柔らかい肌に触れる声は
心でカーテンを揺らして来て
余った風で話すような指が
ファスナーの位置を探そうとする
それはどこかで折れた翼を
支え切れない背中のワンピース
前にも後ろにも進めなく ....
今日も1日が始まるんだなあって
結局自分では何もできない絶望と
結局自分は一人なんだなあという寂寥の波に飲み込まれそうになってく日々にさよなら
次の電車でそっちに行くからね
人 ....
雪が降り積もりそっと握った
白いマイクと丈夫な本音で
チューリップの唇が裂けたから
もう一緒に春を待つことはない
垢抜けた色の口紅を捨てて
サンドイッチの具を少なくする
誰かのためにと動い ....
風通しのいいこの部屋は
なにも考えられなくなる
昨日飲み干してしまった
感傷とかそういうのが
妙な日当たりによって
いつもよりきれいに見えてしまうんだ
何度か空 ....
夜の品川の端っこから、東京タワーが見える。
覗き込んだビルとビルの隙間に、ぽっかりと、
なんだか場違いな感じ。背高のっぽが窮屈そ
うに、泣き笑い顔で困っている。春の夜の棘
はやわらかいきみの匂 ....
雨
傘を持ち
すれ違う人達が
一段とお互いの間隔を広げる。
工業地域の雨は
アスファルトの上で
染み込む先もなく
地下に流れて
ただ
人の世を通り過ぎる
何も
育まな ....
踊る黒猫
踊る白兎
ミックスする
モダニズムの灰色
歯医者の診察台
に座らされ
歯を削られる
リューターの奇声
飛び散るカルシウム
丸い蛍光灯大小2本
収めた四角い枠
ぶ ....
誰もいない場所で
本当は蹲っていたかった
踏切の音がしている
春の陽射しはあたたかくて
此処にいるのが可笑しいのに
誰も指摘はしてくれない
そういうものじゃあないよ
そういうものじゃ ....
耳の中で音が響いている
誰かの声
誰でもない声
有象無象
確かに其処にあるものたち
僕の顔など見えないくせに
僕を見ているようなふりをして
ああ
こんなのは自意識過剰だよ
何も、誰も ....
ウイルスに負けない身体作りのため
全裸で東京湾に飛び込んだはいいが
数分後
プカーッと俯せのまま浮かんできた
無職自称詩人のこまたきれしさん(57)
面倒くさいので
そのままカモメにでも啄 ....
微睡みの午後、
涼風吹き
草木を濡らしていく天気雨
永久なる太陽の爆発を
束の間ベールに包む
時は始まりに向け終わりを紡ぎ
終点から反り返ってくる混沌の威容
この微睡みの午後に
火照っ ....
1月の庭に雪だるまが一人
小さいけれどダイヤの糸が
月あかりに透けて光る
子供の小さな手で創られた
小さな雪だるまの中に
温かい陽が灯る
小さな薄い羽根が
繭のような
雪だるま ....
歩道の片隅で汚れた雪が
恥ずかしそうに
早く溶けてしまいと言っている
子供が走りながら
雪を蹴ってゆく
綺麗な雪が陽を浴びる
ありがとうと言いながら
雪は溶けて消えた
枯れ ....
お客様が来て壊れた扇風機の話をする
いつから動かない、とか
動かないから涼しくない、とか
壊れるようなことはしていない、とか
その間にもお客様は松月堂のケーキを食べ
美味しい珈琲ですね、 ....
神様が地球に水槽を造った
人は海と呼んだ
すべてが生まれる水槽
海は産みという言葉と同じ魂
いったいどれだけの
月と太陽が
現れては消えたのだろう
長い長い時間が
月日という言 ....
知らぬまに
小石を投げつけてわたし、わたしに
その水面の波紋は
かたちを歪ませて、きっと
こころとか
生きていくとか
そういうものの足元を崩していく
きいてほしい話は
きいてほしく ....
たぶん自分は「ある」物ではなくて、「いる」者にすぎない。
いま・現れている世界は、ただ・「そう」慣れ親しんでいると、
自分の知に基づいた、ただ「そうだ」と思い込んでいるだけの世界にすぎない。
....
今日という日は、今日っぽい日なだけで、決して今日ではないよ。
今日なんてどこにも無いんだし、今日は君の好きなようにやりなよ。
瞳を閉じる時に
そっと回してくれた腕がある
暗闇に目隠しをしたから
そこはきっと明るい場所なんだ
君の姿を浮かべてる間に
消えてしまっても信じているよ
僕の歪な瞼に重ねた
白い花びらが守 ....
降るもの終わらず
落ちるもの終わらず
水の底とどかず
降りつづけ 落ちつづけ
陽は漂い
鳥の背の上
曇と海のまばたき
隠すことのできない目
眠た ....
小さな器の中いっぱいに
君の事を受け入れた
それが
あの時の私にできる全てだったから。
今思えば
力不足だったと思うけれど
君の力になれていたのなら
今のわたしの傷も
少しは疼かなくな ....
なぜ、
必要なものこそ
この手に入らないのだろうと
真夜中、
血走った眼から
絶望を垂れ流しながら
いつも
わたしの中に
手前勝手な
愛情だけが残る。
さみしかなんか
....
私は何者此処は何処
私の存在理由
私の正体
それを聞きたい
確かめたいのは此方だ
何てったって
誰も招待していない
かってに来るな
迷惑この上ない
さっさとあっちに行け
....
{引用=(*昨年書いて現フォに投稿せず忘れていたもの。アーカイブ目的で投稿。石村)
}
しつこい梅雨が明け
夏がはじまつた
はず であるのだが
ひさびさに傘を持たずに
散歩なん ....
ひかりのうたをうたうのは闇のなかがいい。
ハニカム笑顔には影がない。
満開のサクラのなか
破裂しそうに生きてきた
ひとりを見た。
ひかりを求めることなんか、やめたほうがいい。
駅に落ちていく
そう言って笑った父方の叔父
さっきから肩があたっている
どうしたら落ちていくのだろう
父方の叔父、ねえ、叔父さん
夏の早朝の駅舎
点検する若い駅員
駅に落ちていく ....
里山の風景
置いてきたもの
忘れたつもりの
うろこ雲
世界は
えまるじょん
溶けるものと
溶けないものと
愛したものと
愛したもので
愛するこの世を
生きてゆけ
....
風にしたがう
空にかしずく
夜によりそう
日にひらかれる
そうして青山を
求めて歩く
それはおそらく
至るところにある
青山に立つことは
眠りか覚醒か
....
色あせた花の耳飾り
3歳の誕生日に
ポケットに入ってた
今日はもう卒業式
明日からはおとな
窓辺に新しい耳飾りがあった
あの時の妖精だろうか
ありがとう
私は元気だよ
雪の精の墓地のような
石灰華段に座り見下ろせば
トロイアの木馬が運ばれていく
黒髪に陽が一滴跳ねたような花
木馬にも花飾りを内緒で乗せて
命の陽が消えないようにと祈る
648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
4.02sec.