私の心に一匹の
ジョン・コルトレーンが棲みついて
ジャズを聴かないときも
詩を書かないときも
離れることがない
雲がわくわく湧く
体の外にはみ出して
空に入道雲が
その中に腕を突っ込ん ....
雨滴は弾かれて、空へと帰る。
雨音を一つ一つ、数えている。
ああ、そんなこともしていたんだね……
(タンバリン? そう、それとも?)
都市の空隙を埋める、──
人工のノイズ。
....
梅雨が割れて、──あの灰色のあたり、あそこから落ちてくるのだろう。靄った街のあいだに。そこここに光、それは人の気配であるのだけれど、私を通過していく。私は薄い闇だけを見ている。グレーの綿。あれが灰色 ....
落下するのです。あれは私たちとは別の世界。
誰かが言ったわ。
「生きるためには仕方がないから。
死にたくないのであれば、相手に悪いなどと思う必要はない」
……そうなのかしら、
とその言葉を ....
蛾がおびただしく舞う
古い白熱電球のもとに
私はうずくまり
鉛の玉を抱えていたのだった
来たる冬はすでに失踪し
魚眼のように現実を見つめている
そして体内に大発生した虫
幼虫の尖 ....
職場で仕事をしたり
恋をしたり夢を語ったり
それらをするのがすべて男だったら
登場人物は少なくてすむ
コンパクトに世界をつかめる
つかんで世界と折り合っていける
....
その産声も周囲の空気を震わせて
その場に居合わせた何人かの鼓膜に音を伝えたに違いなかった
その時の周囲の人間の喜びと安堵がどれ程のものであったかと想像しても、すべては遥か昔話だ
本日、選 ....
ひたひたりと障子の裏
板張りの縁側を歩く女の影があった
夢だということはわかっていた
ずいぶん前に引き払ってしまった
もう祖母しか住んでいなかった一軒家
広い仏間には掛け軸も
どこ ....
月の裏に池があったの
あなたは覚えている?
私はクッキーを焼いて
ラズベリーソースをのせた
初めての恋だった
でもあなたは行ってしまった
あの星に種を蒔くと言って
枯れた池を見に ....
パリの妖精
第9話「セーヌ川の妖精」
誰が流してくれたの
子供だろうか恋人かもしれない
マロニエの葉が一枚
セーヌ川をいく
マリー橋の欄干から妖精が
舞い降りて横になり
....
? × ラ 々 Z
I D ラ 木 流
多 川 リ △ ∩ ⊃ 也
2 夏 3 圖
木 乃 伊
亞 儒
2 ヶ
/
閒
/
1 ....
宇宙のむこうへ
理想のむこうへ
灰色のむこうへ
迷路のむこうへ
バスのむこうへ
孤独の向こうのかなたへ
道理の向こうのかなたへ
もう少し向こうのかなたへ
思いの向こうの ....
オートバイには
バックギアがないからね
ライダーは前向きにしか
生きられないんだ
オートバイには
ボディがないからね
ライダーは覚悟して
生きているんだ
ライディングでね
人 ....
並木道で
二つに分けた
落ち葉を触れるたび
どんな言葉や
温かい声も
包めなくなった
身体が痛い
過去にしたくないと
思った時
似たような葉っぱ
並べて見える
隙 ....
一旦、ザルにあげておきなよ。
生活に疲れたなら、旅に出たっていいよ。
小枝から千切れた葉を
風が小川に運ぶ
妖精が降りてきて
流れる金色の葉で昼寝
キキョウもリンドウも
カエルもアメンボウも
メダカもカジカも
二度とない秋の昼休みを
空の下で味わ ....
悪魔の囁きをきく事がある
て
言うよりか
私の正体そのものが実は悪魔で
普段は人間の囁きに耳を傾けながら
生活していると言うべきなのかも
しれない
当然
私の中では
たえず悪魔と ....
知り合いに実に可哀想な男がいた。
俺と同様に洋食のコックだった。東京の下町のレストランで見習いから始めて、そこに十年近く働いた。
なんとか一人前の職人になった頃、父親に呼ばれ郷里の町で父親の資 ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた
りーん
ちりーん
光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
ドリアン♪ドリアン♪
ドリアン♪うんちくさい~♪
ホテル(バンコク)近くの
スーパー行ったら
店から臭うあなたがいた
赤ちゃんうんちのような
軽くて甘い汚物臭
ときめく出会いに鼻は
....
穢以上に汚れて青春の夜
勿体ぶって擦ったマッチの数
試しにその女の頬を
思い切り
ほら平衡感覚が
後から貴方の住所を食べて
鏡の奥に薄れゆく踊り
穢以上に転がって
全くつまらない子供た ....
アンテナから滴り落ちるホルスの朝
遠くかけがえのない自分たちの微笑み
難いだろう?
間違えてしまったんだね
ああ
後悔の海はまるで泥沼かコールタール
その上さらに熱帯の豪雨
昔覚えた煙草 ....
綺麗にしてたつもりなのに
悲しみの中に蜘蛛が湧いた
わたしは掃除機をかけた
ただ、黙って、掃除機をかけた
旅に出よう
今は汽車が走らない線路を
何処までも 何処までも
歩いて行こう
リュック一つを背負い
身軽なままで
あれこれ考える必要はない
ただ まっすぐ歩けばいい
春は足元の草 ....
楮で言葉の敷布を漉く
ゴマを焼いて墨を頂き
獣の命を筆にする
雨畑の水は鏡のよう
自然の魂と動物の魂
落款だけは私の血を捧げる
宇宙に置かれた墓標には
時間の誕生日と感謝の文字
....
泣いてる子は寄ってごらん
あっという間に満タン
引火点を下げて笑い上戸
心の揮発性をあの空くらい
高く上げてあげるから
レジで払うのは涙でいいよ
百万年前の炭を精製するから
お釣 ....
6畳間のアパートで、
狂おしいほどの責め苦に遭い、
しかしそれは当然の結果であり、
謙虚に認めるべき自業自得であり、
今すぐ撤去を受け入れるのが妥当であり、救済であったのに、未練とやらを、擦り ....
しずかだ
この部屋で飯を食らい
いくつもの賭けをしているかのように
日々の営みがくりかえされる
この骨肉
とうてい理解しえない
この瞬間
けして手元に置くことはできない
握りし ....
お父さんアル中だものと言ったら
アルコール依存症と言い直しなさいと
面白い指摘すぎて笑っていたら
お母さん笑った
やばい奴の後ろ姿を見張っていると
適切な距離をつくれるけれど
景色を見逃し ....
くじらの親子が浮いている
滲む飛行船の隣に
ざらつくキャンバスに
のたうつように
植え付けられた
静物
叫びは
甘やかな諦めに変わる
午睡の波間で音もなく
崩れ解 ....
748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788
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