たまに空が全体を包むような
そんな日は地動説を疑いたくなる
三六〇度の空を心で眺めている
中を視ている
半透明の目の中に私がいて
包むように視られているという感覚が
アフォーダンスを否定す ....
魚は空を泳ぎつかれ 月のサンゴで身をくねらせ鱗を星にかえす
蒼いムードとブルージーンズ 青春の風は皐月の風のように吹きぬけた
うるさいだけのコマーシャルが流れる都会の雑踏に思慮のある小娘の ....
逃げ水を追いかける僕を追いかける夕暮れ。
逃げ水は僕から逃げ切り、僕は夕暮れに捕まる。
君が僕を嫌っていることに気づいて
ニヤニヤとしていた
ずっと気づかなかったことだけど
それがわかると
不思議に思えた仕草や言葉が
当たり前のように思える
なにかに反射した夕暮れ ....
いつものように歩いていたのに
いつものように犬と散歩していた夜に
いつもは足を止めもしない場所で
足が歩みを止めて犬が不思議そうに
足のまわりをくるくると回っている
線路下の細い道が ....
ねない
ねむらない
ねたら あしたがきてしまう
ねむったら いちにちが はじまってしまう
うれう ひとりの よるの しずけさも
けんそうに まぎれ けされてしまう
....
お別れ
回遊する魚達、
渦を巻いて
泳ぐ泳ぐ
舞い狂う雪の中
純白の視界を切り裂き
蒼く蒼く透き通り
出会い
寄り添う
肉身の二つ、
交わり激しく
夜を埋め
....
椿の葉は少しの光でも
沢山の光を受けているかのように
大粒の光を反射する
やんちゃな少年がガバッと掴んで
思いきり投げたいくつもの白い石が
空中で一時停止しているような
よく見ると可笑しな ....
指先にフォークを握った僕を
君は優しく受け止めてくれた
酷く血を流し涙を堪えて
ダンスを踊ろうと笑い掛ける
人の手に触れて分かった温もり
こんな気持ちは青空に似ている
何かを交換したくなる ....
僕らの時空は伸びたり縮んだりしても繋がっていて、
気付かないうちに遠い時空の自分を助けていたりもするんだろう
辞書に雨が降り
やがて水溜りができた
海と間違えて
文字たちは泳いで行ってしまう
僕は代わりに
いつか拾った流れ星を挟んでおいた
柔らかいものはみな
今日は朝から倒れている
....
黒い布で顔を覆い隠した女が
まるみをおびた重いはらをかばいながら
前から、後ろから早足で通り過ぎる人々に
おびえるような足取りで市場を歩いている
ときおり女の腰のあたりにぶつかっては
”ベバ ....
言葉が雪のように積もって
溶けてゆく
私たちは言葉の全てを受け止められない
だけれど
言葉は私たちの思いを全て表現できない
零れ溶けて水のように流れていく
私たちが受け止め切れない ....
駄々をこねて発酵させてオーブンで焼いて食べた。
君は呆れて家を出ていったから、一人で黙々と食べた。
新しい仕事に馴染めそうになく
ハッタリを言ったり健康食品をやったり
錠剤2錠と常在菌
電卓で桁外れな数値を叩き出したり
結婚式を病気の治療だと信じて
彼女に渡されたゼクシィをじっくり読んだり ....
僕は夜明けをあまり知らない
けれど夕暮れならたくさん知っている
薔薇いろから菫いろへとグラデーションする夕暮れ
金色の雲が炎えかがやく夕暮れ
さざ波のような雲が空を湖面にする夕暮れ
不吉 ....
これからは人生のアディショナルタイムだと
そう思って最後のチャンスを全速力で駆け抜けましょう
ゴール直前で息絶えようとも
悔いることのないように
そんな文面の年賀状が届いた
ただ空回りして浪 ....
31
そのときはじめて
おじいの顔つき変わって
おかえりいいうた気がした
32
なあんお前
それぐらいのボルト交換もでけへんのか
飯は喰ったんかいな
3 ....
冷たい円柱を抱えている
これ以上は何を避けても
足を付く場所へ辿り着けずに
浮いたり沈んだりしながら
表面を撫でるシャボン玉が
割れてもまだ残る煌きを
誰かに見せるために傷付いた
寂しさ ....
あたたかい色の
太陽の
朝、
心臓は
針金で
編んだ
さみしさの色をしている。
すっかり
青ざめた
希望は、
真実の蛇の姿を晒して
ゆらゆらと怯えながら揺 ....
そこにいて、あそこにいて
あちらにもこちらにもいる夕ぐれ
夕まぐれ、ぽつりと川の中洲に
陽が落ちている、ぽかんとしている
誰もが知っていて誰も知らない
歌を烏が知らないよ、と歌う
なん ....
坂道に
水の流れ、
大量に
夜の透明、
車は行き交い
飛び込んでいく
人、人、人
君はスマホの
中に居て
綺麗な声で
歌っている
聴いたことのない
異国の歌を
夢見心地 ....
ショッピングモールにある
スターバックスは行列だった
店員さんは慌ただしく
注文をとる係と
ドリンクを作る係と
仕上げて渡す係とに別れて
効率よく動いていた
照明はあえて明るすぎず
影 ....
足踏みオルガンの
空気が少し抜ける音
いつも私が座る事が多い
買い替えてと言えば
捨てられてしまいそうで
言い出せなかった
赤トンボはいつも
あのオルガンに止まってた
....
空が握手をした
昼と夜の歴史的和解
世界が呼吸を始めたのは
忘れ物を思い出した君が
今笑ったから
天候曇り
雲量は十
尊重すべき
涙を踏みとどまる自由
もう一人で大丈 ....
分厚い硝子瓶の表面には精巧な細工が施されていた、じっと眺めているとそのうちに、想像上の神殿の回廊にでも迷い込んだかのような気分になりそうな気がした、おそらくは花瓶だったのだろうそれは、なにをいけら ....
{引用=窓}
梢に残された枯葉一枚
干乾びた想いの欠片
命はすでに記憶もない
生者の心は生乾き
過去と重ねて今を見る
いっそ綺麗に散ったなら
鴉が乗ると電線がゆれた
墨で描 ....
未来日記(2020年1月13日)
見あげれば(見し人)おぼろに竹林のみち
宮沢賢治も好きな林檎と言えば、青森県産が有名。
ブックメーカーに寄ると2020年1月13日の
全国高校サッ ....
不思議と不可思議とでは不可思議の方が不思議度数は高いです。
こんな嘘を堂々と言い切ってしまう僕の神経が何よりも不思議です。
東京の場末の酒場でボックス席に座った。
俺は未成年だったが、社会勉強のいっかんだった。
そこへ連れて来てくれたのは俺の雇い主だった。
まだ何も知らない若造に「遊びのいろは」を教えるつもりだっ ....
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