今を、静けさが支配している
静けさは私という不安を抱き留めている
私は静けさのなかで震えている
静けさのなかですべては始まるから
静けさがすべてを支配するから
私は吐きそうになりなが ....
ストローをしつこく噛んだ。
絶対に許さん、と言わんばかりに。
雲を詰めて創る
うさぎのぬいぐるみ
長い耳に付けた
虹のリボンは蝶結び
余った虹のリボンを結ぶ
空色の長い髪に
あの人が好きだと言った
虹のフレンチボウ
入院中のあの子 ....
ときに 言葉は
無力な吐息
ときに 言葉は
無神経な凶器
ときに 言葉は
こころ温める 熱
ときに 言葉は
魂を舞い上げる 風
こみ上げる
言葉たちの渦
極まれば ....
驟雨が街を過ぎ
それから爽やかな風
陽の光が差し
窓の外から深く青い空
この大地で
たくさんの戦いがあって
たくさんの人が消えた
ああ 思い出したくても
決して思い出せない
....
玄関は男女の冬物のコートでいっぱいだった
ぼくは小間使いにコートを渡すとネクタイの結び目を直した
客間からはテンポの速いピアノ独奏音が響いている
爪先立ちで足音を忍ばせながらぼくはドアを開けた
....
いまはすべてのきみの時間が追憶となった
岸辺に鳴るのは水音か、山鳩か
梢をわたる空の風
爽やかな驟雨が降っている寂しい初夏の日
窓を閉めなければならなかった
雨が窓枠を内、寄木造の床と肘 ....
カチカチ 歯と鳩 カウントマシーンが音をたてる
台風がそれた朝の
まだ肌寒い堤防によせかえす波をカウントして ガラスの水滴を震わせて回る数字
鳥と虫とドローン 飛行機をみつけては指で隠す ....
人生は夏休み
蝉時雨
地上に出てから数十年
蝉も羨むような
立派な抜け殻になりました
徹底的に激しい
台風が去ったあとの
フェーン現象にも似た
ダブルで迷惑な感じ
嫌 ....
パリの妖精
第7話「シャンゼリゼの妖精」
永遠につづく野辺は
死後の楽園エーリュシオンの園
魂は光の虫になり
果てのない世界で飛び回る
ラダマンテュスに命じられ
妖精 ....
父の父、それはソフ。
それならば、父の乳のこと、なんて呼ぶ?
もしかして:ソヘ
父の乳のこと、
ちゃんと考えたことがあるかい。
誰もがそれを見たことがあるのに
考えてないふりを ....
地袋の上で眠り
記憶の雨漏りを
住処とする
血を吸った蚊
障子戸の隙間から
転生の池へ飛んで行く
色褪せた畳は
サボテンのよう
乾いた針が足の裏に咲く
煮出したば ....
今日、仮退院の道すがら
アスファルトでひっくり返り息絶え絶えの
蝉が次々と現れた
彼らはもう鳴くことはかなわず
ただ両脚を空にこすり合わせ
未だ熱を発散させながら
来るべき終わりを待っ ....
開けた勝手口へ涼風が届いた。
胡瓜と茄子のお礼にと、今朝早く。
幸せ過ぎて
あと何回
涙を流す
あと何回
あとひと泳ぎで
私は岸へと辿り着くのかしら。
あなたが好き
心底惚れた
そばにいたら十分だから
どこにも行かなくていい
ドラム缶のお風呂に ....
そこは砂漠のど真ん中じゃなくて
海辺の砂浜だった
人影まばらな晩秋の海
無性に海が見たくなって家族を連れてきた
幼い娘二人と
二人を産んだ母親と
四人できた
その時
長女が ....
いつでも最善を尽くし
いつでもこれで終わりだと
そう信じて枯れ葉がいつどこに
落ちるのかさえ分かった気がした
いつ夏の精が明日から秋だと
涼しい顔をして言っても
私はおどろかな ....
チテ・トテ・チテ・トテ
ちいさな、
黒い足跡が。
チテ・トテ・トトトテ・トテチテトトト……
ほら、翠のはらが
どこまでもどこまでもひろがって
風に揺れている
草は目を射るように揺れて ....
誘い直してくれたことが嬉しいが、
この地点でこんなに喜んでて
いーのだろうか。
まだ付き合えると決まったわけでもない。
私なりに自分の性格を踏まえ、
合う人を思い描き、
あの人は私にピッタ ....
悲しいこと苦しいこと淋しいこと
生きていれば、たくさん嫌なことあるけれど
道端に咲く花の香りがしたら
わたしは立ち止まってしまうくらい
うれしくなるよ
お互いをいたわりあう ....
歳の数だけたばこを吸って
早く寿命がこないかなと
思うだけの日はどうかな?
どんな日になると思う?
今日の二十三時に
ホームに立っていないと
確信できるのは誰なんだろうね
零時に自分 ....
何年後の静寂を思えばいいだけの話
誰の灯火も消えた星空が迎えてくれる夢
ぱちんと消えて目が痛い
十一時に吐いたため息は
次の日も次の日も次の日もおもって
消えることがない
きみの話を聞 ....
三日前から、とある乙女の目のまえで
ユニコーンの角を
風が撫でていたのでしょうか。
その風がわたしに届いてくれたころ
吹きさらされた
こころの扉を叩く音が聴こえます。
....
さよなら ´
入り口も出口もなく 近さも遠さもない声の内にあなたの裸体は張りついている
通り雨のような服のなかをあなたは歩いて帰り 、わたしは通り雨のような服の袖口であなたを見失う
....
赤いラッパと白いラッパ
雨が止むのを待って
空に向かって奏でる
今はまだ逢えない
遠い星に向かって吹く
夢の中の声は小さくて
全身で聴きとって泣く
小さな黄昏に果てしない影
私 ....
今日のKQ電車はゆれる
こんな日に限って
いつも以上にゆれてる
ゆれてなんぼなんやろか
ゆらしてなんぼやろか
こころは、こころは
かっくんって
こころが、こころが、
かっくんって
....
小枝に星が止り
漏れ落ちる月明かり
微かに緑色に光る羊歯
苔は森の水を濾過して
妖精にどうぞと言う
言葉さえ持たない
透明な森の羊歯
葉の形は心の形
優しく恥ずかし ....
あたしは、もうなにもしない。
きょうこそ、かならず、なあんもしない。
勉強もピアノも、いぬの散歩もなぁんにもしない。
あたしはっ! なにもっ! ひとつもっ! しない!!
ぜったい! ぜっったい ....
なぜか安全じゃないカミソリで
うぶ毛剃っていたら
呼ぶもんだからイッちゃって
そのまま振り向いたら転ばれた
痛い、こっちだって
いつまでも一緒にいようね。
割り算のやり方なんて忘れてさ。
750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790
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