 感謝を
愚痴は言わせまい
隙は与えまい
それが得策
神様に賛美を
そして祈りを
愚痴は言うまい
言わせまい
気にするな
落ち込むな
....
何が仮装だ、アホどもが!
つまんねえ仮装は
萩本だけで充分なんだよ!
ワケわかんない
どんちゃん騒ぎは
どうせ電通の差し金だろ
あいつらは
日本転覆を画策している
広告テロ集団なん ....
きみとなにかを分け合う様に生きていたいとおもう
からっぽのカゴの自転車のままで自由を走ろう
所有することなしに生きてゆくことも良いのかもしれない
手にするものすべてはさよならをはらんでいるか ....
『わかりやすい労働基準法』というタイトルの本はあるけれど『読んでしまうでしょう』というタイトルの本はない。仮にあったとしてもそれは『呼んでしまうでしょう』であったり『混んでしまうでしょう』であったり『 ....
紙の質感やインクの匂いが
伝わる指先を誰かに向けて
1ページの物語も読まずに
主役を生きてる人が妬ましい
自分らしい振る舞いやセリフを
学んできたのは同じはずなのに
シャボン玉の大 ....
僕は眠りながら考えた
ただ自分の欲のためだけに生きるならば
どれだけ成功したにしても
人生は空しい
どれだけ健康で長生きしたにしても
人生は空しい
と
敵の飛行機が一機だけ群れからはぐれてしまった
首都を爆撃するために幾千の機体が飛来した夜に
無差別に投下された焼夷弾は
街を容赦なく火の海にした
それは
幾千の渡り鳥が
幾千の糞を ....
溺れないようにもがく
ここにあるものは肉体と
満たされない空と
注ぎ足されつづける水
酸欠の頭で考えることは
誰が注いでるとか、
どこまで行くのかとか、
そんなことではなくて ....
バンコクの光の中
仕事場へ向かう人たちと
そこから帰る人たちとで混み合うバス
ガイドブックに無いスーパーの前
バスに乗っていた僕だった
高架下はどこか寂れた冬の風景
暑いけれど ....
月や
完璧な嘘や
まるい
(でもさわれない)夜で
車内はぱんぱん
世界と わたしとのわかれめの
つねにつめたい線は
そう望んだような気がする
わたしが
わたしをわかるよう ....
小指で伝う葉脈のか細さをきみは知ろうとしない。生きるうえで不要なのが繊細さなら、搭載された生き物は最初から負けているの。きみはいいな、と指で葉をなじった。神さまを信じないきみこそが、神さまに愛されてい ....
アルフレッド・ヒッチコックの夕暮れのような空のなかで今日が竦み上がりながら死んでゆく、その悲鳴は、その悲鳴は…昨夜俺を悪夢から叩き出したその声とまるで同じで―なにを見ていたのか、なにを知っていたの ....
あれは嘘だったんだ
50年前にプロポーズした時の約束さ
君を一番喜ばせて
幸福にしたあの誓いは
人生最大の嘘さ
君と結ばれてから今までの
僕の本当の願いは
君より先に逝くことだったんだか ....
即興でヘンテコな文が生まれていく
吉田松陰の特殊スキルは未来合わせだった
力ずくで二枚貝を合わせた、今と未来
自ら泥をかぶつて尽きた
と、まあ、ライトノベルの感想は任せなさい
....
もう頂上かと思ったら
まだ上がある
今度こそ頂上かと思ったら
まだまだ上がある
上がまだあるかと思ったら
頂上だったりする
秋晴れの午後 カメラを下げて ぶらりと 初めての下町へ
坂を上がり 狭い路をぐるぐる ようやく辿り着いた 海に近い丘の上
タイムスリップした様な トタン屋根の集落 周囲の家は新しいのだが ....
よく分からないのですが
モーツァルトの曲にありましたよね?
銃乱射のニュースで
これはヘイト・クライム・マハトマガンジー
だって言ってたんで思い出したんです
でも、マハトマガンジーって
暴 ....
冷えた足元が
僕の思考を停止して
机の上に突っ伏して 瞼を下ろす
こうやって ずっと眠って 死んでしまえたらいいのにね
なにも成し得ない 人生に 意味などあるの
いつだっ ....
あなたは、
寒かった?
あなたは
寂しかった?
あなたは
苦しかった?
過去を振り返って
こころのありかを「問おて」いるの?
じゃあ、
わたしは
そのあなたに、問うわ
....
かろうじて嵐の前に帰っていった
君の寝ていたベッドのへこみがまだ残っている
新学期の飛び降りのニュース
こんな天気じゃ天使も飛べないだろう
4階からなら助かるかもしれない
ニュースに ....
天使は座って笑い
あたしは座られて笑ってる
天使はあたしを見て穏やかにほほえみ
あたしは天使に見られて下品な爆笑を投げつける
天使は逆さの世界で見目麗しいショートケーキを食し
あたしは逆さの ....
寂しいとき
なにを
どうすれば
いいんだろう
むずかしい
理性や知性が
犬の役にも立たない
感情まみれの
猫の世界では
もう
只
アッハッハ
と
笑って ....
ぼうっと過ごしている
この午後の一時を
自動車の走行音
黄金に照り輝く瓦
微かに揺れる送電線
何処までも澄み渡る蒼穹
この私が今此処に存ること
この午後の一時を
ぼうっと過ごし ....
緑のざわめきが膝で笑い
風の咳払いが耳を撫でる
雲のフィルターが通した言葉に
洋服を着せた天使のはにかみ
夕陽に染まる頬はみんな同じ
空に浮かべた思いを綴るため
盛り付けられた一枚 ....
切岸
目は塗れている
君は客体を食べ、俺を育てた
鉱物、炎
語れよ、カタルシス
有も無も
区別ないところから聳えた
君は自在に生み、俺を醒ます
文字を山なす腐肉の王者
呼ぶに理解なく ....
私は
私の人生の途中で二度
自らその命を絶ってしまった人の葬儀に参列した事があった。
一人目は同じ工場内で働いていた五十代の男性。
とは言っても勤める会社は違っていたからほとんど口を利いた ....
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