同じ方向をみている
静止したまま
なにも言わずなにも吐かず
同じ方向をみている
そのまま時が止まっても
ゆきがふりつもっても
気づかないだろう静謐さで
みている
動かず
生きてい ....
雨が盛んに降っていた
暗い空から降っていた
俺の心は憂鬱に
蒼く震えるネギ畑、
踏んづけながら
進んでいた
何処にも行けないと知りながら
それでも踏んづけ進んでいた
)この嵐の果て ....
光にむけて祈るあなた、おとなしく、おとなしく、草のようにほほえみかわして吹かれてゆくあなた。海まで望めない草原に、光源のようにひとり淋しく立っているね。
あなた。紫陽花とあざみの花をにぎって ....
天が下りる
肺を圧し潰す
耳裏の風切り羽が散る
音はもう無い
手足を置き去りにして
夜を転がる
擦り切れ残った頭蓋だけ
あの天蓋へ反して
甘樫の丘を登り、散策する
眼下には飛鳥、万葉の遺跡が点在
私は古代へと時をさかのぼり
ロマンの世界に遊ぶ
蘇我氏の隆盛と滅亡
聖徳太子の事績
大化の改新
和歌、相聞歌の舞台ー
次々 ....
巫女が旋頭歌を月に歌う
紫の花を付けた韮が
秋風に踊り聞いている
何度足を運んだこと
少ない言葉をつなげて
あの人は過去を捨てると言う
歌い終わりに巫女は茎を折る
韮の香りが紫色の雲 ....
大根は足で
白菜は体
生まれて間もなく
捨てられた子供
口があったなら
哀しみの言葉
誰よりも早く
覚えたのでしょう
陽の当たる場所に
いられる命が
人と同じように
....
待ちわびても待ちわびても
信号が赤だったから
ひとり仰ぎ見て立ち止まっていたの
青空は雲ひとつなくまっぱだかで
そのからだを透明な恥じらいで
うすくおおっていたの
つまりそこに住み ....
私は何を遺して
この世を去ってゆくのだろう?
子や孫を残して?
しかし、彼らは別の人格を持ち
私からは離れた存在となり
年月の流れに
私はだんだんと影を薄くしていく
それでは映像や写 ....
だとすればこれは暴力だと思う
冷静さを保とうとする僕を尻目に
身体はぶるぶる震えているんだ
寛容でありたい
あらゆるものに優しくなりたい
気持ちに素直になれないなんて
感情を静かに探ろうだ ....
あたしの新婚初夜はどんなだったかな?
すっかり忘却の彼方へと行ってしまったけど
手をどこまでもどこまでものばしたら
届いた
その時
二人とも緊張してた
それ以前に
特訓に特訓 ....
ひっそりと静まりかえっていた
台風前夜の市街
もしかしたら明日には
街中が粉々に砕け飛んでいるかもわからない
不安と胸騒ぎ
備えたい
備えたい
食べ物
飲み物
車のガソリ ....
風に消えてゆくものたちだけが本当のことを話している気がするのは、人生が砂粒の落ち方を果てしなく見つめるようなものだと朧げにわかってきたせいだろうか、明らかなものはそれ以上のどんなことも語ること ....
[やあ]
[なんだ?]
森はもう
こんなに涼やかに
静まり返っていたのか
[なあ]
[なんだ?]
此処に来ると、
君たち樹木の我慢強い無言の意識を感じるんだよ
僕の脳裡に ....
ずっと長いあいだ
売り切れたままの心
庭におりれば
ニシキギの実が
風の小径でささやく
歌が小舟で天に去ったと
檀紙のしわをなぞれば
懐かしい言葉が幽霊のよう
苔むした ....
こころを
からっぽにする
意識して
からっぽにする
悩んだり
こだわったりしないで
こころを
からっぽにして
無心になる
弓で的を射るように
ひとかけらの
邪念もない
ただ
....
頭の中にポツリ、ことばが生まれた。
意味などなくて、ましてや心の叫びでもない、
ただ、ここで生まれた言葉。
あの人も、この人も、いろんな事を言うからわからない
どれがホンモノ?これはニセモ ....
自称詩人きっかけで
交際が始まるなんてことは
あってはならない
ましてや、結婚、出産など言語道断だ
自称詩人を両親に持つと
その子どもは
かなりの確率で自称詩人か
大量殺人犯になることが ....
好きな飴はどんなに固くても
舐めていればいつしか溶け
舌の上で消えて寂しくなる
美しい包装紙は真実を隠し
ただ甘い夢だけを運ぶ
今の恋を顕微鏡で見たら
水飴の気泡のように
眠るように ....
ああ、どんなにはっきり知りたいのに、どうしても知りえない。どうしても確かめたいのに、どこにもそれは明かされない。くらく苦しいばしょへと、ああ。あなたは降りてゆくのね。
そこで、天が降りるよう ....
思い出は胸の奥でセピア色。
夏休みのドリルに溢した麦茶の色。
注がれて、熱くなって、割れちゃった
苦い液体をよくわからないまま漏らしている
シャリシャリ割れながら天井を見回したわたし
あなたはふわりと電気を消した
人差し指の
第二関節で
憩うとんぼの
羽根を借りている
右や左へと
動くこの身体
コックリさんとは
違う強さで
運んでくれるよ
踵を蹴って
空に切る十字架で
作る窓は ....
二十歳まであと四年もないから思い出づくりに余念がない。肩ぶつけたらごめんなさい。タピオカミルクの行列に並ぶ。アジアの風を壮絶に学ぶ。そう、うちらは女子高生。所信表明は正真正銘おれの言葉だ一言半句。トー ....
明日はあなたの結婚式
白い花をあげましょう
あなたが好きだと言った花
今夜だけダイヤで作ってみた
あなたは乾いた畑に水をくれた
どんなに感謝しているか
あなたに伝えたいから
たくさん ....
そこには深い井戸があって
井戸の側には渋柿の木があった
渋柿は渋を抜かなければ食べられない
それなり手間がかかり
時間もかかるから
季節が来て
たわわに実を付けても
それが災いし ....
天袋にしまわれていた
臍のを
私を産み落とした人の
面影に繋がる
ひからび
しがらみ
産まれてからずっと
寂しくて
カーテンから ....
この子を一緒に授かる
相手と出会うことができた
何度も恋を失ってきたのは
そのためだった
この子が生まれる時まで
生き延びることができた
何度も存在を否定されたのは
危険な道を避ける ....
静かだ
ああ 静かだ
やっと夜の深まり
落ち着く己の神経が
闇の奥処に潜む
何かに触れる
のっぺらぼう
何処までいっても
平坦な始原の異様、
茫漠と広がる匿名性
静 ....
遠くへ行ってはいけないよ
ゆっくり行くんだよ
雲のお母さんは
小さな雲を心配そうに見送った
雲の子とカラスは
街へ出かけた
あの赤い雲は何?
あれは綿飴だよ
すごいよ口から ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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