閉ざされたままの部屋の、すりガラスの小さな窓のついたキッチンの床に腰を下ろして、目を開けている時に見える夢にうつつを抜かしていた、部屋は隙間風ばかりで寒く、記憶とともに凍てついていて、それはもはや ....
待ち続ける者にして、探し続ける者は、
悲鳴の中で飢えて、
目くるめく逆光の音韻の中で、
彼らのための晩餐を支度する。
彼ら。・・・彼らとは旅する者。と、旅に同伴する者。
気流のような骨と多様 ....
寂しい時は砂利道を歩けば
話し相手がいるみたい
ほらスズメが横目で飛んで行った
カラスまで電線からこっちを見てる
小さなつぼみたちは
ラズベリーのソフトクリーム
公園の ....
アルプスのてっぺんに
イチョウの種が降る
鳥が咥えて鳴いた
美しい声が連峰に木霊する
種を落とした妖精は
女神のような歌の持ち主を
ラ・イチョウと名付けた
白く透き通る薬包紙
瓶詰めのハーブ水
薬箱から漏れる香り
眠れない夜は
深い井戸にいる
もう一人に自分に
妖精の薬箱を渡してあげる
待ち合せの間に珍しい植物を育てる
自転車に乗って行く
種は割と雑にして水は毎日あげる
毎日は確かにあって
待ち合せまではもう少し時間がある
ついでに自転車の錆を落とす
ホームセ ....
もう遅いのかも知れない
こんな時間にベッドに潜り
捻れた布団で足がもつれた
人魚みたいに毛先を分けてる
昼はまだ遠くなどなかったから
見つめるものは空じゃなくても良い
心と同じ天気が続けば ....
宙へと向かい腕を伸ばす甥っ子の小さな手が
何かを握っている。
目の前の光景は
会いに来た亡き父の
右手の人差し指を握っているのだ。
「おじいちゃん。」
その一言を伝える代わりに ....
私は現実世界に生きています。
それは変わる事のない事実です。
ただただ、毎日仕事に行き
そして、帰ったら死んだ様に眠るのです。
そんな私は幻想世界で生きていたい。
幻想世界なら好きな時に ....
みたされた気持ちで
穏やかに凪いだ
うみのつめたさを
身、ひとつで裂いた
くらい海面に
ちりちりと遠い
工場の
あかりが散っていって
いつの間にか
ひたひたと素足 ....
最後の晩餐にも食物繊維はたっぷりとね。
来世でもつるんと安産で生まれたいからね。
夢中で雪を数え
最後の雪を指さし
足もとを見たら
あんなに逢った雪が
たったひとつになっていた
ここにおいでと言った
私は雪の中で眠った
雪が溶けるまで
月は丸いから優しい色だから
魂はきっと月に似てると思う
天香久山で見上げるうさぎは
ふるさとだと思うだろうか
飛鳥寺の朱塗りの柱を背に
卑弥呼は駆け落ちを誘う歌を詠む
六花の数だけ
雨粒の数ほど
根から染み渡る
尊い魂がある
今はただ白く光る
花の中にいるように
祈りの目を閉じて
涙で瞼を洗う
時は川の様に過ぎて
追いつけない魂が
....
父と僕の妻が併走する
妻にとっては義理の父
僕にとっては実の父
父とはそういう人だった
ダース・ベイダーにとってルークは実の子
ソロは義理の子
フォースも使えないし、
カ ....
ゆめのみかた
わらいかた
よろこびかた
しまいかた
わたしのしまいかた
いきた
たぶんいきた
だれにともなく
うつむかないで
と
わたしのしまいかた
さん ....
月明かりが綺麗に椅子を照らして
部屋中を蒼暗い影に塗っていく
埃が星の代りに浮かんで
深夜に水滴が落ちている
もういいかい
まぁだだよ
言葉の要らない言葉が
ずっと静かに漂い続け ....
短い鉛筆で、短い詩を書く。
かすんだ文字で、かすんだ声で、書く。
他の誰の姿もない
沈黙する街を
きみが踊る
午前六時半
部屋の窓から
コーヒーを片手に
眺めているだけでは
飽きたらずに
カップをスマホに
持ち変えたとき
撃たれた白鳥 ....
コーヒーキャンディの甘ったるさがいつまでも消えない午後3時
雨ばかり降って袖口を濡らすから腕が重くて手が振れないや
最低な僕と最低な君が我慢比べしてどちらも負けて
たかがひとつ素直になるだけ ....
やっほー
声を投げた
遠くへ遠くへ
あの山も雲も
飛び越えていけって
やっほー
あの人の元まで
声が届くなら
どんなに喉がかれても
構わないよ
やっほー
歌声にはならない
叫び ....
言葉の表している意味が
まだ分からずに背中を押された
強かったはずが途中で休んだ
自分と似たような風を見つめて
今日も誰にも会わなかった
風は待つものを超えて来るから
景色に矢印を投げて当 ....
赤です、
否。それは違う
そう見せてはいるが
実際は
――青だ
夜です、
たぶんそれもレトリックだ
朝は夜のなかに隠された唯一の希望であり
じつを言えば昼も夜の一部にす ....
この身体がとても邪魔だった
微笑みを崩せないと思うから
泣いたり怒ったりする人を見て
天気予報の当たらない場所では
サンドイッチがバラバラになる
まるで飛べなくなった白い翼に
感情を挟み忘 ....
学校には道徳という授業があって
ぼんくら頭の俺には
眠いだけの時間でした
起立
礼
着席
いつも心の底で思ってました
こんなの省略してよくないかって
その日
先生は道徳の ....
君は コーラを買った
自動じゃないドアを
少し息を止めて押し開けて
その息を世界へ吐く
ペプシはなかったよ
自動車のドアは断絶だ
いつもそうで 今日もそうだった
コカコーラはうま ....
涅槃にはいけない
ただの凡人だから
命は尽きるのであって
けして
滅びるんじゃないと思ってる
どんなに崇拝しても
神の側にはいけない
でも
死んだら
誰だって
仏にはな ....
苦い紙を足していく
食べ砕く
本当は駄目だって
みんながそういう話をしている
みんなは不特定多数
一様に挨拶をしていく
風に揺れて紙を足していく
誰も食べないし
砕かないし ....
雨がふりだして
猫の恋も濡れる
傘はどんどん縮んでしまう
ウイルスが街を呑み
国境はふかくなる
社会と生活をかける天秤の
0の目盛りはなくなって
僕たちは星をたべ
想い ....
かつて恋人同士だった人は、その人ともう二度とできない事柄を悔やむのだろうが、
片思いに過ぎない私は、その人と一度もできなかった事柄を頭で思い描いては悔やむのだ。
手に入れたものを失う辛さと、
一 ....
651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
3.95sec.