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昼の薄暗い店
キーケースからはみ出した
鍵がぼんやり光って見える
蝶がビロードの翅を立てて止まっていた
氷が解けてもグラスが溢れることはなく
微かな光を傾けてもピアノは眠ったまま
....
かなしみがわからない
あなたのかなしみがわからない
わたしにはどうしても
わかることができない
あなたにもわからない
このかなしみはわからない
こんなに近くに居るというのに
二つ ....
あなたの態度が割り切れない
あなたと組めば倍になる
あなたを足して完成し
あなたを引くと空になる
たとえ計算苦手でも
スマホで答えを探せるし
正しくなければまちがいを
スマホで書き込 ....
あなたは畳のような人生ね
土足には耐えられないけど
素足にはたまらない
冷んやりしているのに暖かい
わたしはカーペットのような人生
土足にも耐えられるし
素足にはこだわらない
ゴワつ ....
僕の経営するさみしがり屋は年中無休だよ。
店先にちょこんと座り、君が来るのを待ってるよ。
アインシュタインの
特殊相対性理論は
簡単な数学だけの
思考実験で生まれた
量子コンピュータにも利用される
量子テレポーテーションも
ほとんど数学もいらない
思考実験から生まれた ....
小説のラストに書かれている
夢はまだ本当を知らないまま
ぶつかることや慰め合うこと
抱えたものが不安だとしても
落とさなくて良かったと思う
いつも挟んでいる栞みたいに
数ページ先の ....
私という人間が日夜老化の一途をたどっている
本体も部品も劣化している
すでに
見えてるところや見えない場所が壊れたり役目を終えたりしているような気がしてならない
時間に喰われて
その内完 ....
16歳 僕はバンドのギター
マニュアルを信じていた
メタルゾーンのゲインを下げて
ギターはよく聞こえてるようになると信じてた
18歳 僕は詩人
苦痛を信じてた
何もかも袋小路になっ ....
花はあめ、さめざめと底で
咲くからよるに鳴く
あわい、
輪郭をなめてとかす
ふぶいても
ふぶいてもひらく花
拐かされた
まひるの疑いようのないしろさが
しんしんと積もる
....
さようなら、うつくしい雨が消えていく
冬の破片があちこちできらめく街
ささやかに風の模様が刻まれた傘をたたんで
きみはアーケードの中へ姿をくらませた
九十日垂れ流されたクリスマスキャロ ....
宇宙に眠る雪の星
白い角 白い背中
プレアデスの七姉妹は
神話の海で真珠を摘む
女神になりたい白い牛
真珠のイヤリング
雪降る宇宙で流星を数え
妖精の森で恋人を待つ
....
色をなくした唇
あなたを失ってからずっと
見えるものみな墨絵で
虹さえ魔女の髪のよう
天使のラッパが遠くで鳴る
金色のラッパが空気に色を塗る
新しいカレンダーを届ける天使
表紙をめく ....
フィギュアスケート選手
ジャンプに失敗しました
観衆は痛みを感じました
詩人擬きのオセンチだか、なんだか
目の前を通り過ぎても(実は)、
なんとも感じなかった
アスリートのプレイと ....
冬の高原は優しくて
綺麗な絵を描いて
僕が訪れるのを待っている
ゆるやかな坂と曲がり道
路肩に打ち寄せる白い息
たどり着くまで目頭が熱い
雪で飾られた森を抜けていく
花火が消えるよう ....
電気スタンドの明かりに
積まれた本やらは
箪笥の戸にくっきりと影をつくる
曖昧さのない
算数のような稜線を滑っていく
ジャンパーが着地したのは
真っ白な雪の上でした
ぬくい炉の夢でした
私の体は10年男を知らない。
だからほとんど抜け落ちている。
それに私の知る男との交わりによる快楽なんて、
大したものじゃない。
問題は体ではない。
そこに至るまでのプロセスをどれだけ
労 ....
樹間から
覗く冬晴れの青、
ふるふる震え
落ち葉舞い散るこの夕べ、
時はすっかり透き通り
遠い記憶を辿りいく
)何があったか
)細かいことは忘れちまったが
)ただ喜びと懐かしさだけ ....
いのちある すべてのものに
主は 食物を 恵まれる
青葉きらめく 昼時に
神の子らは 命の泉の 畔佇む
疲れ癒やす 御言葉の雨に
愛の雨に 浸され潤う
泉の水 くみ取り 湧かした鍋に ....
心臓が
風船のようにぱんと弾けて
水の線路が胸からまっすぐ
空へとしずかに延びていった
雲梯のようにそれを伝いながら
たぶん ずっと望んでいたように
わたしはさるとして閉経する
....
スリープ状態の
パソコンの黒い画面が
この部屋にあっては
異世界への入り口のようで
なんだか夢がある
画面に触れてみようとするが
折角の夢が壊れると思い
触れかけた手の
指を鳴らして骨 ....
明日やりますと言い続けて70年
結構なんとかなってきた
比較的、いい子にしていました
最後の願いを聞いてください
Switchください
今年で70回目の良いお年を
クリスマスは私が ....
ひこうき雲の真っ直ぐな心に
傾けた頬が日焼けをする
重さのない林檎を乗せたまま
走ることができるまで
ジグザグに進んだこの道に
打ち水が飛んで来る
ひこうき雲の尻尾を掴まえて
....
砂漠で椅子を並べている僕の耳元で
佐々木さんがささやく
卒業生たちは丁寧に会釈をしながら
前方から順序良く着席していく
人は生きているとささやきたくなる
だからいつか人は死ぬの
....
自由という字には7つの部屋があります。
どれを選ぶも、どれも選ばないも、君の自由です。
青、
樹間に揺れ
白い巨鳥、
羽ばたいて
僕は行く
天に呑まれ
光の矢、光の矢!
蒼穹は割れ
漆黒の宇宙が唸っている
焼け焦げた影がひとかたまりついてくる
無敵の人
いきがかりの道なりは非論理が連なり
明日まで継がれた暗がりは八方塞がらず
もう疲れた帰ろうかと思いこもうとする
体力をゲー ....
窓が入れ替わるように
すれ違ったから
押し花みたいな思い出を
透明なガラスにしまったまま
膨らんだ喉の奥に
私も入れて欲しくなる
あなたの声が側にある
それだけで裏に回るほど ....
自称詩人が自称詩人であり続けるとしたら
絶対に良い年になんかなりませんから!
まず、今年一年相変わらず
世の中にとって
クソの役にも立たない自称詩を
吐き散らしたことを深く反省し
大晦 ....
最近 鳥の鳴き声を聴きましたか
最近 波の打ち寄せる音を聴きましたか
最近 雑踏の喧騒を聴きましたか
最近 話し掛けてくれる人の声を聴きましたか
ぼくはどの音も聴いていません
聴いたのは ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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